宿命―「よど号」亡命者たちの秘密工作 (新潮文庫)

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著者 : 高沢皓司
  • 新潮社 (2000年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (685ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101355313

宿命―「よど号」亡命者たちの秘密工作 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 星5つでも足らんわ。「よど号」と言ってもリアルタイムでは知らない。古本屋でで売っていたから興味本位で買ってみたのだが、凄かった。まさに事実は小説より奇なり。ルポってこんなに面白い物なのかと。一気に読むにはチト長く、ちょっと疲れるが、内容への興味が薄れることはなかった。著者の文章の書き方、話の盛り上げ方が実に上手い。しかし、これはノンフィクションである。「面白かった」ですます分けにはいかない。普段何気なくテレビで見ている北朝鮮という、最も近くて、最も遠い国に付いて、考えさせられると共に、「日本」という自分の生まれ育った国に対する考え方にも、改めて考えてみる必要があるように思った。、

  • 「よど号」ハイジャック事件犯たちのその後の数奇な人生を綴った渾身のノンフィクション。たいぶ前の本だけど、久しぶりに面白いノンフィクションだった。

    赤軍派の一部メンバーが日航機"よど号"をハイジャックして北朝鮮のピョンヤンに降り立ったのは1970年。当初は1年程度の軍事訓練を受けて帰国するつもりだったのだが、その目論見は大きく外れ、逮捕されて戻ってきたメンバー以外は未だにピョンヤンの地にいる。当初は幽閉させていると日本では見られていたメンバーだったが、実際には金日成のチュチェ思想の洗脳を受け、やがては日本を北鮮化(赤化ではない)する"チュチェの戦士"と変貌を遂げてしまった。そのチュチェの戦士達が金日成らと最初に行ったことは、なんと、永久革命を目指すための嫁探し!馬鹿馬鹿しい作戦だが、日本での革命を行うには日本人の妻が必要だということなり、これが後に両国の間の大問題となる"日本人拉致事件"の原点となっていく。それ以降のよど号メンバーと日本人妻達の日本や欧州における工作活動や、内ゲバ、あるいは滞在が長期化することによる望郷の思いなどを元々は赤軍派にいた作者だからこそ迫れる内容でその実を暴いて批判を加えていく。

    日本に共産主義革命をもたらしたかったよど号メンバーは、北朝鮮においてチュチェ思想の革命家となり、北朝鮮の特権階級となっていった。他方、日本に戻れば犯罪者となるし、金日成らの巧妙な統治によって家族を人質にとられ裏切ることもできない閉塞状態において、日本への望郷の念は心情的にも政治的にも増殖をしていくその様子は、本書の文中にも書かれている通り、"<政治>というもののむごたらしさ"を読むものに感じさせずにはいられないし、この本の最大の見せ場はこの"政治的葛藤"にあるのだと深く思う。

    そこから40年を経た今、アメリカでもイギリスでも民主主義の中で国是を劇的に変えうることが明白になっているので、革命を通じた彼らの政治的活動というのは一体なんだったのかと思えてならない。それも含めて政治は恐ろしい。冷静な態度が政治には必要だと読むとつくづく思えてしまう一書であった。

  • 2016/11/3購入
    2017/2/19読了

  • 【164冊目】誰もが一度は聞いたことがあるであろう「よど号」事件についてのルポタージュ……かと思いきや、いわゆる「よど号」グループがいかに主体思想に思想改造を施され、「よど号」の妻と呼ばれる人たちを獲得し、そして東欧周辺を根拠として日本人を拉致したのか、ということが書いてある。さらに、日本への工作活動。
    日本に住んでいながら、拉致問題に興味を持ちながら、こんな基本的なことも知らなかった自分にがっかりした!

  • 内容自体への驚愕

  • 資料ID:C0021950
    配架場所:本館2F文庫書架

  • この本のハイライトは、『思想改造』の章。

    新興宗教や自己啓発セミナーで、
    人間をマインドコントロールする手法はオウム事件以降、
    日本でも知られてきた感がありますが、
    ここのマインドコントロールは国ぐるみでやっている。

