小さき者へ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349183

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  • 父親目線で子どもと、そして家族に向き合う短編6作。

    「海まで」家族で故郷の母の元に一泊の帰省する。屈託のない次男と感情表現が不器用な長男。
    「フイッチのイッチ」転校生の山野朋美。両親の離婚で苗字が変ったばかり。片親ベテランの僕は今でも時々父に会うのだが。
    「小さき者へ」部屋に引き篭もりを始めた息子がビートルズのアルバムを買ってきた。父は宛てのない手紙を書き綴る。自分のビートルズの思い出とともに。
    「団旗はためくもとに」お父さんは応援団長。一所懸命頑張ってる者にしかエールは送らない。私は学校を辞めてどうしたいのだろう。
    「青あざのトナカイ」脱サラして商店街にピザ屋をオープンしたが、経営が行き詰まり閉店に。心が閉店するまでどれくらいかかるだろうか。
    「三月行進曲」少年野球の監督の僕が、卒業を目の前にした3人の子どもと甲子園へ向かう。

    結局結論の出ていない話が多いのだが、人生の実際はたいてい結論はでなくて区切りがあるだけ。抱えている問題が多ければ多いほど。
    またいつか読み返したい、そんな作品です。

  • もと応援団の父と娘、全く言葉が通じない。でも通じている。泣きました。

  • やっぱり良いです。重松清。
    相変わらず辛い話が多く、また何時ものように、どれも解決はされないのですが、それでも明るい方向を向いてエンディングを迎える作品群です。
    初期の「ナイフ」の様な徹底した辛さと、明るくなるのか、更に闇に向かうのか解らないエンディングに比べれば、随分大人しくなったものです。
    それでも、読んでる最中には目頭がウルウルと。困るんですよね、通勤電車がメインの読書時間の私としては。。。。
    好みで言えば「団旗はためくもとに」かな。元応援団の熱いけど不器用な父親と、反発しつつも父親を信じる娘の物語です。

  • 泣いた。

  • 色々なタイプの「親と子」の形を綴った短編集。どの短編も『子を想う不器用な親』と『不器用な親だとわかりながらもなかなか受け入れられない子』の「複雑な親子関係」のリアルな姿が見事に描写されてます。自分の思春期時代のことを思い出してみると、正にここに出てくる親子の「子」だったなーと、妙な共感が生まれる一方で、自分も2人の子供を持つ親になった現在の立場からしてみると、近い将来この話に出てくるような不器用な親にきっとなるんだろうなーと思ったり。
    までも、どんな不器用な親でも子を想わない親はいないっつうことで、不器用なりに子供には愛情を伝えて行きたいと思うのでした。

  • 親心。

  • どの話も父親として共感出来た。
    中でも
    『団旗はためくもとに』
    『青アザのトナカイ』
    が良かった。

    でも、泣けはしなかったなぁ。

  • 親子や父親の短編集。絶対泣かせるな、とわかってるのにジーンときます。小学生ってこうだった、大人が思っているよりずっと色々考えてるしわかっていること忘れないようにしよう。
    「海まで」「団旗はためくもとに」が好きです。この本借りて読んだけど多分買います。

  • 短篇集。星五つは最初の「海まで」に対して。どれも家族をテーマにした作品だけど,これはほんと泣けた(T_T)
    妻の薦めで読んだけど,すべての親にオススメ。

  • 某本好きな方からのオススメです。
    この人のオススメは当たりっぱなしです。
    すごい。


    部屋に閉じこもった息子への
    手紙の形を取った表題作の他
    「父と子」がテーマの短編集です。

    俺は中でも『団旗はためくもとに』が好きです。
    主人公の、「なんとなく」の考え方も分かるんですが
    やっぱりお父さんが素晴らしいです。
    掛け値なしに応援してもらえると心が震えるのです。


    「ここにオレたちがいるんだぞーっ、おまえは一人ぼっちじゃないんだぞーっ」



    ちなみに、タイトルの“ためく”
    って何かちょっと悩んだのは秘密です笑”

著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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