善人長屋 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.85
  • (42)
  • (105)
  • (48)
  • (6)
  • (4)
本棚登録 : 705
感想 : 62
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101357744

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  西條奈加さんの人情ものは面白い!

     逆転の視点というか、善人と呼ばれている人々が実は悪党だった。そして、そこへまっとうな善人が入ることで物語がとても面白くなる。

     加助さんのあれは行きすぎだと思うけどね。

     私、個人は『犀の子守歌』が一番好き。切なくて悲しい恋物語だったなぁ。

  • 住人全員が小悪党、故に慎ましやかに生活に気を配っているというのに、何故か根っからの善人が問題ばっかり持ち込むようになるという( ^ω^ )
    各話ハッピーエンドでダレそうな所を最後にちょっと苦々しい展開を持ってきてあって流石でした
    善人が善人たる所以にもぞっとさせられたり
    長屋の住人達同様、加助の幸せを願わずにはいられません

  • この作家さんの作品は、『猫の傀儡」に続いて2作目、両作品ともありえない設定なのに、読み始めると、その作品に引き込まれてしまう。

    展歩のよさと登場人物ひとりひとりの設定が細かく、ぶれがない

    読んでいて、幸せな気持ちになる

    時代も国も違うが、往年の名作映画『スティング』に通じる味わいがあります

  • ″真面目で気のいい人ばかり″と噂の「善人長屋」。
    しかし陰に回れば差配も店子も裏稼業の凄腕揃い。
    そんな悪党の巣に、根っからの善人、加助が迷い込んだ。人助けが生き甲斐で、他人の面倒を買って出る底なしのお人好し・・・。加助が持ち込む厄介ごとで長屋はいつも大騒動、しぶしぶ店子たちは闇の稼業で鳴らした腕を揮う!

    心淋し川で注目した西條奈加さんの本を読んでみようと思いどんな作品があるかと探すと、上の7行の善人長屋の帯に書かれていた文言で今作に興味が沸いた。

    まぁ1話完結しながら少しずつ話が進むんだろうなと思ったがその通り。
    そして想像より面白かった。
    読み進める毎に深まる登場人物のキャラクターが面白くて、微笑ましくもあったり目頭が熱くなったり
    しながら楽しめた。
    閻魔の世直しがシリーズの次巻らしく楽しみが増えました。

    2021/06

  • 善人長屋とふたつ名を持つ長屋。実は住人は、皆、裏家業を持つ人ばかり。そこに、根っからの善人、加助が越してきた。長屋の住人を、ふたつ名のとおりいい人達だと信じてる加助は、あれやこれやと人助けやおせっかいを持ち込む。ほとんど病気(笑)長屋の人達は、毎度、このやっかいごとに困り果てながらも、技と知恵を生かして、助けてやります。テンポもよく、現代の犯罪と重なるところもあり、考えさせられながらも楽しめました。いつも、みんなの技でうまくいってるところに、間が悪く、何も知らない加助さんが登場し、読んでる方も、困った人だなと思いながら、またかと笑えます。最後の2編は、加助さんの奥さんの話でしたが…加助さんには、幸せになってもらいたかったです。何が悪で、何が善なのか…。

  • 悪盗だけど悪人じゃない。
    そんな長屋の人達が、とても魅力的でした。

    度を越すほど善人の加助には

    「自分一人の力で助けることができないなら、人助けなんてするな!」

    と言いたくなるほどイラッとしますが、そこに目をつぶれば、とても楽しい作品だと思います。
    善人にイラッとするなんて、私って性格がかなり悪いのかも(笑)

  • 痛快!

  • 短編が9つ、どれも読後感が爽快だ.最後の2つは連作で加助の妻との話だが、複雑な筋が巧みに組み合わされている.長屋の皆が裏稼業を持っているという設定もユニークで、難題が持ち上がるたびにそれぞれの特技が遺憾なく発揮される、「犀の子守歌」は性同一障害を持つお殿様の問題を取り扱っている.男色という風習が公然と通用していた時代ならではの話だ.でも、興味深い題材を難問として取り上げ、チームワークで解決する長屋の連中の佇まいに少し嫉妬を感じる.

著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西條奈加の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×