ビタミンF (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349152

感想・レビュー・書評

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  • この方は、私の父親世代の心情を描くのが本当に上手。
    男性の不器用で、純粋で、複雑な心のうちが巧みに描かれていてなんとも言えない切ない気持ちになります。

    「セッちゃん」と「母帰る」が好きでした。
    男性におすすめです。

  • 出版された当初。20代に読んでいたものを、40を超えた今、再読。当時も普通に面白いと思っていたけれど、この年になって読むと刺さる。ずるい。

  • 炭水化物やタンパク質、カルシウムのような小説に対してこの小説は心に沁みてくるビタミンのような小説になっている。

    七つの短編小説が全て父親の視点で描かれている。妻のこと、子どものこと、親のこと、そして仕事や隣人などの周りの環境のこと、そのどれもがフィクションとは思えないほどリアルさを感じさせる。
    読みながら自分が父親になったらどんな父親になるのだろうと思わずにはいられなかった。温かく切なく愛おしくそんな物語一つ一つがとても面白かった。

  • 短編なのに途中でやめられなくて
    ほぼ一気読みしてしまった。
    綺麗に全回収しないところで
    読み手に委ねてくるところ
    なんか、ハマっていきました。
    個人的にゲンコツスタートで
    掴まれました。セッちゃん、パンドラ
    なぎさホテルにて どれも良いっす!
    セッちゃんは読んでて辛かった…
    でも、最後は再生の光と信じたい。

  • 短編七篇、それぞれFから始まる英単語をテーマとした話になっている。テーマが明らかにされているので非常に読みやすく、解釈しやすかった。
    家族を背景にした作品は非常に考えさせられる。

  • 38歳の父親を主人公にした短編集です。38歳、若くも無く年寄りでもない、中途半端な年。そんなハザマでゆれる父親像を描いています。
    家族を描くことを自分のテーマときめたのでしょうか。なんだか腰の据わった感じの良い作品集になっています。
    何だか一時の暗さ、どうしようもない行き止まりで投げ出されたような終わり方は、少し影をひそめています。希望とまでは行かなくても、何かその先には明るさもあるのではと思わせる終わりかたです。そういう意味ではインパクトが減った分、読みやすくなりました。

  • 第124回(2000年下半期)直木三十五賞受賞作。
    私にとっては初めての重松作品。

    40歳前後の男性視点で描かれる、家族にまつわる7つの短編からなる本作。
    自身の生き方やかつての夢、息子や娘との距離感、妻との関係、そして自身の親や兄弟たちとのかかわり。
    「不惑」まわりの男子の様々な立場と家族との関係の、しっかりと落ち着いた視点での過不足ない描写。
    『一時の輝きを失い、人生の“中途半端”な時期に差し掛かった』ダンシたちの、悩みや葛藤、苦悩、それらと対峙し、時に乗り越え、時に消化し、前に進もうとする姿を描く本作。

    今の私は40代半ばであり、本作の主人公たちよりは少し年上。
    ただ、来年には中学校と小学校にそれぞれあがる、2人の娘を持つ父親です。
    その意味で、本作の主人公たちとのシンクロ率は半端ない。
    (かつて広島で10年ほど暮らしていたこともあり、作中の方言の浸透率もかなり高いです。)

    もう少しの時間の経過とともに、ひょっとしたら我が身にも...と思える作中の出来事や境遇。
    読み進めるうちに、どんどん心に響いてきます。
    そして、そこから前に進んでいこうとする主人公たちの姿に、身体の芯からじわっとくるような勇気をもらいます。
    その意味で本作は、「アラフォー男子の、家族にまつわるビタミン剤」とでも言えますでしょうか。

    時折うるっときてしまう本作。
    読者によっては、電車など、公の場での本作読書にご用心。

  • 重松清を知ったのは、西島秀俊と香川照之のコンビでドラマ化された「流星ワゴン」からだが、直木賞を受賞した作品が「流星ワゴン」ではなく本作の「ビタミンF」だったことにいまさら気づき、それならと「流星ワゴン」も積読中のまま「ビタミンF」を読み始めた次第である。

    タイトルのFに該当するものは「Father」や「Family」などだろう。各話ともに実物大のどこにでもいそうな父親がそれぞれの家族の些細なでも深刻な心配事に悩んだり藻掻いたりして、ぎこちないながらも家族と向き合って前に進んでいこうとする物語だ。そしてそこには適度なカンフル剤としてのイベントが差し込まれていく。家族のそれほどでもない一大事がそれぞれの父親をすこしだけ大人にしていくのかもしれない。

    それぞれの父親は未来の自分に禅問答をしているようだ。ぼくは父としての立場にはないが、大人の年齢になったぼくにはやはり共感できるところもあって、それがすこし気恥ずかしくもあるし、微笑ましくもあるのだ。そんないたって普通の物語が淡々と流れていくが、重松清の文章はやけに深く胸の隙間に溶け込んでいく感じで心地よかった。

  • 重松さんなので読んでみた作品

    30~40代の父として生きる男性を主人公にした短編集
    思春期の子どもを持つお父さんってこんな感じなのかな…と自分の学生時代を思い出しながら読みました
    多分学生時代に読んでてもあまり響かなかったかも
    親側の気持ちが分かる歳だからじんわり心に響く

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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