これはこの世のことならず: たましくる (新潮文庫 ほ 21-2)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101355849

作品紹介・あらすじ

青森に暮らす十九歳の美しい娘・千歳は、目が見えない。死んでしまった優しい夫に会いたい一心で死者の霊魂と接するイタコになったけれど、夫の霊にだけはまだ会えない。気ままなイタコだったはずの彼女は、世話役の幸代、姪の安子と暮らすうち、次々と怪しい事件に巻き込まれ――。ゾっとするほど怖いのに、最後はジーンと心に沁みてくる、青森発の新感覚ファンタジー!『魔所』改題。

感想・レビュー・書評

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  • もっと軽めのものかと思っていたのに、意外にグロい部分もゾクッとする部分もあって少し驚きました。対象に、明るく好感が持てる主人公のイタコの千歳。そのバランスも好みで良かったです。

  • 前作同様、今作も短編で構成されているので飽きもせずすらすら読めました。前作より千歳が活躍したり旦那さんとの過去の話が読めたりと面白かったです。

    舞台は東北。昭和初期の東北というとやはりどこか薄暗い印象ですが、その原因は昭和の歴史だったり東北独特の風土が関係してるのかなと解説を読んであらためて思いました。そういった点を踏まえて読むともっと細かい部分までイメージできるのかなと思いました。

    ミステリーであってミステリーでない。怪奇小説であって怪奇小説でない。
    幽霊が出てくるのに怖くない。
    分類不能なジャンルで不思議な話ですが、その分あれこれ考えず本の世界にどっぷり浸かれる話でした。

  • タイトルから怪談ものと思いきや怪奇よりもメインはミステリーの連作集。
    たましくるシリーズ2作目である。
    数々の謎は霊的なものと思わせて実は裏に人の悪意が隠れている。
    本シリーズに登場する霊達は無力で儚くむしろ人の方が圧倒的に残酷で恐ろしいと思わせる。

    しかし前作に比べると今回書かれる怪異は霊というより妖怪的な印象。
    『魔所』の薫物さま、エピローグの『逢魔ヶ時』の死神には背筋が寒くなった。『白い虫』の虫も三尸の事には違いないのだろうが結局正体不明でなんだか気色が悪い。

    前作に比べてメイン2人の出番が少なく感じた。
    高雄の想いもいまだ実っていないところを見ると続刊は出るのかな?出たら読みたいが。

    『これはこの世のことならず』の冒頭が好き。夕方の西日に照らされながら人形と息子の位牌で誰もいない婚礼の儀式行う黒留袖の女性。おどろおどろしくも引き込まれた場面。

    今回の表紙絵(文庫版)は前作とうってかわって春だろうか。空の青と新緑の緑に千歳の着物の赤紫の矢絣が映えていてとても素敵。

  • 既読の「魔所 イタコ千歳のあやかし事件帖」の改題・文庫化。昭和初期の青森が舞台のホラーミステリ。わー、ほとんど覚えてないので新鮮(笑)。初回の方が恐怖感が大きかったのは当たり前ですが、なんとなく、幸世さんの出番が少ない印象。もっと二人で長所を生かしつつ!な感じの続編お待ちしております!

  • ますますホラー臭が強くなった。
    オシラサマなどの土俗民話の話が増えてきて、ますます面白くなってきた感じ。
    安子ちゃんもただならぬものを持っている気がするので、今後の活躍が楽しみ。

  • ほんわかする日常の中におどろおどろしい怖いものが顔を出すが、だいたいは千歳たちが解決してくれる安心感。その中で、一話目「魔所」や、三話目「白い虫」は、正体不明の怖さが残っているところが好み。特に「白い虫」はシリーズと独立して読める短編として存在感があった。今回は一作目よりもいろいろな登場人物たちにスポットがあたり、彼らのゆっくりとした日常を想像するのも楽しかった。キャラに愛着が出てきて続きがもっと読みたいです。

  • 1作目より千歳が活躍し、代わりに幸代の存在が薄くなった。朱川湊人さんの『かたみ歌』は面白く読めたので昭和初期の雰囲気や妖の話は嫌いじゃないはずなのに、この作品に限っては全体に漂う陰鬱さ・後味の悪さが苦手。事件の発端がほぼ痴情のもつれだからか。「馬市にて」と「逢魔が時」はそう嫌でもなかったが。

  • ホラーなのかな?たぶん違うだろうな。最も印象に残ったのは「ほんじなし」という語に「甲斐性なし」という漢字をあてていたことでした。そう言われれば、そうかな。なるほど、甲斐性なしか、と思いました。「ほんじなし」を他の語に置き換えるのは難しいのですが、雰囲気は伝えていると思います。高橋克彦とか遠野物語とか、太宰治とか、岩手、弘前、そうですね、北東北の雰囲気をよく伝えているように思いました。私にはよく合いました。

  • 読みやすいけど、わかりにくいと言ったところかな。状況が把握しづらいような気がする。私の読解力不足でしょうか。
    などと言いつつ2作目も読んでしまったが。続きがあれば読むかどうか迷うところ。

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著者プロフィール

1964年青森県生まれ。2006年『闇鏡』で第18回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してデビュー。『幻想郵便局』がベストセラーとなり、以降、「幻想」シリーズで人気を博す。他の著書に『ある晴れた日に、墓じまい』『うさぎ通り丸亀不動産 あの部屋、ワケアリ物件でした!』『オリンピックがやってきた 猫とカラーテレビと卵焼き』「おもてなし時空」シリーズ、「仕掛け絵本の少女」シリーズなどがある。

「2023年 『キッチン・テルちゃん なまけもの繁盛記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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