ロスト・トレイン (新潮文庫)

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著者 : 中村弦
  • 新潮社 (2012年4月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101355146

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ロスト・トレイン (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 廃線跡をたどるのが趣味の青年と、鉄道マニアの老人。居酒屋での交流が中盤で急展開。
    青年は、後に出会った「テツ子」の女性と消えた老人を追い、やがて忘れ去られた場所で、失われたものが甦るのを目の当たりにする。
    「甦った」ものはファンタジックで綺麗、だけど哀しい。失われたはずのものが手に入るということは、現実を捨てることだから。
    なんということもないお話だけれど、最後のファンタジーの部分が妙に心に残る。
    前作「天使の歩廊」もなかなか良かった。これも、最後だけ「奇跡」がある。

  • はたして『銀河鉄道の夜』へのオマージュなのだろうか……?忌まわしい記憶とともに抹消された「まぼろしの廃線跡」をめぐるパラレルワールド譚。ふだんこの手の小説に縁がないため、こうした設定が古いのか新しいのかはまったく判らず。

    人の一生というのは鉄道に乗るのと似ている、と鉄オタの平間さんは語る。「どこへでも自由に行けるかのように見えて、じつはそれほど自由があるわけではない」。すすむべき線路は一本ではなく、ところどころに乗り換え駅もあるけれど、うっかりすると「目指しているのとは全くちがう場所へ連れていかれてしまう」のだ。そんな平間さんが、ある日、忽然と姿を消してしまう。そして若い友人である菜月さんと主人公であるぼくは、わずかな手がかりをもとに消えた平間さんを捜して「まぼろしの廃線跡」をめざすのだが……。

    ラスト、主人公の抱く不安は、菜月さんへの愛情と表裏一体をなすものであり、その意味で、大切な誰かを愛するということはまた、そこから逃げることのできない一本のレールの上にあって不安とたたかい続けることでもあるのだろう。

  • 知り合いになった鉄道仲間が、突如いなくなってしまった。
    彼を探しているうちに知り合った、たくさんの人達。
    彼らの知識を借りて、ようやくたどり着いて見たものは
    とても不思議で恐ろしく素晴らしいもの。

    ただ人を探しているだけ。
    その過程でたくさんの人と出会っただけ…で終われば普通の話。
    最後になるにつれ、不思議で奇妙で、とても澄んだ空気の中に
    ひょっこり入り込んだような感じでした。
    しかも最後の伝言板!
    そこまでも、それまでも人柄がうかがい知れるものがありましたが
    楽しそうに書いてある内容には、きちんとした警告。
    それだけで、何だか嬉しくなってしまいました。

    降りるか、そのままか。
    究極の選択です。
    あちらに本屋があれば、行ってしまうかも、しれません。
    あちらに行くのが幸せか。
    残って『幸せ』と思った所にいるべきか。
    『準備』をしていったわけではないので
    どちらを選択しても、何だか心が残りそうです。
    むしろ自分に、あの時そうしたから、と
    言い聞かせているようにも感じます。

    正解、はないでしょうが、どちらが幸せだったのか…謎です。

  • 突然消えてしまった老人を探して、廃線跡をたどる話。
    「まぼろしの廃線跡」って出てくるから気になって一気に読み終えてしまった。ただの謎解きではなく、老人や主人公たちの人生等、考えさせられる内容だったけど、最後があっけなく終わって、若干消化不良な感じが残りました。
    我が家のすぐ近くにもその昔、藤相鉄道(藤枝市大手~相良)という軽便が通っていたらしく、田んぼの形が当時の線路跡に沿った形になっていたり、150号線の富士見橋から軽便の橋の一部がいまだに残っていたりします。
    少しネットで調べたら、藤枝市の郷土博物館に当時の機関車が展示されているらしい。藤相鉄道の廃線跡をたどる小旅行、行ってみようかな。

  • ミステリとファンタジーが気持ちよくミックスされている作品
    どんな分野でも、マニアと言われる人がある問題に直面したときに自分の知識で解決の糸口をたぐり寄せる展開は燃える。
    恋愛要素少なめで、エピローグも甘過ぎない感じが好感。

  • 僕もどこか行きたいな・・・

    作者はきっと主人公じゃなくて、平間さんの側なんだろうな、と思いながら読了

    旅への郷愁を誘うなんて裏に書いてあるけど、そんなゆるいもんではないよなぁ

  • 電車愛+恋愛+ファンタジー

    という感じの作品でした。
    てっきり鉄オタによるミステリーだと思って読んでいたので終盤の展開にはちょっと戸惑ってしまいました。
    しかし電車の描写がすばらしく、主人公たちと一緒に電車に乗ってる気分が味わえたのはよかった。

  • 序盤は・・・で、けっこう長いこと読み進まずにたんだけど、徐々にページをめくるスピードがアップ。小泉今日子さんの解説(書評?)がまさにって感じ。
    「天使の歩廊」のような凄みは感じなかったけど、ファンタジー要素のブレンド具合と、感情移入よりも客観視させる(読み手側に色々想像や思考をそれとなく促してる)感じ。両方の絶妙さがいい感じ。

  • 初めてなのに、一度読んだ感じがしてしまう終盤のプロット。謎解き要素が多く一気に読みました。終わり方も好きなタイプ。

  • 廃線をめぐるふたりの男女の物語。非日常のなかに潜む分岐点、ただそれは日常にも顔を出す分岐点。決めるのはいつだって自分自身。鉄道の細かい描写は好きな人から見たらどうなのか。最後、終わり方はちょっともやり。好きなひとは好きそうな終わり方。

  • こういう話大好きです。
    日本のどこかにあるという伝説、楽園?

