草祭 (新潮文庫)

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著者 : 恒川光太郎
  • 新潮社 (2011年4月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101351315

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草祭 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 美奥という架空の町を中心にした連作短編。ある話でちらりと登場した人物が別の話で主役になっていたりもする。
    屋根猩猩は『謎の放課後 学校のミステリー/角川文庫』にて既読でしたが、別の話とつながっていて驚いた。

    ・けものはら
    けものはらという不思議な土地に迷い込んだ二人の少年。何年か後にそこで一人が母親を殺す。
    母親のいやらしい感じの描写が胸に詰まった。
    全部読んだあと、水筒の中身だとか、佐藤愛の母親のことだとか、警告をした不思議なおじさんの事とかが分かった後にもう一度読んだ。

    ・屋根猩猩
    『謎の放課後 学校のミステリー/角川文庫』にて既読。
    ショウタのことが謎だったけど、この後に出てくる『天化の宿』にちらっと出てきて、美奥周辺の住民だと言うことが分かった。

    ・くさのゆめがたり
    美奥や全編通して出てくる不思議な薬(クサナギ)について、誕生の秘密がここで書かれている。

    ・天化の宿
    タイトルからすると、ここでクトキ(苦を解く)した人は別の生き物になって生まれ変わると言うことでしょうか。
    『銀の船』という話でも出てきましたが、別の生き物になって生まれ変わるというモチーフは恒川作品に良くあるような…。
    他の話に何度か出てきた太鼓腹のおじさん『親分』の正体はここの旦那さんだった。
    いい人なのかそうでないのか分からないな。

    ・朝の朧町
    最初に収められていた『けものはら』で主人公を助けたカナエ先生が主役。佐藤愛の母親でもある。
    長船さんが拾った珠の正体が謎。不思議。ここの中の土地はいずれ、けものはらになると言うことなのでしょうか。

    全体的に良く練られたパズルのような構成。読み返すとまた一つ仕掛けられたピースに気付き、何度も読み返したくなる本です。

  • この世界のひとつ奥にある
    美しい町"美奥"を中心に
    繰り広げられるダークファンタジー

    異世界とは
    そんな遠くにあるものじゃない
    残酷な人生に差し伸べられる手も
    身勝手な母親を喰らい尽くす闇も
    全て、普段目には見えない
    ”何か”なのかもしれない...

    恒川さんの作品は
    初めて行く場所や、奥の細道を
    少し迷えば辿り着きそうな
    どこか懐かしく、なぜか切ない
    心の故郷が描かれる事が多いです

    読み終わった後も
    もう一度あの町へ出掛けたくなる
    そんな世界観に魅了されてます。

  • いやあ、 良かった!

    相変わらず文が透きとおってて
    キラキラしてる空気感なのに内面が見えた途端 恐ろしくて。
    文章の力ってスゴい。というか 恒川氏 スゴいな・・・

    一度も見た事のない異空間なのに 行った事があるような気持ちをずっと感じ続けてよんだ。

    感動のあまり 家族にマシンガントークしたけど抽象的な言葉の連発で
    ??の反応された。

    恒川氏の文章に触れた人だけが行ける異空間・・・
    てとこでしょうか。

  • 「美奥」という町を舞台に五編の不思議な物語を紡いだ連作短編集。ほっこりする話からおどろおどろしい話まで様々。筆致は淡々と、どこか郷愁漂い優しく、幻想的で、そして怖さも併せもった不思議な雰囲気の傑作。
    どれも好きだけど特に好みは『屋根猩猩』『天化の宿』かな。

