覚えていない (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101354149

感想・レビュー・書評

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  • 2013 12/13

  • かなりの奇人変人であるが、ご本人がそれにまったく気づいてない様子が文章から読み取れる。
    私はこの方が大好きだ。生き返って欲しい。

  • 今まで読んだ佐野洋子さんのエッセイはどれも「とりとめがない」印象でしたが、このエッセイはちょっと違います。
    文章がきっちりしているし、書いてあることもテーマに添ってきっちりしてる。
    若い頃に書かれたエッセイなのか?と思い、発行年を見ると2006年・・・思ったほど昔じゃない。
    でもあとがきを見て納得。
    どうやら50代の頃に書かれたエッセイを2006年にまとめた物のようです。
    それでなのか、今までのエッセイに比べるとちょっと鋭いというか、結構辛口で毒舌な部分が多い。
    でもそれが楽しめました。

    まず、最初の『「お金」の問題』という話が面白かった。
    佐野洋子さんの男友達で一日五、六時間、自分の貯金通帳を眺めているという人の話。
    そんな・・・嘘でしょう~。
    と思ったら、その理由を見て、「なるほどね~」と何となく納得してしまった。
    あ、でももちろん、残高が多いからこその楽しみだと思うけど・・・。

    『満員電車とミスコンテスト』という話で、もし生まれ変わるなら男か、女か選べと言われると間違わず女と叫ぶという話も、その理由に納得した。
    私も同じような考えではあるけど、それで女に生まれ変わろうと思うという発想にはつながらなかった。
    そこまで想像してつなげてしまうのが作家なのかな~と感心してしまった。

    『山小屋の渡辺淳一』なんて何て絶妙なタイトルをつけるんだろう~と感心。
    タイトルだけでちょっと覗いてみたいと思ってしまう。

    ものすごく知的で、感性が光っていて、バッサバッサと世の中を斬っているのに、ちっとも偉そうじゃないエッセイ。
    今まで読んだ中で一番読みやすかった。

  • 読み終わって、しばらくたってから「100万回生きた猫」の作者だと知った。
    なるほどー。

  • 年末に、父が読めと勝手に私のカバンに入れた、大量の本の中の一冊。久しぶりに読んだエッセイ。基本的に、怒っているんだが、どこか爽快。
    正直なところ、美人に対する考え方と、ブスな人間の生き方はこうよっていう考え方は、あまり共感できず。でも、素直に感じるままに、気持ちを表現されているところが、なんだか羨ましく、強さも感じる。
    「100万回生きたねこ」読んでみよう。

  • 何をしても、何を語っても、格好いいなぁーと憧れる。その強さに、その潔さに。無条件で降伏する。この人の語る子どもの話がすき。「おなか ほっぺ おしり」の解説を読みながら、うんうんうんと頷くわたし。

  • 参考資料:
    P164 とおい草のにおい
    P199 華やかな荒野を(モリ・ヨーコ)

    その他:
    P185 もう一つの世界で遊ぶ自由

  • 爽快な佐野さんの毒舌。
    面白くて気分がよくなる毒舌っていうのはあまりないな〜。
    これは佐野洋子の独壇場。
    追悼の帯がついた文庫本。
    新しい作品がもう読めないのは悲しい。
    こういう文章を残してくれたことに感謝しなくちゃ。

  • 10代の後半から20代にかけて、憧れた作家がいた
    今思うと相当な背伸びだけどね
    その作家はもうこの世にはいない
    彼女が生きていたら、どんな作品を出していたんだろうか?
    若かった当時、私が憧れた作家「森瑤子」
    小説は大人過ぎて「・・・」だったけどエッセイはとっても素敵な大人の女性って
    感じで強く憧れていた

    そんな憧れの作家の名前を久々にこの本で読んだ
    森さんと佐野さん・・・まったく似ていないようで、似ているような不思議な組み合わせ
    でも何だかこの二人が古くからの知り合いだったと知って、妙に納得できた

    森瑤子とのこともそうだけど、全体に「口は悪い」
    でも、なんだかね、あったかいんだよね・・・冷たくないの
    森瑤子と同じ世界に行ってしまった佐野さん
    やっぱりもっと新しい作品を読んでみたかったな

  • 佐野洋子さんが死んだ。
    佐野さんは好きな人だ。
    (ややこしいが佐野洋さんも好きだ)
    だから訃報には驚いたし、がっくりもきたが、
    悲しむというのとはちょっと違った。

    訃報を聞いてから『覚えていない』を読んだ。
    面白かった。痛快だった。
    子供をだますのは面白いと言う。そうだそうだ。
    ワイドショーを見ると人間がいとおしくなると言う。
    私もそうだ。
    デビ夫人には感心するという。
    私も感心する。絶対付き合いたくないけど。
    生きる楽しみはオフトンの中、と言う。
    そりゃそうだ。私ももっと寝てたい。
    もし自分が男だったら妻子なんて養いたくないと言う。
    そりゃそうだ。養いたくない。
    女が自分の息子にインランなのはいかんと言う。
    そりゃそうだ。いかんいかん。
    でも自分の息子はかわいくてしかたないと言う。
    そりゃそうだ。かわいくて当然だ。
    男と女がやたら理解しあってたら
    子供産むなんてアホらしいこと誰がやるか、と言う。
    そりゃそうだ。子供がきらいでも子供は産まれる。
    私は恥かしく生きてきたと言う。
    そうだそうだ。私も恥かしい。

    「そりゃそうだ」と思うことばっかりだった。
    西原理恵子が解説書いてた。読んでみた。
    すっごく殊勝なこと書いてた。
    佐野さんありがとう、大好き、と言ってた。
    「脱税できるかな」描いた人がこんな殊勝でいいのか、
    と思ったけど、いいのだ。
    佐野さんが好きなのはあったりまえのことだ。
    でも好きじゃない人もいるだろう。
    これもあったりまえのことだ。
    ただ少なくとも私は好きだ。
    好きな人には好きだって言いたい。そりゃそうだ。

    考えてみると、人間が死ぬのはあたりまえだ。
    どんなにいい人でもどんなに生きるのが好きでも
    絶対に、100%死ぬ。
    だから佐野さんが死ぬのはあたりまえのことだ。
    佐野さんありがとう。大好き。

    私は死にたくないよ。

    2010年11月21日記

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著者プロフィール

1938年、北京生まれ。絵本作家。ベストセラー『100万回生きたねこ』のほか『おじさんのかさ』、『ねえ とうさん』(日本絵本賞/小学館児童出版文化賞)など多数の絵本をのこした。
主なエッセイ集に、『私はそうは思わない』、『ふつうがえらい』、『シズコさん』、『神も仏もありませぬ』(小林秀雄賞)、『死ぬ気まんまん』などがある。
2010年11月逝去。

「2021年 『佐野洋子とっておき作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐野洋子の作品

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