向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

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著者 : 道尾秀介
  • 新潮社 (2008年7月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101355511

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向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ミステリ、といっても、王道なミステリではない。造語で語るなら、ダーク・メルヘン・ミステリ、というところか。

    あらすじ。物語は、小学生の主人公であるミチオが、夏休み前の終業式の日に、クラスメイトであるSくんの首吊り死体を見つけるところから始まる。しかし、大人や警察が到着したときには、あったはずの死体が忽然と消えてしまっていた。死体はどこへ消えたのか? そんな不可思議から始まった夏休みのある日、Sくんが、クモに姿を変えて現れる。「僕は殺された。死体を見つけてほしい」……、そうして、ミチオとその妹ミカは、独自に事件を追い始める。

    これだけ聞くと、「ぼくのなつやすみ」みたいな、あの夏の日の思い出、……のような草の匂いが強くけぶるノスタルジック作品にも思えますが。

    とんでもない。

    登場人物がみんな異常という、引き笑いの出る陰鬱小説。

    ミステリとしては、真相が特段におもしろいわけではないし、謎解きのシーンにかなりの無理があると感じる。だって主人公は小学生だし。あんな推理無理だし。お前はコナンか。

    ただ、この物語の真髄はそこではなく、物語全体に散りばめられた病的な異常性と、不自然なほどの違和感(=作品に仕掛けられたトリック)だと思っています。amazonのレビューでは、

    ”不自然さを不自然さと感じさせる時点で仕掛けとしてイマイチのような?”

    と述べている方がいらっしゃいましたが、読み終わってみると、ちょっと違うかな、と感じました。どちらかというと、作者はあえて不自然さをわかりやすく、感じやすく全編に溶け込ませている。読者が不自然と気づくのは必然で、その異常性や違和感からくる気色悪さが、ラストの更なる異常性へと結実していくようにできているのではないかと。

    まぁ、それはそれとして、おもしろいかつまらないかといえば、フツーだったかな。本編中の違和感とは別に、設定自体に無理とアラが目立ちました。

    とにかく、夏休み、小学生……というキーワードから通常連想させるミステリを期待して読んではいけません。ここでもamazonのレビューを引用させてもらうならば、

     ”王道のミステリーがあるとすれば、これは邪道のミステリーです。”

    これが非常に的確だと感じました。

  • しばらく積読していたものから。
    最近は人の死なないミステリーばかり読んでいたので、最初の同級生の死で「え!(あまちゃん風に言うと「じぇ!(‘ j ’)/」)」となり、続いて“僕の家はゴミだらけだった”で「え!え!」となり…あっという間に引き込まれ、一気に読んでしまった。
    ミステリーの中に不思議な要素も入っていて読み進む度に驚きの連続だった。妹の事は途中から薄々勘付きはしたが…恐ろしい真実、そして衝撃の結末!これは忘れられない一冊になりそうです。

  • 「臭い、貧乏」などと陰口を言われ、学校で疎外されていたS君。
    終業式の日、不登校のS君の家を訪れたミチオは彼の首吊り死体を見てしまう。
    だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。痕跡だけを残して・・・
    一週間後、あるものに姿を変えて現れたS君にお願いされ、ミチオは妹のミカと共に彼の無念を晴らすため、事件を追うのだが・・・

    乙一氏の「夏と花火と私の死体」のようにあらかじめ死体があるところから物語は始まる。S君の死の真相と死体を追ううち、ある人物に疑いの目が向けられるのだが・・・

    ミカだけを溺愛し、ミチオに対して憎悪の感情を募らせる母親、カメに似たことなかれ主義の父親、ミチオの話を信用していないような教師や刑事たち。トコお婆さんや同級生のスミダさん、百葉箱の古瀬老人。町内で続く犬猫の虐待死事件。

    どこかおかしい、狂った世界の中でまともなのは誰なのか。なんとも後味の悪い、しかし忘れがたい衝撃の一冊。なんでも、リンゼイさん事件の市橋容疑者が身柄確保時に所有していたそうな。貴志祐介氏の作品でもそういうことはあるみたいだし、まぁ作品に罪はないですが。要はそれくらい話題になった本だということ。

    この狂った感じは岡崎隼人氏の「少女は踊る暗い腹の中踊る」にも似ているような気がします。

  • 好き嫌い別れるて言うけど、好きも嫌いもない。ただ読後が悪いの意味はわかる。この終わりかただと手元に取っておきたいとは思わないけど、話の作りはよく練られてるなとすごいなと思う。終わりに納得いかない人が多いようだけど、これは事件すっきり解決とかを目指してないよね。色んな考察あるけど、ミチオの境遇ならああなることも考えられて、本当は会話の半分くらいが空想ではないかと感じた。あの夏の出来事の首謀者は実は彼本人なんてことないかな。狂っていた夏の罪の意識を背負ったまま彼は大人になったけど、少しはまともな心理状態になってるのかな。あの夏向日葵が咲いていたら神様が助けてくれたかもしれないのにね。

  • 主人公の動向がおかしいシーンがあったり、死んだ人間が生まれ変わることを自然に受け入れてたり、3歳の妹が妙に大人びていたりなど、違和感を抱かずにはいられない展開が続くが、最終的にはそれらの謎はすべて解ける。
    どんでん返しというほど衝撃的なものでこそないが、主観と客観の違いをミステリー風に活かし、そのうえで人間の弱さを描いた作品。

  • かなり期待外れ
    作者は何をやりたいのか全くの意味不明…

  • 本屋で何気なく手にとって最初の2,3ページを読んだときに、「これは!」と思わせる秀逸な文章。即購入しました。一気に読める本でした。
    …ただ、なんといいますか、描写が上手すぎて気持ち悪くなった人は私だけではないはず。想像力豊かで気持ち悪いものが苦手な人は読む前にためらうべきかもしれません。
    なにはともあれ、それだけ文章が上手です。

    こういった二転三転するストーリーは大好きです。謎解きのための、違和感のようなヒントはいくらか隠れているのですが、素直で想像力豊かな人は自分の想像力で真実が見えなくなります。疑ってかかりましょう。

    気持ち悪くなること覚悟でまた読みたいです。

  • イヤミスのトップテンがあれば必ずランクインする作品で、未読だったので読んでみましたが、読み終わった後に「どういう事だったのか?」という事を反芻して初めてゾッとする作品です。典型的な叙述トリックですが、僕も最後まで分からなかったですね・・・イヤミス好きは避けて通れない作品

  • 湿度の高い陰鬱な夏のイメージ。
    全体的にじめっとして暗く、常に不気味な雰囲気で進む作品。
    結論からすれば、ある種のファンタジー作品と言っても過言ではないが、ファンタジーにしてはあまりにもゾッとする表現、フレーズがちらほら登場する。
    特に作品後半における怒涛の展開の中の""ある""表現が、読後随分経ち、ストーリーの全体像がぼんやりしつつある今になっても鮮明に頭に残って消えてくれない。
    次の夏が来たらもう一度読もうと思う。

  • あらすじを見て、主人公が、死んで蜘蛛に生まれ変わった友達と一緒に事件を解決するファンタジー小説だと思っていたら全然違った。
    読み進めていくうちに、どんどん暗くて不気味な林の中に足を踏み入れて行くような感覚がする。
    けれど、頁を捲る手が止まらず一気に読み終えてしまった。

    自分の見ている世界と他の人が見ている世界は全く違うのかもしれないなぁ…

    しばらくは蜘蛛とかを見るたびにこの小説を思い出すことになりそう。

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向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)の作品紹介

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。

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