    『けものはら』
    失踪した高校生の友人は〈けものはら〉で獣へと変貌していく。それを見守りながら、彼の語る母親の確執を聞く主人公。悲しいホラー。
    『屋根猩猩』
    高校でいじめられている少女は、屋根猩猩に憑かれた不思議な少年と出会う。屋根猩猩に憑かれたら自他共に認める町の守り神として行動し、それは受け継がれていく。ほのぼのストーリーだけどよく考えるとこれ怖いよね。すごい好きだけど。話のまとまりも一番よい。
    『くさのゆめがたり』
    悲しい美奥の過去。山で育てられ、叔父から薬や毒の作り方を学んだ少年はやがて里で過暮らし始める。人とは違う感覚で生きる少年は何を為してしまうのか。重い話なのに読後感が清涼な不思議。
    『天化の宿』
    「苦解き」のために「天化」という不思議なカードゲームにのめり込んでいく少女。「天化」で見る不思議な光景。彼女の苦とは。童話のような怪談のような。ラストが爽快で印象的。館の親分たちは何者なんでしょうね。
    『朝の朧町』
    ガラス玉の中に作ったという不思議な町に連れて行かれて。生々しい現実と比べ、そこは居心地のいい場所で。
    最後の二編が、現実に立ち向かい生きていく結末で前向きな印象。
    抗えないものに翻弄されながらも皆それぞれたくましく生きていく。

  • 美奥という奇妙な町で起こる不思議な出来事
    それは因果か偶然か
    めぐる時の中で魅せられたように生きる人々のお話

    「けものはら」
    水路をたどって行き着いた先にあったのは、周囲を崖に囲まれた、岩のある野原

    「屋根猩猩」
    夜になると、守り神の獅子舞が屋根の上を通り過ぎて行く
    公園で出会った男の子が記憶の中で語っていた

    「くさのゆめがたり」
    山に生きる少年は、生き物の気配を感じ道を読む
    ただその知識、特に毒に関しては消して口外してはいけないよ
    美しい山の奥での始まりの物語

    「天化の宿」
    線路を伝ってやってきたクトキの少女は
    森羅万象に通ずるゲームを始める
    即座にのめり込む少女がそのゲームの果てに見るものとは

    「朝の朧町」
    旅先で出会った壮年の男との同棲生活
    与え与えられの日々は充足していてとても居心地がいい
    元は美奥に住んでいたというその男が語るのは
    いつも夢のような話



    **以下感想ネタバレもあり**



    どこか懐かしく、しかしぞっとして、でも引き込まれる
    そんな話だった
    美奥という町を舞台にした不思議な物語
    5話の内容は舞台を同じくしてるだけに各々関わりがある
    起源にも触れられていて、読後がスッキリするものだった
    どれも悲劇で終わるのかと言えばそうでもないので、
    構えずに読んでいいと思う
    そこまで、超怖い!!!というほどのホラーでもないのがまた丁度良かった

    内容は
    春は残念な結果になったのでタカヒロに期待したのだけど
    このコもちょっと残念なコで
    あぁ登場人物に期待したらダメな感じかぁと残りは読み進める
    タカヒロ、嫌いではない!

    しかし春の母親は無理心中をはかろうとしたの?
    春だけに飲ませて一人帰ってきて、警察にまで連絡してと、
    獣原にいる春が絶対に見つからないのを確信して自演していたようにしか見えないのだけど…
    後から追うつもりだったんだろうか?

    藤岡さんはとてもイイキャラw
    後ろ3つに出て来る女のメイン人物はどれもイイと思う
    思考が淡々としていて好み

    タカヒロとは甘い恋愛関係に発展するでもなく
    始終「えぇっwwww」という感じの行動で
    とても飽きなかった2話目

    3つ目の話は美奥の始まりとそこに棲む、いや起こる?
    出来事の起源の物語
    禁断の薬クサナギをめぐる、悲しい物語
    終盤、テンが非常に淡々と行動に移していって、
    ああこの子は穏やかな狂気に堕ちてしまったんだなぁと寂しい気持ちになった

    4つ目はゲーマーとしてそのゲームがとても気になるところ
    だがよくぞ途中辞退したなと拳を握りました
    とても魅力的だったはずなのに
    ゲームになど興じていないで、まだここでやることがあるのだと
    おばさんの言葉が胸に響きます………

    5話目
    例外的に美奥の外の話だけど、結局そこに還っていく
    結局あそこは……

  • とんでもない読後感に圧倒されて言葉が出てきません。

    恒川先生の物語の世界に迷い込むと下からふわっと掬われるような浮遊感を感じることが多々ありますが、今回は特に「天化の宿」最後の数行の解放感が凄まじかったです。次の短編にいくまでしばし呆然としてしまいました。

