人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白 (新潮文庫)

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著者 : 美達大和
  • 新潮社 (2011年10月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101358611

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人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 本書は、現在二件の殺人事件で服役中の受刑者である著者が
    「LB級刑務所」の囚人の実態と、事件、贖罪、更生、道徳、倫理等について
    自身を通して考え抜いて書かれている。

    殺人事件を犯した方が、書かれているという事で嫌悪感を持つ方もいらっしゃると
    思うので、そういった方は本書及び、ここから先は読まずに閉じて頂ければと思います。


    さて、冒頭に出した「LB級」というのは、私も今まで聞いた事も目にした事がなく
    恐らく多くの方に馴染みがないのではないかと思われる。

    比較的、罪の軽い受刑者が収容されるのが「A級」
    罪が重く、犯罪傾向が進んでいる受刑者が収容されるのが「B級」のようです。

    また懲役期間が長期の場合は「L級」とされており
    「LB級」にランクされている刑務所は全国で五か所との事です。

    著者自身も人を殺めており、当時は自分自身の行為に対して、
    殺害は当然悪い事だが、動機については相当たる理由があると考えて
    「計画的に実行した」と語られております。

    しかしその後、弁護士二名の方々との対話を通して、自身の論理は間違ってはいないが、
    いくら正しいとしても、相手(被害者)には通じていない事、
    また、あまりに論理的で非の打ちどころがないため相手(被害者)からすると
    逃げ道もなく、容認出来ない事もあるのではなかったのか?
    という、相手側(被害者側)の立場にたってみて考えた事など
    現在も服役中であり著者が、己の考えが足りなかった事、
    自責の念、被害者家族の感情など、日々、贖罪とは何か?
    少しでも自分に出来る事はないのかと考えている事が書かれています。

    それもあり、無期懲役の判決が出ている著者ですが、遺族の方々の感情を考え
    「仮釈放」という道も自ら放棄し塀の外には出ない事を決めております。


    著者がどのような個性の持ち主なのかは本書を読んで頂ければと思いますが、
    これだけ知能が非常に高く(本書でも弁護士の方が傑出しているとまで言われています)
    私から見て、他人を思い、誠実で約束を守り、一目置かれ慕われている方が何故?
    という感情が拭い切れません。

    犯罪者に「お前は何肩を持っているんだ」という感情を抱く方もいらっしゃるかと思います。
    不快な思いをさせてしまいましたら大変申し訳なにのですが、私は率直にそう感じました。


    信念を曲げず、相当の理由があった。
    その信念というものが、あまりに強烈で強すぎてしまった事が一つの原因かと思うと
    残念でなりません。


    しかし、現在は著者もそれが過ちだったと悔いております。
    そこで、自分に何か出来る事はなにのかと模索し
    現行の日本の刑法や監獄内の実情、受刑者の実態を知ってもらい、とい思いが
    詰まっております。

    また純粋に自身の「知りたい」という子供の頃から続いている知的好奇心から
    12名もの受刑者との対話からその犯罪、罪の意識について本音が書かれています。


    本書を読み進めていくと、犯罪を犯してしまった方の心理を踏まえて、
    更生を認められるのが著しく困難な事、その現実を直視し法制度を考えて
    いかなくてはならないと、深く思うようになりました。

    あまりに現状の制度は加害者の人権ばかりを保護し偏りがあること、更生とは何か?
    また、当事者にしか持ち得ない感情など、今まで如何にメディアだけの情報を鵜呑みにし
    他人事だった事を恥ずかしく感じています。


    本書を読み終えて率直な感想として、著者には是非社会に出て犯罪の抑制や
    更生の為のプログラム作りに参加して偉そうな事を言いますが社会に貢献して欲しいと
    思いました。
    (被害者遺族の方には犯罪者に更生など望んでいない方が多数いらっしゃる事にも
    本書では言及されております)
    http://profile.livedoor.com/book_dokushonikki/

  • 自分の知らない世界について、少しでも知れて、とても興味深かったです。

  • こんなに完璧に物事を考える人がいるんだと。
    でもかたくなな完璧主義者って難しい。
    もし人を殺していなかったら、どんな人生を送っていたのかが気になる。

  • 二件の殺人に至る経緯、その後の気づき。死刑囚たちの本音。贖罪。

    ヤクザと堅気に二分すると、悪いのはヤクザでしょと思いますが、殺人犯ではその逆だということを知りました。

  • 整合性がとれすぎて、情で破綻しないということ。
    理屈じゃない情の余白を再考した。

  • タイトルから、少し警戒しつつ読み始めたけれど、序盤から物凄く面白い。
    正義や男らしさで融通が利かない人は周りにも思い当たるけど、それがより酷くなると殺人も正当化される。なるほど、理解や想像の範囲内だ。
    その後、獄中のドキュメント、他の囚人のケース紹介、贖罪についての考察と構成も表現力も素晴らしい。
    この人の本もっと読みたい!無理か!と思ったら後書きでちゃっかり2冊目の宣伝。多分読むね。

