これはこの世のことならず: たましくる (新潮文庫 ほ 21-2)
- 新潮社 (2013年10月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101355849
作品紹介・あらすじ
青森に暮らす十九歳の美しい娘・千歳は、目が見えない。死んでしまった優しい夫に会いたい一心で死者の霊魂と接するイタコになったけれど、夫の霊にだけはまだ会えない。気ままなイタコだったはずの彼女は、世話役の幸代、姪の安子と暮らすうち、次々と怪しい事件に巻き込まれ――。ゾっとするほど怖いのに、最後はジーンと心に沁みてくる、青森発の新感覚ファンタジー!『魔所』改題。
感想・レビュー・書評
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もっと軽めのものかと思っていたのに、意外にグロい部分もゾクッとする部分もあって少し驚きました。対象に、明るく好感が持てる主人公のイタコの千歳。そのバランスも好みで良かったです。
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前作同様、今作も短編で構成されているので飽きもせずすらすら読めました。前作より千歳が活躍したり旦那さんとの過去の話が読めたりと面白かったです。
舞台は東北。昭和初期の東北というとやはりどこか薄暗い印象ですが、その原因は昭和の歴史だったり東北独特の風土が関係してるのかなと解説を読んであらためて思いました。そういった点を踏まえて読むともっと細かい部分までイメージできるのかなと思いました。
ミステリーであってミステリーでない。怪奇小説であって怪奇小説でない。
幽霊が出てくるのに怖くない。
分類不能なジャンルで不思議な話ですが、その分あれこれ考えず本の世界にどっぷり浸かれる話でした。 -
既読の「魔所 イタコ千歳のあやかし事件帖」の改題・文庫化。昭和初期の青森が舞台のホラーミステリ。わー、ほとんど覚えてないので新鮮(笑)。初回の方が恐怖感が大きかったのは当たり前ですが、なんとなく、幸世さんの出番が少ない印象。もっと二人で長所を生かしつつ!な感じの続編お待ちしております!
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ますますホラー臭が強くなった。
オシラサマなどの土俗民話の話が増えてきて、ますます面白くなってきた感じ。
安子ちゃんもただならぬものを持っている気がするので、今後の活躍が楽しみ。 -
ほんわかする日常の中におどろおどろしい怖いものが顔を出すが、だいたいは千歳たちが解決してくれる安心感。その中で、一話目「魔所」や、三話目「白い虫」は、正体不明の怖さが残っているところが好み。特に「白い虫」はシリーズと独立して読める短編として存在感があった。今回は一作目よりもいろいろな登場人物たちにスポットがあたり、彼らのゆっくりとした日常を想像するのも楽しかった。キャラに愛着が出てきて続きがもっと読みたいです。
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1作目より千歳が活躍し、代わりに幸代の存在が薄くなった。朱川湊人さんの『かたみ歌』は面白く読めたので昭和初期の雰囲気や妖の話は嫌いじゃないはずなのに、この作品に限っては全体に漂う陰鬱さ・後味の悪さが苦手。事件の発端がほぼ痴情のもつれだからか。「馬市にて」と「逢魔が時」はそう嫌でもなかったが。
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ホラーなのかな?たぶん違うだろうな。最も印象に残ったのは「ほんじなし」という語に「甲斐性なし」という漢字をあてていたことでした。そう言われれば、そうかな。なるほど、甲斐性なしか、と思いました。「ほんじなし」を他の語に置き換えるのは難しいのですが、雰囲気は伝えていると思います。高橋克彦とか遠野物語とか、太宰治とか、岩手、弘前、そうですね、北東北の雰囲気をよく伝えているように思いました。私にはよく合いました。
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読みやすいけど、わかりにくいと言ったところかな。状況が把握しづらいような気がする。私の読解力不足でしょうか。
などと言いつつ2作目も読んでしまったが。続きがあれば読むかどうか迷うところ。