    背筋がぞわぞわするような、夏の夜に読みたい和風幻想ホラーの傑作です。

  • 【9月の恒川光太郎】◆『夜市』『雷の季節…』に続き恒川本3冊目(絵本除く)。前2冊とは読後感が少し変わり、ちょっとめんくらいました。ここで描かれているのは「対決」ではないのですね。異界に通ずる地「美奥」はただ在って。そこに在るか出るかは主人公の意志に委ねられている。清濁併せ持つ混沌の異世界。◆ドライな女子高生ものの「屋根猩猩」はいつになくコミカルな展開で面白かったです。◆5篇相互の関係も気になるので、早めに再読予定。【10月の恒川光太郎】は文庫化されたばかりの『竜が最後に帰る場所』を楽しみたいと思います♪【2013/09/30】

  • この世と少しずれた先にある「美奥」という美しい町。その土地の因果に触れた者たちの送る5つの不思議な物語。美しい自然の気配と不安を煽る話運び、今回も恒川ワールド堪能しました。「けものはら」「屋根猩猩」は今どきの中高生が主人公なので少々軽めの言葉遣いがいつもの雰囲気と違って新鮮でした。登場人物が少しリンクしていたり、昔・現代と時代も違ったりと『美奥』という土地の広がり奥行きも感じられました。

  • むぅ、これ絶対表紙詐欺。いやすごくいい作品だったので詐欺っていうと語弊があるけど表紙の温かみのあるイラストとは裏腹に内容は結構どれも寂しげで悲しい話が多かった。どの話も現実の世界を舞台にしてはいるのだけれど、どこかが少しだけ現実とはズレていて、文章は割と淡々としているのだけれどそれがまたなんとなく不気味な雰囲気を醸し出していた。個人的には「屋根猩猩」がオチも込みでなかなか好き。前半のタカヒロという男の子が守り神として屋根を飛び回り、細々とした人助けを行っているという設定が不思議でおもしろかった。そして最後には主人公が次の守り神の役目につくという終わり方。別にバッドエンドとかではないのに何故か少し怖い。憑かれているというよりも人智を超えた「何か」によって、天気の移り変わりを誰も制御できないように守り神の役目を受け継ぎそこになんの疑問も感じないというところにゾクっとした。しかし他の話も本当に独特でおもしろかった。

  • 触れようと思ったわけではないのに、何かの瞬間に、
    偶然に触れてしまったことで美奥の不思議な空間と
    繋がりを持ってしまった人たち。
    望んでそこに行く人、戻る人。住み着く人。
    幻想的な美奥。美しい山の奥。
    どこか懐かしいような、少し哀しげで残酷で、そして優しくて
    御伽噺に耳を傾けているようなそんな気持ちにさせてくれる。
    やっぱり疲れているときは恒川氏の幻想に浸るのがいい!

  • 恒川光太郎連読み六冊目。そして、現時点での文庫化作品オーラス。かつ、恒川光太郎連読み、自分の中での一区切り。
    「美しい山奥」美奥という町を舞台にした連作短編集。
    表紙の装丁(読後に見返すと、また、グっとくる)が角川ホラー文庫とは随分違うと思っていたら、中身も。特に中高生が主人公の『けものはら』『屋根猩猩』『天化の宿』では、こんな書き方もするんだ…、と思わされた。
    恒川光太郎初心者は、ココが入口っていうのもアリだと思える。逆にゾクっとする感じは控え目。
    個人的好みは『朝の朧町』『屋根猩猩』(この二つの順は微妙)『くさのゆめがたり』『けものはら』『天化の宿』の順かな?!
    ただし、連作短編なので、順を追って読んでいただかないと……。

