きよしこ (新潮文庫)

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著者 : 重松清
  • 新潮社 (2005年6月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349176

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きよしこ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 吃音の少年・白石清。いつも上手く言えずに悔しい思いをしている。
    父親の都合で転校が多く辛く寂しい思いもしてきた。
    そんな清の友達はある聖夜に出あった「きよしこ」というふしぎな存在だった。

    この小説は重松さんの“個人的なお話”らしい。
    転校を重ねるたびに清には自己紹介がイヤでイヤで仕方なかった
    吃音の清には自分の名前の「き」を含むカ行とタ行の発音が苦手だったからだ。
    そのたびに清はいじめにあったりして子ども世界特有の無邪気な残酷さの中で
    耐えなければならない。
    それでも読んでいて悲愴感どころか何か暖かく優しいものを感じるのは
    清の優しい心を汲んで手を差し伸べてくれる様々な人たちの心根に触れたからかもしれない。
    吃音などなにかしらの障害があってもなくても関係なく
    子ども達に対して
    「きみは決して一人ぼっちではないよ。それを忘れないで」という重松さんのメッセージがとてもよく伝わってくる作品でした。

  • キヨシ少年の口に出しては言えない悩みや心の葛藤が
    痛いくらいに伝わってきました。

    吃音だから言いたくても話したくても
    思っていることが言えない、

    自己紹介するとき、
    自分の名前でどもってしまう。

    なのに、父親の転勤で転校を繰り返し、
    自己紹介で失敗し笑われてしまう。

    たくさんの悩みや葛藤を経験しながら、
    少年→青年へと
    大人になっていくキヨシ少年。

    とてもはがゆくもあり、たくましくも思えました。

    吃音矯正の教室で会った
    イジワルばかりしてくる男の子と
    少しずつ心が通い始める場面は
    とても印象的でした。

    思ったことを遠慮せず口に出して言う
    中学の友達ゲルマも私は好きです。


    とても優しくて心に残る本に出会えました。

  •  重松清氏の自伝的(?)短篇集です。

     一人の男の子が成長していく様子を、印象的な短篇で切り取り描いています。吃音で話すのが苦手な少年の微妙な心を写した7つの物語がアルバムのように一冊の本に綴られています。

     この物語のストーリーは多分に創作でしょうが、細かな感情の描写は作者の実体験そのものなのかなあと思います。

     あとがきを含め、作者が主人公に向けるまなざしの優しさに心を打たれます。

  • 悔しかった。もっと早くこの本と出逢いたかった。

    重松さんが描く子どもは石田さんのそれとはまた違った魅力がある。
    でも共通しているのは“普通の子”を多く描いていることだと思う。

    出てくる主人公は格好いいばかりじゃない。
    周りに出てくる登場人物も容赦なく現実の厳しさを突きつけてくる。
    悩み傷つき、葛藤を抱えながらそれでも前に進む姿に心打たれるんだと思う。

    自分の吃音が原因で自分が傷ついたり、周りが傷ついてると思ったりする。
    時には自分を責め、時には周囲を責め、それでも前に進んでいくしかない。
    ハンディキャップ=可哀想っていう構図じゃない。
    少なくともきよしはそんな風に見られたいとは思ってない。

    各年齢での悩み方や考え方の変化。
    その時間の経過と成長がよりきよしを身近な存在として認識させる。

  • 繊細で、脆くて、それでも歯をくいしばって何かと戦っている少年に何度心を揺さぶられたことか……いやぁこの作品も期待を裏切りませんでした。
    いつも思うことですが、重松さんは教科書よりももっともっと大切な"何か"をそっと寄り添うように、私たちに問いかけてくれているような気がします。
    なにかに行き詰まったときに読み返したくなるのは、重松さんの作品の魅力の一つですね。

  • 途中で泣きすぎて何度も中断してしまった

    こんなにも温かく強く抱きしめられた作品はない

    これから何度も読みたい。

  • 吃音を持っている子が成長していくお話。
    このお話を読むまで、恥ずかしながら「吃音」という言葉を知りませんでした。
    このお話は、重松さんが経験したお話なのでしょうか。
    感情の揺り動きがリアルで鮮明な感じがしました。

  • 吃音、ドモリが、こんなにその人のしゃべりを行動を制限しているとは、知りませんでした。
    「ゲルマ」の話が大好きです。
    それは、私がゲルマのような人間だからです。
    相手を大切に思うがゆえに、いつも行動に起こします。
    みんなが、当たり障りのないように、気を使い過ぎるように感じる昨今、こんな人間も必要じゃと、再認識しました。
    私は、いつも人の心にズカズカ入ろうとする岡山出身の41才です。

