- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101349565
感想・レビュー・書評
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なんとなく手を出していなかった西加奈子さん。
うーん、仄暗い雰囲気や感覚的な語り口は嫌いじゃないんだけど、最後までぼんやりしすぎていて入り込めなかった。
結局死んだのは誰だったの...
あの人かな?とは思うけど、答えが欲しくなってしまう。
たぶん想像や推理で補完するのがこの作品の楽しみ方なんだろうけど、推理しながら読む癖がない私では魅力を理解するのに力不足だったかも(ミステリーは素直に読んで驚かされるのが好き)。
でも、同じ一日を4つの視点から見る構成や、登場人物それぞれの独白自体は面白かった。
みなさんのレビューを見ていると、この作品は西加奈子さんの中では少し異色なんでしょうか?これに懲りず他の作品も読んでみようと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ぞくぞくした。余韻が凄い。
人には暗く欠落した部分があって、どこかにガラスの壁を持ってるのかもしれない。
誰かとこの本について討論したくてうずうずしてる。 -
西さんってこういう文章を書くんだと思う。
4人が同じ場所に集まっていても、何か傍目からはわからないものを抱えている。
結局人はいつだって1人の孤独な生き物なんだということを思い知らされているようにも思う。
そして宿には死体が見つかる。個人的には、はかなさの象徴のようにも思う。
4人がそれぞれ抱える闇をいつか克服する日は来るのか。
おそらく来るけど。 -
これまで読んだ西さんの作品の中では
かなり苦手な部類に入る。
二組の男女が温泉にやってくるとことから始まる。
同じシーンを
4人の視点から繰り返し表現されている。
同じことをしていても
決して同じことを考えているわけではない
ということを思い知らされる。
モノクロの映像の中で
時々強烈な色を放つような不思議な感覚だった。 -
西加奈子2冊目だけど、人物の心について憚らずに書く人なんだなーって思う。そして文中のリズムとか、詩的な表現とかがいい。ただ、今回はストーリーがはっきりしていなくてあまり好みじゃないかな。
この作品では一人一人の視点から章が分けてあって、中盤くらいからミステリーっぽく見せてあるような文が見受けられる(「死んだ人の名前がデタラメで身元が判明しない」とまで書かれているのに、最後まで真相がぼかされて納得いかない笑)
そのせいで結局死んだのは誰かが気になって、最後の方集中して読めなかった笑
まあ、読者に解釈を委ねているのだろうけど。想像力の欠如と白黒つけたい性格のせいで私は楽しめなかったなぁ…何度か読めばまた違うのかも。読む人によっても、読むタイミングによっても捉え方が変わってくると思う! -
文章自体は簡単だが、そこに暗示される意味を汲み取ることが難しい。2回読んでぼんやりと輪郭が掴めた感覚。でも、3度、4度繰り返し読むと、どんどん印象が変わっていくのかもしれない。
久しぶりに深みのある本に出会えたような気がする。 -
二組のカップルが喧騒から離れた川沿いの温泉宿を訪れる。それぞれにいろいろな過去を抱えて、お互いに何か思うところもありそうで。
安易なミステリー物にせずに、丹念に過去の描写をして含みのある会話と行動をさせるところが良い。
この物語の真相も、その後も、一つに結論づけるのではなく、いろんな可能性を想像してみるのも面白いかなと思う。一気に読み進めて、その後でじっくり反芻して自分なりの輪郭をもたせてみたい。
2015.8.19 -
西加奈子らしくない小説を読んでしまったのではないか。このような一面があるとして、別な作品も読んでみないと。個人的には、あまり良くない意味で〝繊細な〟作品だと思う。
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西さんはこんな作品も出しているのか、と驚いた。美しさと薄暗さにどきりとする作品。