村上海賊の娘(四) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349817

作品紹介・あらすじ

難波海の睨み合いが終わる時、夜陰に浮かび上がったわずか五十艘の船団。能島村上の姫、景の初陣である。ここに木津川合戦の幕が切って落とされた! 煌めく白刃、上がる血飛沫。村上海賊の投げ放つ焙烙玉が、眞鍋家の船を焼き払う。門徒、海賊衆、泉州侍、そして景の運命は――。乱世を思うさまに生きる者たちの合戦描写が読者の圧倒的な支持を得た完結編。

感想・レビュー・書評

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  • 一巻〜四巻まとめて。面白かった。何が面白いかというと、眞鍋七五三兵衛のキャラクターに尽きるでしょう。景姫より七五三兵衛が主人公なのではと思ってしまうほどです。船戦で死ぬ直前まで面白いことを言う泉州侍も粋だ。
    この四巻は小説のクライマックスで木津川の戦いを両軍の一進一退で描いており、まるで映画の様でした。
    主要参考文献の量も半端じゃない。
    著者の力の入れようを感じました。

  • 最終巻

    終始戦闘シーン。熱い攻防戦に手に汗にぎるが、さすがに長すぎて飽きる。
    ラスボスがゾンビ耐久

    はじめて時代小説を読んだが、日本史に興味を持つ理由がわかる気がした。
    1番嫌いな教科が歴史だったけど、こういう作品を読んでいたらまた印象が変わっていたかもしれない。
    そう思わせてくれる作品でした。
    ☆3.3

  • ー自家の存続。
    木津川合戦にかかわった者のほぼすべてが望んでやまなかったこの主題は、結局のところ、誰も果たせなかったと言っても過言ではない。(349p)

    和田竜の作品を読むのはこれが初めてだった。しかし、映画は観た。「のぼうの城」である。あの作品は、派手めなところは荒唐無稽に見えて、話の大筋は史実に沿っていたのが、大きな魅力だった。驚いたのは、主人公たちのその後をキチンと史料に沿って説明していたことだ。かなり突き放した感じで、説明していた。のぼうに恋い焦がれていた「姫」の想いが全然叶わなかったこと、わざわざ説明しなくてもいいのに、とさえ思った。

    しかし、「史料」には時々裏がある。或いは、彼らの行動の多くは事実だったとしても、行動にうつるその「想い」は史料を書いた著者の意図と離れている場合も多い。私は映画を観て、城の明け渡しを百姓のために拒否したのぼうの想いを疑いはしない。映画や小説で、延々と描かれる細部に真実は隠れているだろう。

    和田竜が、小説描写の合間合間に、異様に「史料」を挿入するのは、史実の合間に隠された、想いの真実を、浮かび上がらせたいからに違いない、とこの長編を読んで確信した。

    「鬼手」が史実としてあったかどうかが、問題ではない。「鬼手」という秘策によって、海賊たちが、海賊らしい戦いをした「史実」が問題なのだ。

    木津川合戦の後の登場人物たちの人生を説明した後に、和田竜はこう書く。それには、ここで説明されなかった真鍋七五三兵衛の事も、当然入るだろう。

    ーそれでも、いずれの人物たちも、遁れがたい自らの性根を受け容れ、誰はばかることなく生きたように思えてならない。そして結果は様々あれど、思うさまに生きて、死んだのだ。(349p)

  • 面白かった!
    マンガライクなエンターテイメントストーリ!
    本屋大賞、吉川英治文学新人賞ダブル受賞
    毛利家と織田家の第一次木津川口の戦いを下地にした物語

    第4巻ではいよいよ村上海賊たちと泉州侍たちの水上戦!

    焙烙玉を使った村上海賊達の攻撃!
    そして、それを迎え撃つ七五三兵衛達
    一進一退の攻防です
    景はどうなる?
    七五三兵衛は?
    村上海賊たちのは?
    泉州侍たちは?
    この合戦の先はどうなる、どうなる!
    あっという間です。
    しかし、この水上戦は専門用語も多く、あまりよくイメージできませんでした(笑)
    映像化希望!!

    水上、船上をベースとした大スペクタクルエンターテイメント
    とても楽しめました。

    とってもお勧め!!

