猫泥棒と木曜日のキッチン (新潮文庫)

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著者 : 橋本紡
  • 新潮社 (2008年11月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101351827

猫泥棒と木曜日のキッチン (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 主人公の女子高生みずきは、母親に家出されて5歳の弟と家に取り残されてしまった。
    しかしまあお金はあるし、もともと不甲斐ない母親で家事にも慣れていたため、典型的なネグレクトであるにも関わらず驚くほど普段通りの日々が進行していく。
    変わったのは、庭に猫の墓が増えていくこと。
    母親の家出後、みずきは轢死した猫をみつけると持ち帰り、自分の家の庭に埋め始めた。
    その過程で知り合ったのが、元サッカー少年の同級生・健一。
    健一は母親の起こした事故の影響で足を痛めてサッカーができなくなっていた。
    みずきと健一は毎週木曜日に、みずきの弟・コウを交えて夕食を共にする。

    みずきはもともと家庭環境に恵まれていないせいか、始終どこか達観して描かれているけど、死んでほうっておかれている猫を持ち帰ったり、かなり年上の既婚男性に恋心を抱いていたりなど、端々に母性や父性の欠片を求めている感じがした。
    木曜日、健一と食卓を囲むのも、文中にあった通り「幻の温かい家庭」を演出したかったから。
    健一は健一で、思春期らしい悩みや、怪我した足の事で、周りの気遣いが時に重く感じるのに言い出せないもやもやしたものを抱えている。

    終盤になると、みずきと健一は猫をろくに育ててない女性から猫を救い出すという荒っぽいことをこなす。
    これが物語の山場。
    このあと、みずきは
    「どうにもならないけど、運命何て変わらないかもしれないけど、その時がくるまで精一杯生きよう」
    と覚悟ができている。
    この覚悟に関して思うことは人それぞれかもしれないけど、人生にある種の覚悟を持つということは、それだけ人生をよく見つめられているということで、子供から大人になる一歩だと私は思います。

  • みずきは小学生の弟と二人暮らし、最初の父は死に、次の父は家出、母は最近家出して不在。そんな日常のお話し。大変な日常だけど楽しんで暮らしている感じが良かった。そうやって何とかなっていくんだと希望が持てるようなお話だった。

  • ある日、お母さんがいなくなった
    こんな一文からはじまるにもかかわらず、淡々と生活していく主人公のみずき。
    でも心のなかではいろんな感情がうごめいていたりする。
    猫に自分を重ねているのか、猫に希望を託しているのか。
    切ないけれど、どこか共感できる作品。

  • ☆4
    ―――――――――――――――――――――――――――――
    お母さんが家出した。わたしと弟のコウちゃんを置いて。だけど、友達の健一くんだって応援してくれてるし、私は大丈夫―。そんなある日、高校生みずきは道端で「絶望」に出会う。
    ―――――――――――――――――――――――――――――
    身勝手に、動物を、あんなふうに扱うおばさんにめちゃくちゃ腹が立った。フィクションだけど。フィクションじゃないのかも。みずきがんばれ。

  • 猫泥棒と木曜日のキッチン。

    2冊目の橋本紡さんの小説。

    母の家出。二人の父親。健一の恋。欠けているみずき。猫泥棒。


    笑い話になるような下らないこと、呆れるようなタイミングで、いろんなものが壊れてしまう。そして、一度壊れてしまったら、もう決して元には戻らない。くしゃくしゃに握り潰した紙と同じで、どんなに引っ張っても伸ばしても、たとえスチームアイロンをかけても、もうピンとした元の状態には戻らない。

    生きるって、そんなもの。

    そんな言葉に胸が痛くなる。


    受け入れることと、受け入れることができないことは、確かに存在する。
    それを自らの目で見るか見ないかは、世界が変わるか変わらないかに等しいんだ。

    箱の中の「絶望」との出会いは、世界を変えたに違いない。

    すべてが暗く重いはずなのに、何故か明るい情景が浮かんでくる、少し不思議な話。


    去年の夏に出会った、二匹の猫のことを思い出しました。

  • 母親が家出して、高校生のみずきは弟のコウちゃんと二人で生きていくことを決める。
    そんなみずきは、道ばたで轢死した子猫を見つけては庭に墓を作っているのだが……

    最初から最後まで橋本紡らしい、やさしい小説。
    可もなく不可もなく、強く心に残るものではなかった。
    グロテスクな描写が少しあるので、苦手な人は注意かも。

  • 恋人の元へと家を出て行ってしまった母に取り残された、女子高生の主人公と5歳の弟。
    子猫の轢死体を持ち帰っては弔い、原因を突き止め、猫泥棒を決行・・・

    あらすじを全部書いたらまるまる本一冊になっちゃいそうな、小説らしい小説でした。
    とりあえず冷製パスタの描写がいかにも美味しそうで、(食べたことはあるけど)物凄く食べたくなりました。ちょうど暑いしね。

  • お母さんが家出をし、突然ふたりだけで暮らすことになった17歳の高校生みずきと、父親違いの5歳の弟・コウ。
    救いは、みずきは家事全般が得意であり、一軒家に住み、お母さんが置いていった通帳にそれなりのお金があったことだ。
    端から見れば可哀想だの、大変そうだのと思うかもしれない。当人からすれば、今を生きていかなければならないのだから、ごちゃごちゃ言っても仕方ない。
    腐らずに現実を受け入れることのできるみずきは偉いと思う。

    物語として成り立たないが、高校生であるなら、猫の件は行政に任せるべきだった。気持ちは分かるけどね。

  • お母さんが家出した。私と弟を置いて。お父さんはずっと前にいなくなった。みづき17才。
    でも、みづきは淡々と現実を受け止めている。
    なんだ、この設定は?
    私は、子供が子供でいられず、早く大人にならなくてはいけないような親の話が嫌いだ。
    でも、そんな過酷な環境に置かれた子供たちがたくさんいるのが現実だ。
    その現実に私はなすすべもない。
    助けた猫が死んだとき、初めて、みづきは今まで自覚していなかった自分の心のいたみに気が付く。みづきが試みた猫たちを救うための作戦、それは、同時にみづき自身を救う作戦であり、心のいたみを乗り越える儀式でもあった。
    そして、ラストのみづきの覚悟が私を励ましてくれる。
    「わたしは生きていくだろう。いつか運命のタイヤがわたしを押し潰すそのときまで、できるかぎり呑気に生きていこうとするだろう。それでいい。」
    なんと、強く、逞しいことか!
    現実に悲観ばかりしてはいられないと思った。

  • 何かを得るためには何かを失う。
    あることが当たり前ではない。

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猫泥棒と木曜日のキッチン (新潮文庫)の作品紹介

お母さんが家出した、わたしたちを置いて。お父さんはずっと前にいなくなった。けれどもわたしは大丈夫。弟のコウちゃんと二人で生きていく。友だちの健一君だって応援してくれる。そんなある日、わたしは道ばたで「絶望」に出会ってしまった-。失くした希望を取り戻すために、拒まれた願いを実現させるために、高校生・みずきの戦いと冒険が始まる。生きることへの励ましに満ちた物語。

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