  • 吃音で悩んでいた著者の、小学生から大学入試までを振り返ったお話です。転校がやたらと多く、そのたびに、自己紹介でキヨシのキがつまって言えなくて、笑われたり、いじめられたり、意思疎通がうまくできない。でも、いっしょに野球をして一目おかれたりもする。作文は抜群にうまくて、小学校の卒業前にクラスで思い出の劇をする。その台本をまかされる。苦手なことがあったとしても、何か自信の持てるものがあるというのは強いなあ。中学生にもなると、そういうこと(吃音のこと)をバカにしてはいけないと正義をふりかざす女子生徒が出てくる。けれど、それを素直に受け入れることもできない。ゲルマというふしぎな友人が登場する。いいやつなんだか、いやなやつなんだか。大学入試では地元の国立大学を受験せず、早稲田を目指すことになる。そのころ付き合っていた大学生の彼女の気持ちがせつない。先回りして、彼がつっかかって言えないことばを、彼女が先に言ってしまう。好きだから、あなたが何を言いたいのかが分かると言う。けれど、それは本当に自分が言いたいことばではないことがある。コの音が出ない。コーヒーと紅茶。本当は自分はどちらがほしかったのか。彼女と離れたかったのかもしれない。一人でやってみたいという思いで東京に行く決心をする。先生になりたかった。朝から晩までしゃべる仕事なのに大丈夫かと父親は言う。しかしその後、「まあ、でも」と続けて言う。「きよしはぎょうさん転校してきたけん、いろんな先生にも会うたし、いろんな町の、いろんな友だちにも会うてきたんじゃけん、意外といい先生になれるかもしれん。」私も、その通りだと思う。やはり、図書館で借りて読みました。

  • 吃音があり転勤族な主人公の成長の話。悩んで、苦しんででも楽しいこともいいこともあって、そんな生活のなかで時折涙が止まらなくなる場面がある。我慢、耐えることが多い主人公にがんばれ!と、言いたくなるお話。

  • 少年と一緒に成長していけるお話。
    大学受験のところでは少年から大人になる過程がぐっと胸に迫ります。

  • 心が暖かくなるお話。
    小中学生の心の繊細なところをうまく描いていると思う。幼い頃の失敗や恥じらいは、大人になるにあたって必要なことだと思った。

  • 吃音をもつ少年の話。
    自分も吃音があるので、少年の内面が描かれている部分はすごく共感できた。
    特に、吃音の矯正教室でのラストシーンは共感しすぎて泣いてしまった。
    吃音をもつ作者だからこそ書けた作品だと思う。
    最後には勇気をもったし、自分も乗り越えなくてはと思わせてくれる作品だった。
    久しぶりに重松清を読んだけど、最も物語にのめり込ませてくれる作者の一人だと再確認した。

  • 重松氏の自叙伝かと思います。
    吃音症をもつ少年の成長を7つのお話で綴っています。
    重松作品との出会いは『とんび』でした。
    それから、いくつもの作品を読みましたが、どれも素晴らしい作品です、『きよしこ』を読んで重松氏の作品にあたたかさの中に時より出てくる生きる厳しさ試練を感じるのは、重松氏が過ごした時間に実際に体験して来た事なんだと思いました。
    人は『頑張れと!」と励まして応援はしてくれるけど、最後に乗り越えて行かないと行けないのは自分の心のなのだとこの作品を通してさらに強く思いました。
    重松作品最高!

  • 北風ぴゅう太の話がめちゃくちゃ好き。

  • 吃音というハンディがあるから見えた世界で、いろいろな人と関わりながら成長していく少年。お話は、人間愛に裏打ちされていて、温かい気持ちで読み終えられる作品でした。「北風ぴゅう太」で一段と成長していく少年の姿に、とっても嬉しくなりました。

  • 図書館で借りてきた。最初と最後のお話のつなぎ方が見事。重松氏の半自伝のような小説。恥ずかしながら吃音に対して自分は理解が足りなさ過ぎると思った。でも同じ吃音を扱った作品なら『青い鳥』の方があったかくて秀逸。2011/075

  • とても心に染み込むお話。あさのあつこさんも言っていたように、白石くんが葛藤や辛さ辛抱など、誰にも渡さず真っ直ぐに向き合って戦っていく強さが心に残る。
    自分にはない経験と辛さなのに、いつしか主人公に入り込んで同じように恥ずかしさや苦みを味わうことができる。物語だけど、リアリティをすごく感じる。自分もその場にいたかのようだ。
    忘れられない一冊になったと思う。

  • 読み始めからきよし少年を応援していた。
    私も吃音障害ではないけど、構音障害があってサ行の発音がうまくできずに、少年時代に悩んだことがあり共感できる内容が多かった。

