- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101347516
感想・レビュー・書評
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ひとつひとつのエピソード自体は面白かったし解説も勉強になったけど文章にあんまりまとまりがなかった。でも書いたご本人も「わたしは作家ではないので」と言ってたので別によいとおもう。
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【自分の失敗を語れる大人はかっちょいい】
検死という死後のお医者様の権威
この肩書きだけでもインパクトは強い
そしてそのアイデンティティの塊みたいな職業経験から、様々な専門知識と経験談の雨あられをぶち撒けて淡々と各作品の死体描写を分析していく
この時点ですでに面白い
この人にしか書けない文章が大量に構築されている
でも本作で一番印象的だったのが
氏がセカンドキャリアのテレビ番組の分析役として、少年Aの犯人像を完全に外した時の実体験
(まああんな奇天烈な表記殺人事件は前代未聞の事態すぎて、既存のプロファイリングが刷新されるレベルなのだから仕方がないのだろう)
なのだが、その時の失敗談をただただ淡々と書いている
これがカッチョいい
その道のプロが、自分の失敗談を淡々と書いている
信頼の置ける書き手だ
というか大人の男として単純にカッチョいい
ぼくも自分の失敗を認めて語れるようになれたらなあ
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東京都監察医務院の監察官として数多くの殺人事件の遺体を解剖してきた著者が、小説や現実に起きた未解決事件の犯人を、法医学的観点から推理する。
実際の事件だけではなく、小説の中の殺人死体を法医学で鑑定しているのは面白いと思った。法医学的に矛盾点をあげつらうということではなく、法医学的に検証しつつ創作としての面白さを膨らませようとする著者の姿勢に好感が持てた。
そのうえで、芥川龍之介の『藪の中』が法医学的にも矛盾がないというのがすごい。 -
主題が主題なだけに、食事時にはちょっと...。監察医としての理路整然とした分析をしながらも、フィクションの良さをつぶさない気配りがなされてる。見事なロジカルシンキング。
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有名な文学作品を法医学的にみる話におー!っとなってしまった。
犬神家の話は有名だけどまだ未読(いつかは読もうと思っていた)&結末知らなかったので突然のネタバレ?に驚く。
それでも面白い。
文章から死体を読み解くって凄いですね -
ポーの作品に触れていた,第二章だけ読んだ。
作家ってすごいなぁ…。 -
元東京都監察医務院の監察医が、小説の中の事件の真相を「死体」の状況から追求してみるというもの。
冒頭の芥川龍之介の『薮の中』についての著者なりの推理から面白く読むことができた。
水死体や、いわゆる腹上死(性交死)にも詳しくわかりやすく述べられているし、『下山事件』をはじめ、実際に起こった事件についても多く語られている。
「監察医が小説の推理をしてみた」のみでなく、実際の事件について、ご自身の推理(そしてその誤りも含め)を興味深く綴られている。
どっかで読んだとがあるなと思ったら、以前この人の『解剖学はおもしろい―死体からDNAまでの秘密』を読んだことがあった。
この他、著書を多数だされているので、読んでみたい。
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【内容(amazonより)】
東京都監察医務院の監察医として、数多くの殺人死体の解剖を手がけてきた著者。その経験に裏打ちされた眼は、迷宮入りの代名詞ともなった芥川龍之介の『薮の中』にさえ、真犯人を発見してしまう。他に、探偵小説の祖・ポーや性の深遠を描いた文豪・谷崎潤一郎などの文学作品、また帝銀事件や下山事件など、未だに歴史上に謎を残す事件死体に挑戦する。
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【目次】
序章 現代ミステリーと法医学
森村誠一「精神分析殺人事件」の刺殺事件と、横溝正史の『犬神家の一族』の連続殺人に触発される
第1章 あの迷宮入り小説に真犯人がいた
芥川龍之介『薮の中』の刺殺事件を解剖する
付録 「薮の中」(芥川龍之介作)
第2章 探偵小説の原点とマスコミ報道
ポー『マリー・ロジェエの怪事件』の水死体を探る
第3章 文豪が書いた「性」と「死」
谷崎潤一郎『鍵』の性交死を研究する
第4章 日本史にみる毒の系譜
松本清張『日本の黒い霧』の毒殺死体に学ぶ
第5章 昭和史最大の謎の死体
矢田喜美雄『謀殺 下山事件』の轢死事件に挑む
終章 世界最古の法医学書と死者の人権
宋慈『洗冤録』の焼死体を看破する
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「死体は語る」の著者。小説を題材に法医学の観点から真相を探るという内容。読んだことのない作品やよく知らない事件の話も著者の解説によって興味が湧いてきた。下山事件が面白かった。図説もあれば良いのにと思った。アメリカのテレビドラマ「BONES」ファンとしては日本において監察医制度が整っているのは五代都市のみという現実に愕然とした。遅れすぎだろ!2013.3
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法医学とはどんなものか、
法医学は何をする学問か、が、
知りたい人には初級編の取っ付きやすい内容。
さくさく読めるし、文学や実際の事件の記録を
題材にしているので、親しみやすい。 -
珍しくタイトルのみで読むことを決めた一冊である。
その期待に違わず、とても面白い本だった。
全7章のうち、メインと思われる『藪の中』を取り上げたものが2番目に出てきているが、その前の章も、その後に続く章も大変興味深かった。
この本のテーマは、小説から『死体』を読み、法医学の観点から考察し、尚且つそれぞれの著者に対する敬意も怠らない良作である。
あまりにも専門的過ぎるという事もなく、かといって人死にを娯楽に貶めるような素人騙しの内容でもない。
元監察医としての見解を真摯に伝えようとした上野氏の試みには
感嘆の意を称えると共に、敬服せざるを得ない。
文章の端々から、著者の法医学に対する愛と誇りを感じる事ができた。