ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)

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著者 : 小林和彦
  • 新潮社 (2011年10月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101354415

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ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 大学図書館から読み始め、帰りのバスでも読んでいて、著者が初めて妄想に取りつかれ発狂(覚醒?)する部分を、駅前のマクドナルドで読んだ時には、もう恐ろしくてたまらなかった。
    正気と狂気の境目が、広い帯になっていて、気づいたら文章のなかで著者は統合失調症の症状に陥っている。そのふくらんで暴走し始めた妄想が、それを読んでいる僕にも浸食していくのを感じ、車酔いのような錯覚に陥った。まさに「世界がこう見えていた」というのを追体験してるような感じ。そのせいで家までの帰り道は、なんだかいつもと違う道のようだった。
    現実と妄想の境目が自分の中でかなり揺らぐ。
    外出中に出くわす、思わず目をそむけてしまうような人たちと、自分たちは、案外そう離れてはいないのだ、と気づかされた。

  • この本の中で印象に残った言葉として「頭がおかしくなっていることを、おかしくなっている頭で理解する事の困難さを分かってもらえるだろうか」という切実な訴えがある。このように平時では非常に客観的に物事を捉えられているのがまず凄いと感じたが、その分症状が強く出た後静まってからが辛いだろうなとも思う。しかしそんな中でも細かく日記をつけ、最終的に本として出版できるまでにまとめたのは凄い。しかも文章がとても読みやすくすらすら読んでしまえたことにはとても驚いた。

  • 言葉を自分でなぞっているにも関わらず、目の前の文章は時々自分から離れていくような感覚になった。文の意味が理解できないのではなく、筆者のいる領域に自分はいないのだと思った。自分にとっての現実と筆者にとっての真実、現実が絶妙に入り混じっていて「この文章に書かれている世界」にずっといることは困難だと感じた。その感覚は精神障害のある人々への感じ方を少し変えたように思う。数年経ったらまた読み返すつもりだ。

  • 私はこちら側だなぁ、という気持ちでの☆4つ。
    そちら側ではないという否定的な意味でも、そちら側には行けないという諦観的な意味でもなく、ただ私は“たまたま”こちら側にいるという意味での。

    特に再出発の章が辛く、ひどく虚ろで穏やかな気分の落ち込みを感じている。
    精神が弱い人間は、こういう本を読むべきではないし、ひっぱられるような人に会ったり、情報を得たりするべきではないのだよな、本来。
    ある人を投影しつつ読んでしまったため、余計に迫ってくるものがあったのかもしれない。
    その人は、「君に世界がそういう風に見えるんだったら、この本を読んでみるといいよ」といって薦めてくれたのだけど。

    もう少し寝かせて、書き直そう。

  • 統合失調症(精神分裂病)の患者本人が書いた闘病記。病人とは思えないほど論理的でしっかりした文章で克明に書かれている(何を考えていたかは別として)。特に発狂して見聞きした幻覚、幻聴は鮮明すぎるほどである。解説でも書かれているが統合失調症患者がこういう文章を残せるのは珍しく、記録として価値のあるものなのだ。
    筆者は社会人3年目で発病し何度も入院してしまう。周りの本やアニメ、歌、政治などに自分へのメッセージを受け取り関連付けをしてしまい、妄想が広がっていってしまう。自分もたまたま読んで本が考えていたことと一緒だったり、タイミング良く出来事が重なったりして気分が高揚することがあるけど、筆者はそれが行き過ぎた感じだろうか。ちょっと怖いなと思ったけれど、統合失調症患者が必ずしも犯罪者予備軍ではないことはこの本で分かったし、正しく理解していきたいと感じた。
    とても興味深い一冊でした。

    【目次】

    第一章 兆候(一九六二年~一九八四年)
     幼年時代
     小学校時代
     中学校時代
     高校時代
     大学時代
    第二章 現実との闘い(一九八四年~一九八六年)
     デビュー
     初めての挫折
     情報とイマジネーション
    第三章 意識革命(一九八六年七月)
     戦略
     夢と現実
     対決
    第四章 幻覚妄想(一九八六年七月二十五日~七月二十七日)
     早稲田へ
     発狂
     真夏の夜の狂宴
     釧路へ
    第五章 入院(一九八六年七月~十一月)
     妄想狂躁曲
     失われた情報
     大隈重信の講義
     入院天国
    第六章 出発(一九八六年十一月~一九八八年十二月)
     コリン・ウィルソンとジョン・C・リリー
     アニメーションとの訣別
     新天地
    第七章 想像と妄想の狭間(一九八九年一月~十月)
     書評
     幼女連続殺人事件
     宇宙の真理
    第八章 躁病、そして再入院(一九八九年十月~十二月)
     ネクスト・ミレニアム
     激動する世界情勢
    第九章 再出発(一九九〇年一月~一九九一年四月)
     鬱々たる日々
     三度目の発狂
    〔文庫版書き下ろし〕
    最終章 障害があっても(一九九一年~現在)
    単行本あとがき
    文庫版あとがき
    小林君との長い日々――望月智充
    解説 岩波明