  • 廃路線で出会った鉄道マニアの平間老人と年の離れた友人として友好を深めて行くが、ある日まぼろしの廃路線の話をして平間は失踪した。同じく平間と友人であった菜月という女性と彼の行方を捜し始める。
    旅情に浸るロードムービー的なものかと思いきや、なかなかにホラー的なものを感じました。

  •  「天使の歩廊」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞した中村弦の、ファンタジックな青春小説。
     廃線好きの青年と鉄道マニアの老人の世代を超えた友情。
     消息を絶った老人の行方を追い、青年はテツ仲間の女性と共に、『まぼろしの廃線跡』を探し求める。
     辿り着いた東北の山中で目撃した奇跡、まぼろしの列車の終点を前にした青年の決断。
     現実の生活と地続きの幻想世界の引力と、失われた郷愁が滲むラストがせつない。

  • 読み終わってなんだかすっきりしないのは男女の恋愛観の違いによるものなのか。
    私が男だから、男性が女性に惹かれる心理は解るが逆は解らない。
    彼女の選択の真意が読みきれないのと、後日談が気になる終わり方なのがすっきりしない。
    廃線巡りの旅話かと思いきや、軽いミステリーやまさかのファンタジー要素はとても良かった。
    続きが気になる展開で読み進めるのが楽しかったが、読み終わってからの反動というか、やるせなさと言うかが個人的にしっくりこない一作であった。
    私は何を求めて読んでいたのだろう、などと考えてしまう。

  • 先が気になってどんどん読めた。

  • ☆3.5
    「まぼろしの廃線跡がどこかにあって、その線路を終着駅までたどると奇跡が起きる」そんな話をして消息をたった老人。交流のあった牧村は、老人にのテツ仲間という葉月と行方を追い東北へ向かう。「キリコノモリ」というキーワードを手がかりにして、2人がたどり着いた場所は...。
    そこで見た奇跡とは?!

    東北に向かう話の中で、岩手の銀河鉄道の話も出て来て懐かしかった。
    私はいわゆるテツではないので、電車のことやテツのことには詳しくないんだけど、まぼろしの廃線跡を探すなんて、なんだかロマンがあるなぁと思った。日常ともう一つの世界が入れ替わる描写がなんどか出て来るけど、どちらも現実感があって不思議な感じだった。

  • 人は、社会生活と個人の領域との間に何かしら、枠を設けている。そのどちらにおいても、自分というものを基盤にして、割り切るのか、我を通すのか、場所と時間と状況といろんな要素に合わせて選択していく。
    しかしこの選択とは、今の自分だけに基づいているのだろうか、それとも過去から連綿と続く自分史から無意識にもとめているのだろうか?
    まぼろしの廃路線を追い求め、そこに何を求めて登場人物たちはすすんでいくのか。
    ファンタジーという側面をもちつつ、内面へはいっていく作品

  • 飽きずに読めた。知らない間に坂道を転がるみたいにどんどんミステリーに引き込まれる。でも心にもやもやが残ってる。

  • 大学生協で推薦されており、また鉄道ネタなのかと思い手にとってみた。話のキーワードとして重要なのは鉄道というよりも廃線跡であり、廃線跡を訪れるマニアもいるのかという驚きと、それに対する情熱やロマンが伝わってきた。リアルな面と共に若干のSF(かなりSFかも)が混じっており、現実と空想のバランスはうまくとれてると感じた。ただ、悪い見方をすれば中途半端なSFになっているのかもしれないので、がっつりSFに浸りたいという人にはあまりお勧めではないかもしれない。鉄道が好きな人にとっては読んでみても良いかもしれない。少なくともこの本を読んで廃線跡に興味をもったことには間違いない。

  • 夏に読めてよかった。

    牧村は鉄道マニアの平間老人と出合うが、老人が「まぼろしの廃線跡」の話をした後消えてしまう。

    そこで、平間と付き合いのある菜月と探しに行くって話。


    設定面白かった。ちょっと意味不明もあったけど、それ含めてもよかった。

  • なるほど確かに、夏に読みたい大人のファンタジー。

  • 日本のどこかにある、まぼろしの廃線跡
    その始発駅から終着駅までをたどれば、奇跡が起こるらしい……

    列車の廃線跡や廃墟に惹かれてよく訪ねて回っていた主人公は
    旅先でテツの老人と出会い、親しくなる
    酒に酔っていつになく上機嫌なその老人がこぼした
    「まぼろしの廃線跡」の話に興味を持った主人公はしかし
    その詳細を老人から聞くことはなかった

    何故なら老人は
    突然、失踪してしまったのだ——





    まぼろしの廃線跡
    消えた老人
    廃墟!

    そんなミステリ

    列車で東北を旅するというので
    もうちょっと各地を見て回るのかなと思ったけど
    そんなことはなかった

    資料や文献をあさり
    事情を知っていそうな鉄道ファンとコンタクトをとり
    そうやって地道に調べ上げた先に辿り着いた
    噂の真実とは?
    そして老人はいったいどこへ…?


    あおり文句の通りに旅に出たくはあまりならなかったし
    果てしなく淡々としていたし
    主人公が惚れた女性に特に魅力を感じなかったりしたけれど
    なんとなく爽、としたかも知れない

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ロスト・トレイン (新潮文庫)の作品紹介

奥多摩の廃線跡を訪ねた牧村は、鉄道マニアの平間老人と出会い、世代を超えて酒を酌み交わす仲に。だが、「まぼろしの廃線跡」の話をしてほどなく、老人は消息を絶ってしまう。テツ仲間という菜月と共に行方を追うなか、浮上する「キリコノモリ」。その言葉を手がかりに東北へと向かう二人の前で、ある列車が動き出したとき、全ての謎が解けていくのだ-旅への郷愁を誘う青春小説。

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