  • 連作短編集。恒川光太郎作品の中で(いまのところ)一番好き。

  • 美奥の世界観がとにかく素敵でした。
    その光景が実際目に見える事はありませんが、読んでいると見えてくるような気になれてしまう不思議。
    人々の背景にあるものは美しいわけではないけれど、良くも悪くも純粋に思えます。
    「天化」のゲームそのものが楽しそうで気になる。苦解き抜きでもやってみたい。

  • 恒川光太郎の綴る怪しく美しい不思議な異界の里「美奥(びおく)」にまつわる5話からなる短編集。各話の登場人物は美奥の地で何らかの形でリンクしており、それぞれの立場で不思議で恐ろしい体験をする。
    心中、いじめ、殺人、不倫といった現代社会での生活に存在する苦難故の人の心の闇とその浄化をテーマに優しい文体で語られる物語はホラーというより寓話やファンタジーといったジャンル。
    初めて読んだ『夜市』からファンになり探した本書。何とも言えない世界観と文体に癒しを得た読後感は日常にぽっかり存在するであろう異界への憧れなのか。

  • 恒川氏の作品は、いつも情景がはっきりと浮かんできます。
    個人的には「くさゆめものがたり」「天化の宿」が好きでした。特に天化は、読んでて実際にゲームとしてやってみたいと思いました。

    「屋根猩猩」も良かったけど、実際になったら困るな~とかいらないことを考えてしまった(笑)

  • タイトルが示している様に終始草花の情景描写が垣間見える。自然の根源、生命の源。それらの草花は匂いすら感じる。また誘われてしまった。また迷わされてしまった。素晴らしいよ、ツネコーワールド。『美奥』と呼ばれる非日常的な異世界を舞台にした連作短編集。捨て短編一切無し。この世の物と思えぬ風景や不思議な生き物登場に「待ってました!」と諸手を挙げる。祭りだワッショイである。『美奥』という土地の謎、それに関わる人間達の謎。ちょっぴり怖いが何故か温かい。そしてその『美奥』は懐かしささえ感じる。新年一冊目、最高の出だしである。

  • 美奥という町にかかわる連作短編集。
    気に入ったのは、「屋根猩々」と「くさのゆめがたり」。
    登場人物やものや場所がリンクしていて、たまにページを戻って確認したりした。
    やはり情景が美しい。青い珠の中の町とか、美しい泉とか、森の駅に停まるトロッコ列車とか。
    また読み返したい。

  • 美奥という村に纏わる短編集。


    けものはら ★★
    昔母親に殺されかけた春が、同じ方法で母親を殺す話。

    屋根猩猩 ★★★
    尾根崎地区の守り人の話

    くさのゆめがたり★★★
    美奥の由来となる話。

    天化の宿 ★★
    天化をして苦解くする話。
    一番好きな世界だったけど、最後がイマイチ。


    朝の朧町 ★
    自分の記憶や、いる人の記憶が混じり合ってできる町の話。

  • 教訓めいた昔話のように結構容赦のない描写がある。どれも仄暗い夢の中にいるような短編集。「屋根猩猩」がわかりやすくて好き。ラストぞ〜っとしたけど。

  • 恒川作品、「夜市」「雷の季節・・・」に続いて3冊目。
    「夜市」でみられたノスタルジックさが、またこの作品では違うテイストで味わうことができた。
    個人的には「けものはら」の雰囲気が大好きである。

  • 短編5つ。
    〈美奥〉というひとつの町を舞台に、いろいろな時代を描いているので、連作短編という感じ。連作短編が好きだからってのもあるけど、わりとどれもよかった。

    特に、「くさのゆめがたり」がとってもすき。〈美奥〉の町ができたときの物語。

  • 不思議な町「美奥」に関わる5つの短編集。
    「けものはら」「屋根猩猩」「くさのゆめがたり」「天化の宿」「朝の朧町」。
    「屋根猩猩」がわりと好き。恨みがましいノートをつけている主人公が愉快だけど、少しこわいような読後感にどきりとする。

  • 全て不思議な話であるはずなのに、物語の節々に「日常」が見え隠れするので読んでいると奇妙な感覚に陥る。

  • けものはらがお気に入り

  • ビブリオバトルで紹介されました。

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