- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101349800
作品紹介・あらすじ
織田方の軍勢は木津砦に襲い掛かった。雑賀党一千の銃口が轟然と火を吹き、その猛攻を食い止める。本願寺門徒の反転攻勢を打ち砕いたのは、京より急襲した信長だった。封鎖された難波海へ、ついに姿を現す毛利家と村上家の大船団。村上海賊には、毛利も知らぬ恐るべき秘策があった。自らの家を保つため、非情に徹し、死力を尽くして戦う男たち。景の咆哮が天に響く――。波瀾の第三巻。
感想・レビュー・書評
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人それぞれ、想いの違いもあり、また方向は違えど同じ志で戦に挑むなか、景の戦への心構えとその変化がテーマになっている三巻。
史料が頻出し、背景をよく補足してくれるのがとても助かる反面、それが物語の進みを遅くしているのが計四巻になる理由か。
次巻がラスト、どう決着するか楽しみだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主人公が成長する第3巻
物語の転換部。
脳内お花畑の主人公が現実を知り、打ちのめされても立ち上がり、強大な敵に立ち向かう。
少年漫画の熱い王道パターンがここにもあった。
今の日本にはこんなに熱い人達はいないよなー。
☆3.9 -
武吉はうつむき、しばらくの間、黙った。だが、やがてその肩を揺らすと、痛快と言わんばかりの哄笑を放った。
「俺の子だなあ」
ほどなく乱世は終わる。海賊の栄華も終焉を迎えるはずだ。それを分かっていながら自家の存続に汲々として戦するなど、空しい限りだと思っていた。
なのになぜ戦うのか。
その答えを目の前の娘が持っていた。他愛(たわい)もない、限りなく浮世離れした答えだったが、武吉の心は動かされた。それどころか、その青臭い言葉にうなずいている己自身を、どこか見直すような気分になっていた。(244p)
映画でいうと、ちょうど90分経った頃の話がこの巻である。観客はここで「何か」を持って帰らないと、何のためにお金を払って二時間使ったのか、ということになってしまう。
何かとは、「何のために戦うのか」ということだ。
景は、己の現実離れした考えに、とことん嫌になる。なるほど、戦国時代の戦は、何よりも「自家存続」云うなれば「自分の利益」のためである。そのためには忠義もない。単なる情に流されてはならぬのである。
しかし、海賊とは何なのか。もともと武士ではなかった。農民でもない。彼らは自由だった。もともと自由を求めて、生きてきたのではなかったか。そんなことは、この小説には一言も書いてはいない。そして、私は武吉の気持ちが良くわかる。景の気持ちも。
次巻、和田竜による小説版映画作品、果たしてどう決着つけるのか。期待に応えてくれよな。
2016年8月読了 -
1巻より2巻、2巻より3巻!
どんどん世界に引き込まれて、どんどん面白くなっていく。
日本の海賊の知識はまったくなかったけど、カッコイイ!とにかくカッコイイ!
武士ともまた違う独特なしきたり、負けん気の強さ、血の気の多さ。
歴史を踏まえながらも、一人一人のキャラクターがしっかり書かれていて、みんな好きになる。
3巻は景親が推せる。 -
戦いの非情さを思い知らされ、戦の場から身を引こうとしていた景姫は、「他人のために戦っている」門徒たちのために戦おうと、再び立ち上がる。
景姫の反転攻勢が始まる。物語はいよいよ佳境へ! -
続きが気になる!
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いよいよの海戦…に至るまでの話が凄か
った。眞鍋も村上も沼間も児玉も雑賀もそれぞれの立場で熱い。冷静になると馬鹿でもその熱さがまたいい。この戦の行方と、景が目的をはたせるかどうか…とても気になります。 -
表紙の絵のせいか、ジブリかワンピースを思い出す。そのうちアニメ化ありそう。
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七五三兵衛にやり込められた景はお姫様・夢見る乙女であった。
ただ、このまま大人しく奥に入るとは思えなかったが、こんな展開になるとは。
ワクワクした。
終盤の村上・毛利の漢たちの心意気にスカッとした。
次巻、最終話、期待が高まる。