遠すぎた輝き、今ここを照らす光 (新潮文庫 ひ 27-4)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101354842

作品紹介・あらすじ

月刊誌記者として働く小坂井夏輝、31歳。取材先で中学の同級生・瀧光平と再会する。かつて周囲を見下していた瀧を夏輝は疎んじ、片や誰彼なく優しくする夏輝を瀧は偽善者と嫌っていた。だが次第に夏輝は瀧が抱える痛みを、瀧は夏輝の葛藤を知るようになる。過去を受け止め、前を向いて歩くために、二人はある行動に出る。逃げたくなる自分の背中をそっと押してくれる、優しい物語。

感想・レビュー・書評

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  • ラストがいい!
    少しずつ近づいていく様子にキュンとする。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    月刊誌記者として働く小坂井夏輝、31歳。取材先で中学の同級生・瀧光平と再会する。かつて周囲を見下していた瀧を夏輝は疎んじ、片や誰彼なく優しくする夏輝を瀧は偽善者と嫌っていた。だが次第に夏輝は瀧が抱える痛みを、瀧は夏輝の葛藤を知るようになる。過去を受け止め、前を向いて歩くために、二人はある行動に出る。逃げたくなる自分の背中をそっと押してくれる、優しい物語。

    なんだかんだ恋愛物が多い平山瑞穂、今回も恋愛物ではありますが毎度読ませてくれますね、今の所駄作は無いです。恋愛要素に至るまでの道筋はベタベタしておらずむしろ青年から大人に変わっていく年代の寄る辺なさが身に染みてなかなか良い本でありました。30代初頭ってレールにしっかり乗っていないと人間失格なんじゃないかと思いつつ、冒険するなら最後ではないかという事のせめぎ合いが有ると思うんです。自分はそうだった。この本読んでいるとその頃の気持ちが何となく蘇ってくるような気がしました。

  • 私はどちらかというと、主人公・夏輝のタイプ寄りで、だからきっと、瀧君の歪んだナイフみたいな言葉たちが、歪に刺さって痛くて、イライラさせられたなあ。
    祖父の7回忌で夏輝が姉から言われた言葉は、すごく強烈で、私だったらあんな風に冷静に受け止めて、自分を振り返るって難しかっただろうなと。
    夏輝の真っ直ぐさとタフさが本当にすごいと思いました。

    物語が大きく動く出来事は、とても悲しいことだったけれど、息子さんに対する夏輝の言葉は本当に爽快で、思わず”よく言ってくれた‼‼‼”と心の中でガッツポーズしてしまいました。笑
    その後の展開も、なんともこそばゆくて、はにかんでしまうほどに、うれしい展開でした。

    瀧君が作品たちとお別れするその大切な儀式が、まさかの方法だったので、それは社会的にマズイのでは…‼と反応してしまい、物語からちょっと引いてしまった自分が悲しかったです…。

    好きって気持ちを自覚することって、人によってはこんなに時間がかかることなのかと、興味深いです。
    他者を知ることで自分を知り、自分を知ることで、自分の気持ちと向き合える。そして、それが他者とつながることに通じていく。
    瀧君が夏輝の存在を振り払わなかったのは、瀧君自身が辛い挫折を経て、自分の誇れるものを見つけていたからだろうし、夏輝がそれに心から敬意を払ったからなんだろう。
    あたたかなお話でした。

  • いろいろと疲れていた時に出会った一冊。
    帯のキャッチコピーに惹かれ購入。
    心の奥にじんわりと染み込んでくるよう、とても優しい物語でした。

  • 平山瑞穂さんの作品で、この終わり方は意外だった。30代まで進んでしまった人生の中でそれぞれの苦悩と回り道が一つ一つ重なって、そこに粋な縁が降りかかることで、だんだんと自分を今までとらえてきた過去の本当の意味が分かってくる。 ラストの一行が、最高に微笑ましい。
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    再読。二回目は結論を知っている分、登場人物の行動に隠れた意味が読み取れていい。この作家さんは回想などで時間軸が変わることが良くあるので、二回以上読む方が理解がおいついて、平坦だと思った部分にもリズムを感じ取れるようになるみたいだ。ところで、この本、夏輝と光平の恋の話だが、題名はまさか二人の名前をもじってる?だったらすごく素敵な題名だ。

  • 大人になるとはどういうことか。
    追いかけてきた夢はどこであきらめるのか。

    同じ中学、同じクラスにいても全く相容れることのなかった2人の男子と女子。

    いつも正しいことを言い、誰とでもうまくやっていくことができる女子生徒と、いつもひねくれていて、人を信じることができず、一人でいることを選んだ男子生徒。

    そんな性格の違うふたりの、人生をそれぞれに追いかけながらストーリーは進んでいく。「この子が大人になったらどんな人になるんだろう。」をまさに1冊に収めたような内容。しかも二人分。

    「あの時こうしておけば、今はどうなっていたのだろう」子供でも大人でも、誰もが人生のあらゆる局面で感じる後悔にも似た思いに対する答えを、少し見つけることができたような気がする。

    どのような人生を歩むのか、何が正解なのか、迷いと後悔ばかりの、そんな人生の深さを凝縮した一冊だと思う。

    長い年月を経て、少しずつ近づくふたりの関係にも、爽やかなときめきを感じた。

  • 美術説明多すぎたかな?

  • 不器用な女と男の不器用なラブロマンス。確かに展開は読めてしまうのですけど、逆に言えば安心して読めるわけで。こういうベタは嫌いじゃありません。

  • 光平みたいな人いる。夏輝みたいな人もいる。
    SNSが大流行する昨今、「共有」の仕方を考えさせられる。

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著者プロフィール

平山瑞穂(ひらやま・みずほ)
小説家。1968年、東京都生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年に『ラス・マンチャス通信』(角川文庫)が第16回日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー。著作には、『忘れないと誓ったぼくがいた』(新潮文庫)、『あの日の僕らにさよなら』(新潮文庫)、『シュガーな俺』(世界文化社)、『プロトコル』(実業之日本社文庫)、『マザー』(小学館文庫)、『四月、不浄の塔の下で二人は』(中央公論新社)、『午前四時の殺意』(幻冬舎文庫)、『ドクダミと桜』(新潮文庫)、『さもなくば黙れ』(論創社)など多数。評論に『愛ゆえの反ハルキスト宣言』(皓星社)、エッセイに『エンタメ小説家の失敗学』(光文社新書)など。

「2023年 『近くて遠いままの国 極私的日韓関係史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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