零の遺伝子: 21世紀の「日の丸戦闘機」と日本の国防 (新潮文庫 す 26-2)
- 新潮社 (2012年7月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101353920
作品紹介・あらすじ
航空自衛隊の次期主力戦闘機として第五世代ステルス戦闘機F22を望んでいながら、日本が導入を決めたのは格下のF35。アメリカの思惑に屈した形だが、こうした歴史を繰り返すまいと、零戦の伝統を受け継ぐ「国産戦闘機」の開発を目指す人たちがいる。「先進技術実証機」の飛翔は何を意味するのか。その開発秘話が浮き彫りにする日本の安全保障の核心。
感想・レビュー・書評
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先進技術実証機(ATD-X、心神)初飛行直前までに至る経緯と、第四次F-XがF35に決まる直前までの選定と米側の思惑を絡めて描く。技術的な話ではなく、政治の話。
国産戦闘機の夢をめぐる日米の思惑から、日米同盟の現状も見えてくる良作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あとがきに『零の遺伝子』という題名にしたのはゼロ戦と絡めたほうが売れそうだからと書いていた。
内容的には国産戦闘機が作れず、F22も売ってくれないというその辺の事情を詳しく書いた本。
結局F35になろうとしている今となっては感慨深い。 -
「心神」の技術的な話を期待していたら、政治的な話がほとんどだった。
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先進技術実証機 心神 の背景にある日本の防衛及び米国とのかかわりについて掘り下げている。予断を許さない日本の航空、電子技術維持の行方が気がかりになる。
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日本をおしゃぶりのまま寝かせておきたいというアメリカの遣り口が地政学や憲法改正、ヘゲモニー論などとは違った観点から如実に語られる。それにしても痺れるタイトル、日本をカッコつきの太平から目覚めさせようというスピリッツが報われることはあるのか。心神は弾道ミサイルよりも効く、ということがよくわかった。
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次期FSXを中心テーマとして日米同盟を考える、
そんなきっかけになる取材のしっかりした、良書です。 -
先進技術実証機「心神」を軸に、F-2の国際共同開発(FSX)や第4次F-X(F22→F35)等関して、日米のそれぞれの立場からの考えや経緯がまとめられた書籍です。
個人的に、FSX や 第4次F-X には興味があって、雑誌等で情報収集はしてましたが、関係者の方々の考えや思いに触れる機会はなかったので、興味深い一冊となりました。
これは私見ではありますが、アメリカは未だに日本の軍事的台頭に注意を払っています。
アメリカの高齢の議員の中には「日本に自由に航空機開発させたら、またいつ攻められるか分からない」と本気で考えていると何かの記事で見た記憶もありますし、アメリカから見た日本というのは何を考えているのか分からないという認識もあるそうです。
そのためFSX では半ば強引に介入し日本の国内開発を阻止しています。
先進技術実証機「心神」に関しては、あまりアメリカの興味をひいていないようですが、あの国は自国に脅威を与えないレベルであれば、分かっていて見逃している節もあります。
日本は昔からエンジン開発で苦労しており、心神に搭載予定のXF5-1も推力が約5t程度と言われ、F-22と比べると非力と言わざるを得ない状況です。
F-2 の後継機として、完全国産戦闘機を開発する場合、心神とは別に開発が必要となりますが、個人的には心神での実証をきちんを終わらせ、対ステルス防衛や、国産戦闘機開発への道筋をつけて欲しいと強く思っています。
アメリカにはアメリカの思惑があるでしょうが、日本はアメリカの思惑に従わなくてはいけない「義務」はありません。
日本は日本人が守っていくことが大切ではないでしょうか。
普段の生活ではなかなか知ることが出来ないお話だけに、こういう書籍が世に出ることは知ることへのきっかけになると思います。
もし、少しでも興味を持たれましたら、読んで頂けると幸いです。 -
技術を継承して欲しい
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航空自衛隊の国産戦闘機への熱い想い、その重要性は身に沁みてよくわかったが、なにせ文章の時系列があっちこっちへ飛んで、結局今はどの時期の話をしているのかが分からなくなるほど読みにくかった。扱う題材や取材の深さは高く評価できるだけに残念。
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自衛隊の戦闘機調達にまつわる話と、現代の国産戦闘機開発に関するルポ。