窓の魚 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 4629
感想 : 417
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349565

作品紹介・あらすじ

温泉宿で一夜を過ごす、2組の恋人たち。静かなナツ、優しいアキオ、可愛いハルナ、無関心なトウヤマ。裸の体で、秘密の心を抱える彼らはそれぞれに深刻な欠落を隠し合っていた。決して交わることなく、お互いを求め合う4人。そして翌朝、宿には一体の死体が残される-恋という得体の知れない感情を、これまでにないほど奥深く、冷静な筆致でとらえた、新たな恋愛小説の臨界点。

感想・レビュー・書評

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  • 妖艶で幻想的でいて、静かに黒い不気味さも含む。
    彼らの欠陥とズレが、各々の視点を追うごとに明確になっていき、ゾクゾクする。
    いくつかの謎に思い巡らせ、雰囲気も相まって余韻がずっと続いています。

  • 暗かった。終始暗い。みんな暗い。そして結末も。あまり物語にも入り込めなかった。

  • 同じ出来事の進行の中でコンプレックスを各々抱えた4人の目線から書かれていて、異なる主観や感覚のギャップの対比を元に繋がって行くストーリー。

    異なるコンプレックスが主になっているため全員の主観が違う。同じ出来事が違う捉え方になるのはよくある事だけれども、こうも感情やそのコントロールを含め4人バラバラなので奇妙な展開で複雑でわがままに写る。
    2組のカップルのバランスの保たれ方が今にも崩れそうで脆そうで、感情や行動の出し引きが下手くそで繊細のようで我儘で孤独に感じた。

    風の匂いや吹き方、川の流れや音や温度、タバコの煙、泳ぐ鯉等共通する普遍に見えるものの捉え方一つ一つを各々の感じ方で描写する事でその個性や感性をより際だたせている。

    猫は死の象徴と捉えるならばこの4人はその鳴き声の中にあり、猫の形を捉えなかっただけの事で捉えても自然な感じ。
    タイトルの「窓の魚」の通り4人がガラスの中で泳ぐ魚、窓は生と死の扉であり猫の存在こそ自然。

    自分が本当は望んでいない事も視点を変えて自分の過去やコンプレックスのモノサシで図れば見え方に曖昧さができそこに正当性を重ね結果的に逆転してしまう。図ったモノサシに依存してしまえばしまうほど加速してしまう。
    個性を面白いと感じるとともにコンプレックスによる自己中心性に怖さを感じた。

  • ずっと浸っていたい世界観だった。たぶん何度か読み返す作品になると思うし、その時はもっとこの小説への依存度が高くなっている予感がする。プロットもギミックも凄いが、そんな事がどうでもよくなるほど、全体のトーンが無駄なく美しい。

  • 奥が深いお話なのかもしれないけれど、そこまで読み説くことができませんでした。

  • 読み終わった後の余韻が凄い。
    終始暗い。側から見たら仲の良いグループでの温泉旅行なのだけれどそれぞれ感じていること、発していること、考えていることが異なっていて、最後まですっきり終わることはなくそれがまた 余韻に繋がる。

    他人の考察は見ずに繰り返し読んで、自分なりに読み解きたい作品

  • 西加奈子4冊目。今までにない感じ。関西弁なし。アキオの章ですわっ!謎解きか?と思われたが、謎が謎のまま終わった。少し消化不良。どうしてナツにクスリを飲ませたんだろう。不能のせい?コンプレックスの裏返し?西さんの小説には痩せてて骨ばった美しいミステリアスな女性がけっこうな頻度で出てくるなぁ。でもこういう話も好き。

  • 4人の温泉旅行。仲良しなわけでは無い。大人の旅行。
    同じ時間がそれぞれの目線や考え方で4パートに分かれていて語られる。
    どの人も陰がある。

  • あまり入り込めず読み進まなかった…
    表現は美しく、繊細。
    私の想像力が足りないのかもしれない。

  • 4人それぞれの人生だけど、みんなどんより、暗く読み終わった後もスッキリせず、こちらまでもどんよりとした。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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