    たくましく成長するきよし少年が頼もしかった。

    時間を空けて、再読したい。

  • 重く、やさしい語り口調が最初から私の心を揺さぶりました。

    これは、「きよし」という少年の物語です。
    吃音があって、すらすら喋れない少年のお話。
    胸がざわざわするのに、じんわり温かくなって、涙が出ます。

    とにかく、優しい。
    悔しくて悲しくてずきずきする出来事がたくさんあるのに、それを見守る何かがとても優しい。
    それは、もしかしたらタイトルにある「きよしこ」なのかもしれない。
    「きよしこ」は、大人になったきよしのようでも、月の妖精のようでも、ただの夢の人物のようでもある不思議な存在。

    最初に「君を励ましたり支えたりするものは、君自身の中にしかない」とあるように、何か教訓めいたことを言ったり、批判したりすることは一切ない。
    それでも少年の物語を通して、はっとするような気付きが散らばっています。中でも「伝える」ということに関しては特にたくさん。

    それにしても重松さんは、悲しみや悔しさの表現がすごく上手い。
    ああわかるよその感じ、としょっちゅう胸が痛みました。
    個人的には、ワッチのエピソードが小さな棘のように長く痛みを残しました。

    そして主人公を自分と同じ名前である「きよし」にしたところにまた、強いメッセージを感じました。
    「それがほんとうに伝えたいことだったら・・・・・・伝わるよ、きっと」
    最後まで泣きたくなるくらいに温かい小説でした。

  • 地元高校の課題図書として本屋さんに置いてあった重松清氏の「きよしこ」。
    吃音がある少年の物語。
    父親の仕事の関係で小学校だけでも5回も転校しています。
    無条件に周りから支えられているわけではなく、少年が一生懸命生きている姿をすごくリアルに描写されています。
    冒頭に書いてあるように、いつも傍に置いておきたい本でした。

  • 吃音、という症状を目の当たりにしたのは社会人になってから。そう広くない会議室で、私は思わず俯いた。笑いを堪えるのが必死だったからだ。おそらく、その人には私のことが見えていただろう。なんて残酷なことを私はしてたんだろう。

    数年後、その人と再会したときには、吃音はだいぶ改善されていた。また、日経新聞の私の履歴書で、ジャック・ウェルチ氏も若い頃吃音だったと知った。年齢や経験を重ねることで、吃音というのはだいぶ治るものなのかもしれない。

    本書は吃音に悩むきよしくんの物語。子供の世界はときに残酷だ。また、子供ならではの繊細さもあって、一つ一つの出来事が大事件ではないけれど、とても胸を打つ。自分が抱える問題は、最終的には自分で解決しないといけない。孤独だけれども。淡淡とした物語に、そんな冷静な意見と、きっと乗り越えられるはず、という応援が込められているような気がした。

  • 言葉に不自由していない僕は、小学生・中学生の時代に『少年』の事を笑った一人だと思う。
    それだけに今更ながらにハッとしてしまう。
    そして主人公がどんどん強くなっていく様子に少しホッとしてしまう。

  • 重松さんのお話を読んでいると、とても涙もろくなる。
    この「きよしこ」は特にそうだ。

    吃音がある少年がいる。カ行とタ行と濁音がダメ。
    会話の途中でカ行やタ行が出てくると
    素早く別のことばを探す。
    そんな気ぜわしい工夫を続けながら彼は成長していく。
    父親の都合で何度も転校をくり返しながら。

    少年の名は「きよし」。作者と同じ名前である。
    きよし少年は恥ずかしい思いをいっぱいして、
    悔しい思いをいっぱいして、それでも人にやさしい。ぐれない。
    吃音という不具合と折り合いをつけることが
    生きていく工夫になっている。
    読む者を涙もろくさせる重松マジックの
    根本の部分が「きよしこ」にある。

    そっとそばにいて少年の内面のつぶやきを
    じっと聴いていたような読後感。心の扉をやさしく叩く一冊です。

  • 吃音者にとっては奇跡のような本。
    しかしあさのあつこの解説にはイラっとした。

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きよしこ (新潮文庫)の作品紹介

少年は、ひとりぼっちだった。名前はきよし。どこにでもいる少年。転校生。言いたいことがいつも言えずに、悔しかった。思ったことを何でも話せる友だちが欲しかった。そんな友だちは夢の中の世界にしかいないことを知っていたけど。ある年の聖夜に出会ったふしぎな「きよしこ」は少年に言った。伝わるよ、きっと-。大切なことを言えなかったすべての人に捧げたい珠玉の少年小説。

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