    どうやって人間を追い込んで
    人の感性や人格、道徳心を作り替えてしまうのか。

    10年以上前に読んだ本だけど、ときどき読み返してしまうな。

    よど号犯を思想改造することに成功したから、
    他の日本人を拉致したり騙したりして連れてきても、
    思想改造ができると当局は考えた。

    それが日本の拉致被害者だったし、
    ヨーロッパで拉致された有本さんや石岡さんだった。

    北朝鮮やよど号に興味が無い人も、読んで面白い本。

  • 最近、出版されたよど号メンバーによる本の内容とは違う点がある。当たり前かもしれないけど、本当に真相は闇の中。。

  •  外国にいて、日本語で話かけてくるヤツには注意しろ、と言われますが、日本人同士だと分からないのですかね。まあ、そのために日本人を拉致しているのだとは思いますが。
     日本人妻が、一人捕まって素性がバレたら、それまで日本に埋伏されていたスパイたちが、一斉に国外に逃げた、というのが映画「メン・イン・ブラック」のようでした。

  • 20代の幼い思想で突っ走り、後半の人生を北朝鮮で過ごしたよど号のっとり犯人たち。
    決行日、飛行機など乗ったことのない貧乏学生たちは、
    飛行機を電車のようにすぐに乗れると思っていて遅刻者続出したとか(で、別の日に再度決行した)、
    北朝鮮で半監禁生活(けっこういい暮らしだったそう)の中、日本から恋人をおいかけて女の子が一人やってきてから、男同士がぎくしゃくしだしだとか。(この女の子もびっくりだ。)

    私の中で歴史の中の事件の犯人が、生き生きとした息子たちと変わらない青年にみえてくる。

    犯人は謎の死をむかえたり、行方不明になったりしたが、2名ほど存命だそう。

    次は重信房子さんの話を読みたい。

  • 「よど号」ハイジャック事件が発生した時、わたくしはまだ頑是無い子供でありました。よちよち歩きとまでは申しませんが。よつて当時のことはほとんど覚えてゐません。
    ひとつには同時期に開催された大阪の万国博覧会の印象が強すぎて、ほかのニュウスはかき消されてしまつたといふ事情もありさうです。

    北朝鮮へ渡つた「よど号」メムバアは、予想外の好待遇で迎へられ、朝鮮労働党から有形無形の恩を売られたことで、思想改造も容易に進んだのではないかと思はれます。
    その後は金日成体制下の主体(チュチェ)思想に則り、労働党の傀儡もしくは手下として動くしかありませんでした。日本人拉致事件にも関つてゐたのです。

    日本の関係者が全く情報を得られず、何となく北朝鮮国内で不自由な生活を強ひられてゐると思ひ込んでゐた時期に、実は彼らはヨーロッパ各国で活動したり、ちやつかり日本へ潜入したりしてゐたのでした。
    また、9人のメムバアは全員が同じ方向を向いてゐた訳ではなく、主体思想に馴染めない者もゐました。さういふ人物はある日忽然と姿を消すのであります...

    質量とも充実したノンフィクションと申せませう。著者の高沢氏は、メムバアのリーダー・田宮高麿の友人だつたさうで、高沢氏だからこそ彼らもここまで語つたのでせう。
    2012年2月現在、9名ゐた「よど号」メムバアのうち、健在が確認できるのはわづか4名に過ぎないのださうです。
    彼らには今後の展望は見えてゐるのでせうか。現在も続く悲しい歴史であります。

    http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11153510683.html

  • ようやく読み終わったー。いやいや大変な話しです。

  •  謀略に怒りを覚える。そして自身の置かれた境遇が重なって暗くなる。

    http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20080830
    http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20110804

  • 99年講談社ノンフィクション賞受賞作。670頁超の大冊であり、また出版から10年以上経過し旧聞に属する内容であるにも関わらず本を置く間が惜しまれる程引き込まれるのは著者の筆力と執念のなせるわざか。ハイジャックで北朝鮮に渡った「よど号」グループが洗脳と自己批判や相互批判により徐々に北朝鮮国家の傀儡と化し、東欧を始め世界各地で拉致し(自らの妻とする女性までも!)工作活動を展開して行く様を入念な取材により記録している。
    よど号のリーダー田宮高麿と同じ党派の活動家で仲間だった著者だからこそ書けた内容であり、実際「よど号」支援者らからは裏切り者のレッテルを貼られたらしい。しかし、むしろここまで真実を明らかにすることこそ著者なりの弔いの仕方だったのだと思う。
    余談ではあるが、この本の出版後、一冊も本を執筆していないのが気に掛かる。