  • 正常と異常の境目ってどこだ?
    統合失調症でありながら、ここまで冷静に自分のことを文章にできるなんて。まるで自分がこれから狂っていくようで、読み進むのが怖かった。
    この人の言ってることは、宗教家の発言ではないか。宗教にはしらなかったのはなぜだろう。理性が強すぎるのだろうか。生まれた時代が違えばすごくえらい人になれたかもしれない。
    脳は自分を守るために、意識を解放しないように制限している、という話はなかなか興味深い。
    ふつうの人は、理想と現実を適当に折り合いを付けて暮らしてる。折り合いの付け方によって、凡人、変人、狂人となるのだろう。スティーブジョブズはなんとか変人レベルで折り合いを付けられたのだろう。狂っていようが仕事がちゃんとできれば良い、という話があったが、そういうことなんだろうか。
    自分も状況次第では十分に精神病になり得ることが分かった。

  • あらゆるものから自分あてのメッセージを読み取る著者の異様さは、常人の理解を超えているように思えるが、常人とて夢の中では自分のおかしな判断をおかしいとは思わない。正常と異常の境目なんて薄い膜のようなもので、ある瞬間にパッと入れ替え可能な、そんなものなんだなぁと思ったりした。
    著者のような思考は、健常者でも意識しているかしていないかで、普通にある事だと思う。それを流せるのが健常者で、グルグルまわっちゃって、ハウリングしたような状態になるのが病気と診断される人なのではないか。
    統合失調症患者の思考をここまで言語化出来たものを読んだのは初めてで、非常に面白かった。

  • 現実と妄想の区別がつかなくなる恐怖。やはりこれは現実だと思わないと自分の中で処理できていないのかな。電波とか指令とか言い出すと危ないと聞いたことがあるが,この本のなかにも出てきてやはりそうなのかなと思いながら読みました。

  • もし街や店などで精神病の人が発狂しているのを見かけたら、「危ない人」「痛い人」などよくない感想をだいたいの人が抱きます。

    実際、友人のバイト先で発狂し警察沙汰になった時、その子が「痛い人が来た」と言っていたのを覚えています。きっと、私もその場にいたら同じようなことを言ったかもしれません。

    でも、この本で発狂しない限りわからない、彼らが一生懸命生きている不安定で、恐怖と隣り合わせの世界が全部ではないですが見ることができました。
    そして、精神病について改めて考えることができました。

    すらすらと読める本ではないですが、
    精神科や精神病を患っている方の家族にはぜひ読んでもらいたい1冊だと思います。

  • 統合失調症患者の生の記録
    統合失調症に興味のある人には代え難く面白いと思う

  • 自分に聞こえるものや自分にみえるもの、
    そういう体験が、「本当にあったこと」だって証明できるものは?

    そう聞かれたらうーん・・・と思ってしまう。

    みえるよ。いやみえないよ(幻覚だよお薬飲もう。)
    見えるよ。いや見えないよ?(見えないなら手術しよう。)

    どっちが危険な考え方なのかこれ読むと少し揺らいじゃうんだよね。
    「正常」って不確かだよなぁ。

  • 総合失調症と診断された著者が、診断時どのように世界を見えていたかが克明に記されている。自分を世界の中心と捉え、周りで起きる事象に何らかの関連をつけて理解するんだなと言う事がよく分かった。

  • 統合失調症となった男性が、自分の病症を振り返って記した闘病記。

    統合失調症の病状が発症したときの当人の思考の流れが知れてとても興味深かった。

    始めは単純に想像力が豊か、行動力があるくらいだった著者は、いつの間にか精神病に陥っていた。

    正気と狂気との境目というのは非常に曖昧だ。

    想像的な仕事というのは多少狂気に足を踏み入れていないとできないように思うが、芸術家などはどうやって自分の想像を想像にすぎないと認識しているのだろう。

  • 916
    統合失調症
    2016年度 2年1組のチャンプ本&1年1組の準チャンプ本

  • 非常に難解だった。よくわからなくなることもしばしば。でも、なんだかとても勉強になった。

  • よくわからん。

  • 面白かった。著者は、記憶力もよく、明晰な文章を書く頭のよい人だと思う。それゆえに、物事を深く考えすぎると、妄想・幻覚にとらわれてしまうのかなあと思った。そうすると、統合失調症等の精神疾患は、誰にでも起きうるのかもしれない。ただ、少し触れられているように、著者が仕事に行き詰った挫折感やストレスから心理的に「逃げた」ことが症状につながったのかはどうかを知りたかった。また、文庫版の校了は2011年の下半期らしいので、柏崎に在住している著者が3・11をどう見たのか、何を感じたのかも書いて欲しかった。