  • この人の本名がすごく気になった。

  • 教育の仕方次第で人はどうにでもなれる。

  • 著者は本当に実在しているのか、
    と思うほど、まるで小説の中に出てきそうな人物。
    すさまじい経歴とパーソナリティー、
    さらに輪をかけて内容もおもしろい。
    文章もしっかりしているし、
    本当に頭もよいのだろう。
    興味深いのは、
    最初のほうの独白を読むと客観的すぎるためか
    感情のない人間のように読めるが、
    他の受刑者のエピソードを読むと、
    一見まともな人のようにも見えるところ。
    受刑による著者の心の変遷が
    反映されているのかもしれない。
    なお、解説にもあるように、
    この本を読んでも
    人を殺すとはどういうことかはわからない。

  • 人を殺したという過ちをどう償えばいいのか。いかに優秀な頭脳を持ってしてもその答えは出ないのかもしれません。
    でもそれをこれからもずっと考え続けていくことを著者は決めたのだと思います。

    人間の持つ自由という権利を放棄してまで自分の信念を貫き通す、とても難しいことでしょう。
    いったいその先に何があるのか。

    その答えがわかることを心より祈っております。

  • 【2015年6冊目】
    こんなに頭のいい人が殺人犯だなんてやっぱり信じ難い…。
    前職ではよく犯罪者と話したけど、美達氏の書いている通り本当に反省してる人は見たことなかったな…。

    この本ではヤクザの受刑者についての章が印象的でした(^^)
    美達氏の本は2冊目で、「死刑絶対肯定論」と内容的な重なりも多く★×5とはいきませんが、刑罰のあり方を考える有益な視点を提供してくれる名著です!

  • まず著者の聡明さに惹かれた。
    刑務所に務める人は独善的な一面があり不幸を背負っているようであった。ドラマや漫画での殺人犯が嘘っぱちなフィクションだと改めて認識した

  • 先日読んだ『反省させると犯罪者になります』に出てきたので読んでみました。
    著者自身が刑務所で服役中、ということをふまえて、読めないと思うならば読まない方がいいです。

    著者が長期刑務所で聞いたことをもとに書いている部分、え…?と思うことも沢山あるけれど、知りようのない内部の状況を知ることが出来るという点はとても貴重だ。

  • 獄中の殺人犯(作者)が、己を含めさまざまな人(やくざさんが多いけれど)の、どうして殺めたか、心境は、後悔の念は等々を記したもの。
    かなりの読み応え。とともに、かなりの落胆も感じたり。
    改悛の情って…。でも現実なのかもしれない。
    思うところたくさんあり。

  • 人は失って初めて得ることもある

    幸福は自分自身の中にあり、
    一切の不幸は欠乏からではなく過剰からくる (トルストイ)

    どのように生きるかではなく、どのように死ぬか、何をなして終えるか

  • 著者の来歴と内容の特異性により、一読に値する本であると思う。
    何故このような本が出版されたかについては、内容を読めば理解されるだろうと思う。
    著者は小学校時代に、給食費などをねん出するために金を合法的に稼ぐ方法を考え、そして実践したという。この話で思い出したのは、同様のエピソードを持つ孫正義氏である。片や大企業の社長として名声を博し、片や殺人犯として無期懲役と対極をなす人生であるが、その考え方にどれほどの違いがあるか。見方によれば、人間はちょっとしたきっかけでどちらにもなりうるということではないかと感じた。

  • 916
    2人を殺め、無期懲役囚として服役する著者の獄中記。韓国人の父、希薄な罪の意識…

  • 興味津々で読み始めたが、序盤、自分自慢みたいな事が書かれてあって、ちょっとスピードダウン。
    著者(本人)は自分原理主義者みたいな性格です。
    刑務所に入ってからは、個性豊かな受刑者が出てきて、それなりに面白い。
    気の弱いダメダメな人、ロリコンの強姦殺人、筋を通すそのスジの人…
    けど、何か違和感を感じる。そこはかとなく…
    ・各ステレオタイプをそろえました。
    ・エピソードもまとまり過ぎ(ってほどでもないかな)
    ・ちょこちょこ出てくる難しそうな言葉
    ・著者と父親については書かれているが、それに比べると著者と子供についてはほどんど言及がない(p.300に少しある)
    ・ジョージ・ウィンストン(p.295)バブルの頃は娑婆にいたみたい
    ・クソゲー(p.281)ゲーマーだったのか?
    何か、フィクション臭が漂い始めました。

    本当にノンフィクションだったら、ごめんなさい。

  • 2人を殺した無期懲役犯の獄中記。獄中で知り合った殺人犯達の事を書いているが、想像以上に反省していない犯罪者が多く恐くなった。

  • 刑務所はやっぱり異質な世界なのだなぁと思った。同じ国にいながら全く異なる環境で生活する人間の考え方行動様式が知れる良書。作者本人のキャラクターも強烈。

  • 予想していたよりもずっと得るものが多い作品だった。
    自分はぬるいなと思った。生きる姿勢というか。
    人殺しがどうとかっていうよりも、ストイックに生きるということはひとつのことを如何に突き詰めるかではなく如何にそれ以外のものを捨てられるかという言葉を思い出しました。