  • 解説によると、登場人物はすべて実在の歴史上の人物(源爺や留吉以外)であるそうな。
    膨大な史料を駆使し、史実に則りながら、登場人物に血肉を与え、ここまで生き生きと描き切った著者の手腕に畏敬の念。
    そして、村上氏の系図に「女」とあるのを見つけ、彼女に景姫と名付け、想像力と構想力で縦横無尽の活躍をさせる。
    その死闘ともいうべき戦い(劇画チックな場面もあるが<笑>)は、血沸き肉躍る冒険活劇となり、読書の醍醐味を堪能させてくれた。

  • 読書する人に薦められて読んだ。
    人のおすすめ本は素直に読んでみるのがいいと学んだ…。

    一巻は情報を飲み込むのに必死で、読むのに少し苦戦したけど、ニ〜四巻はあっという間に読み切れる。
    実在した人物たちの、実際にあった戦をもとに、ここまで話を丁寧に描ききれる和田さんにただただ敬服。

    七五三兵衛が強すぎて、ジャンプとかにある、有り得ないほど最強敵キャラが出てくる作品を読んでるんじゃないかと思った。
    戦国時代の海賊衆の生き様カッコイイ!!!

    制作費がかかりすぎて映画できないのかなぁ。是非映画化を。

  • 20190306
    安土桃山の戦国時代における海賊、村上海賊の娘を主人公とした歴史物語。
    様々な家柄を題材に男たちが群雄割拠する中、1人男勝りな村上武吉の娘、景の生き様が光る。
    引き立て役となる脇役の中で、注目すべき点を列挙する。まずは織田信長。登場回数は僅かだが、泉州の本願寺を攻め込む有名な戦いについて、信長の神速さや、寡黙かつ大胆さについて生き生きと描かれる。
    それに対する毛利家の面々は、児玉就英を中心に武士道に通ずる生き様が描かれる。『葉隠』が引用されるように死に様を追求する男たちが生き生きとして語られる。
    そして、木津川砦の戦いで最大の敵となる真鍋家。中でも七五三兵衛が最強かつ印象的。ユーモアである俳味を何よりも重視し、どんな場面でも持ち前の明るさを失わない胆力がずば抜けている。
    そして、最後に村上海賊の一族。娘の景の人物像については1番描かれているが、時折自分でも共感できないピュアさを持ち合わせる。おそらく読後全てを共感できる人物であれば並みの人物であるが、常識・人知を超えた性格を持ち合わせていたからこそ、人から一目を置かれる存在なのかもしれない。人に流されない自分の価値観を持ち続ける強みを見た気がする。
    沢山の人物を述べてきたが、総括としてこの時代の人たちは、忖度という概念が存在しない。他者や権力を持つ目上の存在に対して取り入りはするが、少しでも自分の利益とならないことが分かれば、すぐに立場を変える。言い換えると、自分本位の生き方をしているのだ。今の時代だからこそ、戦国時代の人たちの生き方は脚光をあびる。個人がいかに生き、自分のために生きるか?しかも、俳味や生き様といった世の中への影響を伴って生きるかという、我々が考えても止まない生き方を体現している時代であり、もっともっと興味持って見てみたいと思う。

  • 初版時から読みたかったのだが、やっと文庫化されてブックオフ落ちしたゆえ購入できた。和田竜氏の作品では3作目であり、「のぼうの城」から注目していたが今作は文句ナシの面白さ、大傑作、まだ若い和田氏であるが氏の作家人生の中でも序盤における、一つの到達点ともいえるのではないか?本日現在今作をとりまく情報に詳しいわけではないが、近い将来アニメ、映画あらゆるメディアミックスの中で、ヒロイン景はその魅力を発散させ輝き続けていくであろうと予測する。

    木津川合戦をベースに、実在した人物達に氏のアレンジが加わり(そのアレンジも精緻な取材の上になされたものであり、全くの創作ではないだろうと判断する)魂の籠ったキャラ達が敵味方入り乱れて、命を散らし、散り際を輝かせようとする。

    日本の歴史に詳しくなければ「木津川合戦」も知りようがないだろうが、戦国時代のこの一イベントを取り上げここまでの壮大なドラマに仕立て上げた和田氏の時代小説家としての力量に、感謝とこれが読めた幸運に感謝である。

    4巻末には、実在の人物達のその後が希少な文献をもとに綴られていた。能島村上で唯一の嫡子である女子がいたという事実、これが今作のスタートだったことが知れてあらためて時代小説の深みに触れた気がした。

    万人にお勧めしたい!読むべしと…

  • 心熱くなる本でした!
    正直文庫本3冊目に入っても手応えがつかめないまま読み進めていましたが、最後のくだりのための助走にすぎませんでした。
    最後まで読めて良かったです。

  • 城山三郎「秀吉と武吉」とは違った村上海賊を読んだ。景を通して、悪の敵を成立させずに合戦に突入。3巻からの木津川合戦からは引き込まれて一気読みになった、
    沼間義清の死がもっとも心に残った。こいつを助けてやりたかった…

    飛行機で瀬戸内海上空を通ると、のどかな島々が伺える。450年ほど前にそんな激しい戦いがあったとは思えないほどの綺麗な景色だ。まさしく「つわものどもが夢の跡」

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