  • 「よど号」というまだまだ歴史というには近すぎる昭和史について知るには最適の一冊。

  • 北朝鮮は怖いぬあ。

  • 第21回講談社ノンフィクション賞。
    昭和45年に起こった「よど号事件」のメンバーを、北朝鮮まで行って取材してきたノンフィクション小説。
    名前くらいは聞いたことのあった「よど号事件」、どんな事件かまったく知らなかったけど、この小説はよく取材してあってまるで現場に居合わせたかのように具体的に事件内容が書かれている。
    また、北朝鮮がどのように拉致工作を行なっていたか、拉致した人にどんな教育をしていたかにも詳しい。
    ただ、著者もちょくちょく述べているが、北朝鮮内での言葉はどれが事実か分からない。というか「事実」という言葉の概念がそもそも違うのだ。われわれが言う「事実」とは、まさに本当に起こったことそのものを言うのに対し、北朝鮮では「そうあるべき、そうでなければいけない」ことが「事実」であり、実際どうであったかは関係ないのだ。
    だからよど号メンバーの結婚話でも、実際は拉致してきた人と北朝鮮内で結婚したのに、ヨーロッパで偶然出会って結婚した、という妄想上の出来事を「事実」として語っていて、本人たちもそう信じている。
    著者の取材は徹底していたが、もうちょっとコンパクトにまとめられなかったかと思う。全670ページは膨大すぎるし、繰り返し述べられるところもあって冗長な感じ。

  • よど号事件を巡った一書の中ではかなり内容の詰まった一書でした。
    よど号のハイジャック事件だけでも十分に重厚な内容だが、北朝鮮に向かった後のよど号メンバーに待ちかまえていた北朝鮮国内における思想改造の経緯や日本人拉致を行う為にヨーロッパへ潜伏した事など、混沌の時代を背景に若者の思想や行動、紡ぎ出された一つの時代の答えが凝縮されている。

  • とても面白い本。読み応えがある。ああそうだったのか。方々に散らばっていた貧弱な知識群がボクの中で綺麗に繋がった。今から40年前の夜。東京。駒込駅前の喫茶店「白鳥」に集まったメンバー。ハイジャックの謀議。すべてはここからはじまった。今でもなお続く拉致問題。北朝鮮と日本の間に横たわる深い溝。世界を舞台に彼らが何をしてきたのか手に取るようにわかる。一筋縄にいかない理由。それらすべてが本書でわかる。

  • 2009/02/02完讀

    這本書是1970年「よど号」劫機事件犯人團體及其後委身北韓的故事。經過恐怖的思想改造成為地下工作人員,參與日本人綁架事件、潛入日本等等行動。而這個故事還沒有結束。看到共產政權如何「打造」一個人,看到北韓的實態和情報活動,實在令人脊背發涼。

  • よど号関連では一番面白い!

  • 読むべき本をどんだけ読んでいないのだろうかと嘆息した。ひとまず、よど号博士とかになりたいのでなければ本書1冊を読んでいれば十分すぎるぐらいかと思う。
    北朝鮮のことはよく知らないが、キューバでは遠すぎて燃料の補給が大変とかいう安易な理由で、超自己中な主体思想とは相容れない「過渡期世界論」「国際根拠地論」という「理論」に基づいて「俺が金日成をオルグする」(故・田宮)「立派な兵士になって帰ってくる」と掛け声勇ましくよど号をハイジャック、北朝鮮に乗り込んだもののおそらく非転向のために死んだ吉田金太郎と岡本武以外は洗脳されるがままになって日本人を誘拐したり偽ドルつくりに加担したりして今に至るというよど号メンバーの成り行きを赤軍派の元活動家でよど号リーダー田宮の友人でもあった著者が、かつては同志だった彼らの変貌ぶりへの落胆と、それでも滲み出る旧友としての共感を抑えつつ出しつつ、約700ページという長編をたいへんな取材力で充実した内容にまとめている。
    とにかく北朝鮮以外のどの国に行ってもこれほどひどいことにはならなかっただろうと思われた。
    出発前、仲間の1人が、北朝鮮に行ったら長髪を切らなくてはならないから嫌だ、行かないと言ってグループを抜けたという話が出てくるが、知識なんてなくても、そんなふうに普通にそういう管理国家ダメじゃんとか思えなかったのかなあ。

  • 真実かどうかはともかく、かなり興奮して読んだ。特に最後の方の金太郎さんの話は。ノンフィクション版ミステリー。

  • 長期にわたる聞き込みと取材による労作。よど号亡命者に近い立場だった著者が、事実と向き合うなかで北朝鮮とその指導者の教えとに疑念を抱くようになっていった点と実行犯が洗脳されていった点が対照的。
    よど号犯は「だまされたんだ」という同情の声も聞こえてくるが、彼らはやっぱり純粋馬鹿だったんだと思う。

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