金春屋ゴメス (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101357713

感想・レビュー・書評

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  • 近未来の日本において鎖国状態を続けている独立国家『江戸』。難関である入国を許可されたのは、大学二年生の主人公・佐藤辰次郎。その"身請け"先は、極悪非道、無慈悲で鳴らした「金春屋ゴメス」こと長崎奉行・馬込播磨守寿々の元だった。江戸国で流行する致死率の高い病『鬼赤痢』の正体とその裏に隠された陰謀を暴くため、辰次郎ら裏金春の面々が活躍するファンタジー時代劇(?)作品。
    正義も悪も、どのキャラクターも起っていて、ストーリー展開も目まぐるしく、とても面白くて一気読み。なぜ播磨守が『ゴメス』と呼ばれるのか、その正体に笑ってしまった(ちなみに、このレビューの中にも答えが隠れています)。

  • 江戸の秋の夜長、情緒ある書き出しから僅か数ページでの思わぬ展開に大爆笑。
    近未来の日本に鎖国政策を敷いている「江戸」と言う独立国家があり、、そこに
    日本からの入国を許可された辰次郎と言う大学生が周りの仲間と共に様々に活躍する、と言ったストーリー。何故早く読まなかったかと後悔している。
    死に至る流行り病とか、今も考えさせられる記述も多いが、スッキリ爽快に読み終えた。

  • 装丁を見て、桃鉄のキングボンビーを思い出した。江戸の時代小説かと思わせて、月に人が住む近未来の日本に隣接する独立国「江戸」を舞台にしたファンタジー。

    主人公辰次郎のボスである、長崎奉行ゴメスのキャラがとにかくたっている。身の丈六尺六寸というから2mの巨人。どてら、黒鬼丸、金棒の装備もあわせると強烈。容赦なく暴れると被害の規模も桁外れでまさにキングボンビー。睨まれたら腰抜かすよね、そりゃ。部下たちも「厚顔無恥、冷酷無比、極悪非道で誉れ高い」と断言する強烈さだが、親分としては全幅の信頼を寄せられている。

    後半は、個人的にゴメスがいつ来るか、いつ来るか、のゴメス待ち。ある意味、水戸黄門。
    江戸マニアのバイリンガル松吉、おっちょこちょいの飯屋の姉妹、無口な走り屋韋駄天、ゴメスをからかえる唯一の人粟田様など周囲のキャラもよく、続編に期待。

  • ゴメスにもってかれる。それが楽しい。性別が秀逸。モブめいた地味な描かれ方なのにジワジワ主人公の周囲の人物達が魅力的に格好よく感じられるようになってくる匙加減も昨今のライトファンタジーノベルっぽい「作られた感」が無くて良い。最近現代的過ぎ江戸の匂いや空気感の無い時代小説増えててあまり好きな傾向ではないのだが、この小説だと「いっそ!ならば!」とばかりの設定なので気にならない(近未来の江戸物^_^昔読んだ漫画、「七色とうがらし」だったかな?あの設定好きだったのだが、近いものを感じる)

  • 日本から江戸国へ
    時代がねじれた気分で読む
    馴染みがありそうでない世界でわくわく
    ゴメス、凄い、強烈

  • 新しいタイプのファンタジー?時代小説?

    現代日本と並行して江戸という国が存在する世界。
    インターネットもプラスチック製品も進んだ科学技術もない世界へ行くことになった大学生の辰次郎。
    もうこの設定から面白かったです。

    辰次郎とともに江戸を覗き込んでいるような気になりました。
    タイムスリップをしたような、映画村に迷い込んでしまったような感覚で一気に読んでしまいました。

    これがデビュー作というのが驚きでした!

  • 再読。ファンタジーとしての設定がわくわくします。読みながら映像を想像するのがとても楽しい(ドラマ『浮浪雲』がちらつく)。
    流行り病の話は今年読むと印象が重く、考え込んでしまいました。コサキンラジオでお二人が、もし江戸時代に行けたらお寿司と蕎麦を食べてみたいと仰っていたのを思い出しました。
    映像化したら見てみたい。ゴメスはマツコ氏で!

  • デビュー作というから驚いた。
    江戸時代小説ではなく、月にいっちゃうような近未来の話だったしアイデアが奇抜。
    日本の中にディズニーランドよろしく鎖国中の江戸国あり現代人がそのまま江戸へ行けたらどんなんかなー
    そういう、いまむかし話のレベルではなかった。

    コロナ疫病閉塞感あふれる日本からむ利権今、この江戸国の臨場感を高めてくれる環境は抜群

  • 近未来の日本の中に「江戸」を再現した属領を作り、その江戸はかつてと同じように鎖国しているという、斬新かつワクワクする舞台設定です。
    物語は捕物帳の仕様ですが、そこに現代のテクノロジーと江戸時代の生活を再現しているからこその制約とが絡み合っており、現代人としての目線でも登場人物たちの葛藤をスムーズに理解できます。
    ある程度の年齢になり、ここ数年東京の下町で暮らすことで江戸の残り香を嗅ぐ生活をしてきた人自分としては、この「江戸」が本当にあったら暮らしてみたいと思いました。

  • 2020/8/15
    現代に江戸時代の生活をする隔離された区画があったら…というSF。
    20年位前に友達と「鎖国して幕府を置こう!」から始まった話がめっちゃ楽しかったのを思い出した。
    将軍は格闘家の佐竹でいいやん。とか。意味わからんけど。
    ビジュアルアーツの前のベンチで何時間も話したんよな。
    思い出は尊い。
    小説はゴメスのことがちょっとしか語られてないし、もうちょっと色々知りたくてもどかしいけどシリーズなら仕方ないね。
    登場人物が結構多くて誰が誰やらわからんくなっちゃった。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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