  • しっかりした文章で、妄想や幻聴について綴られているから
    (ご本人は現実として捉えているからか?)
    この病気の複雑さが伝わってきて、読み終わってぐったり。
    自分も気分の波が強い方なので、「性格」と「病気」の一線は
    いったい何なのだろうという思いがますます強くなった。

  • 【読んだきっかけ】
    著名ブロガーこと、『ちきりん』の日記から派生。
    本書を読む前に『統合失調症 愛と憎しみの向こう側』という著書(これまたちきりんの日記から派生)を読んだ。統合失調症を患った妻を支える家族の苦悩な日々を綴った体験談である。
    これをきっかけに、統合失調症疾患者側からみた心情に興味を持ち本書を読むに至った。
    つまり、疾患者を支える側の感情と疾患者本人の感情を知りたくなり、購入しました。

    【感想】
    精神疾患を発症した者のイメージは、『怖い』『関わりたくない』『なにをされるかわからない』が強くあったが、これらが偏見だったんだなと実感できる本。
    本書を読むきっかけとなった『統合失調症 愛と憎しみの向こう側』という著書ではこのイメージは拭えなかったが、本書によって偏見を払拭できた。
    ただ『なにをされるかわからない』イメージは残ってしまう。
    と、言うのも疾患者本人も症状が増幅するとわけがわからなくなり、ありもしないことが現実だと思ったり被害妄想が激しくなるようだから。(例えば、通りすがりの赤の他人が自分を殺そうとしてることに確信を得ている、とか)
    症状には波があるようで、落ち着いているときは本当にまとも。
    まともなときの文章には、クスッとしてしまうとこもあれば、なるほどねと共感することもあった。
    著者は頭がいいのか、選ぶ言葉やたとえ話に小難しい本を引き合いに出してくるので、全体的に読みずらかった。
    でも、本書を通して精神疾患者のイメージがやわらいだことは確かである。

  • 統合失調症(以下、統失)の患者の闘病日記だが、内容が凄まじい。目の前で妄想・幻聴・幻覚の症状を見たのでこの本に書かれている内容を読むと記憶がリアルに蘇り、怖くなってしまった。精神疾患を患っていない人間から見ると未知の世界である。統失の悪化により、著者のようにパトカーで病院へ運ばれた方を目の前で見たのでその部分もリアルだった。統合失調症という病気がどんな感じか気になる方におすすめ。

  • 当たり前、と言えば当たり前なんだろけど、途中から何を言っているのか分からなくなりました。

  • ”世界がこう見えていた”というタイトルからは、現在はその当時とは全然違う世界を見ているのだというニュアンスを感じるが、果たして。
    それにしても、世の中で起こっている様々なことと自分との繋がりをこんなに頻繁に感じてしまうというのは、とても疲れることなんじゃあないかなあ。たいへんな世界を生きて来たのだろうとは思う。

  • 元々東郷室長賞というタイトルで出ていた作品。今のタイトルと端書に惹かれて購入。
    精神障害を抱える人は、責任能力がないとして罪に問われないとか、電車の中でやたらと騒いでる、とかそんなイメージしかなかったものの、もう少しそれ以外の部分についても触れることが出来た気がする。

    多少でも理解を深めて、自分側に、そういった人を受け入れられる心の準備のようなものが出来ればなあ、といったところ。

  • 読んでてかなり疲れました。おかしくなっていく感じが本人視点で書いてあるのがよかったですが、私には言い回しがいちいち難しかったです。

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ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)の作品紹介

早稲田大学を出てアニメーション制作会社へ入ったごく普通の青年がいた。駆け出しながら人気アニメ作品の演出にも携わるようになったが、24歳のある日を境に、仕事場では突飛な大言壮語をし、新聞記事を勝手に自分宛のメッセージと感じ、また盗聴されている、毒を盛られるといった妄想を抱き始め…。四半世紀に亘る病の経過を患者本人が綴る稀有な闘病記にして、一つの青春記。

ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)はこんな本です

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