  • ちょっと判断に困る本。なので(←?)感想がうっかり長文。

    ネットの一部では作者の実在自体が疑われているけれど、とりあえず実在しているという前提で読みました。
    というのも、この本は「殺人を犯して無期懲役となった囚人が獄中で書いた、殺人犯に関する考察」という体裁を取っていて、なおかつ「作者が仮釈放を放棄して今も服役中」というのが最大のアピールポイントなので、その根底が創作だったら、ちょっと編集者の良識を疑うことになってしまうし。何よりも、これが創作だとしたらちょっと変な声が出てしまいそうなくらい残念な作品だから。

    そんなわけで作者実在として読むと、なかなかに困る本でした。
    作者(高い知能と強い意志を持って生まれ、暴力的で反社会的な父親に育てられて、子供時代にその父親からネグレクトを受けたこともあるのに、その父親を盲信している人)が殺人の罪深さに気づくあたりは、「おまえは何を言ってるんだ?」と真顔でツッコミたくなるし、そんな人間ながらも「養護施設の子供達に何かしてやりたい」と、時々(思い出したように)書いているのが、いかにもとってつけたようで苦笑を禁じ得ない。

    内容は、序盤で自分がいかに優秀でいかに情が無かったかを語り、中盤で同じ獄内の囚人達(いずれも長期刑or無期)へのインタビュー(?)をまじえて、大半の囚人が救いようのない獣であると告発し、でもホンモノのヤクザ(チンピラではなく任侠の人。でも殺人犯)はひと味違うと語り、終盤は「やっぱり殺人はよくない。償えるものじゃない」と語っているものです。

    書かれている文章自体は、やや難解な語彙も多く、他人とのコミュニケーションからではなく書物だけで大半の文章を学んだ人なのかなという印象。回りくどい言い回しは狙ってのことかもしれないが、そこかしこに見られる「ちょっとイタイ」言い回しは、生きた言葉で学んでいないからかと思える。知能は高いのかもしれないけれど、コミュニケーション不足の感は否めない。特に、他人の感情に対する想像力が欠けているなと思える作者が、同囚の想像力の無さを責めているあたりは苦笑の極み。
    論理に矛盾があるところはあまり追究せず、逆にアピールしたい部分は何度も何度も繰り返し書かれていて、特定の発達障害を彷彿とさせる。
    ただ、作者本人も、「自分も病を抱えている」と匂わせてはいるけれど、そういう気質だからとか、そういう病気だからしょうがないと思ってはいけないと思う。同じ障害を抱えていながらも、又は同じような環境で育ったとしても、社会で真っ当に生きている方々に対して、限りなく失礼に当たると思うので。


    全体的に「おまえが言うな」感満載の本ですが、中でも「ぇー?」と思ったのが以下の箇所。

    “人の命を奪ったのだから責任について考察することは義務だという観念ではなくて、少しでも真っ当な人間として残りの人生を過ごすために積極的に自らの非を悔い、真摯に反省と贖罪に励みたいという気持ちが生じました。人生というジグソーパズルのピースが欠けていてもいい、何とか最後まで残りのピースを嵌めていきたいという思いです。”

    他人のジグソーパズルを台紙ごとひっくり返した人間が何を言い出すのか。

    “同囚は私に獄死なんてと言いますが、何処で死のうと死という現象に違いはなく、我が過ちに気付くこともなく獣のような欲望の炎に包まれたまま社会で死ぬよりは、可能な限りの責務に誠実に向き合い努力して獄で死ぬ方がずっとましです”

    そもそもその二択がオカシイ。責務に誠実に向き合い努力して社会で生きて死んでいくのが人間じゃないのか。



    獄中記や、殺人事件のノンフィクションなんかを読むとだいたい思うんですが、無期囚や死刑囚が獄の中で人生とやらを見つめて、なんとなく悟りめいたものを... 続きを読む

  • 自己陶酔型服役囚の獄中記。
    何人かの服役囚の特徴や著者の一辺倒の考察が述べられていたが、どうでもよかった。それだったら、ドストエフスキーの『死の家の記録』を読んだ方が1億倍は得るものがある。
    著者のプライドの高さや、ナルシスト具合が遺憾なく発揮された本であり、ところどころそれとなく自慢している箇所も見受けられる。自分を卑下しているところも多分にあるが、それもナルシストの特徴と考えられる。
    他の服役囚についての特徴が述べられているのも、自分と他の服役囚とを区別することで、自分が特別であることを認識するためとしか思えない。
    こうした人間の口から出てくる「反省」という言葉ほど疑わしいものはそうない。著者は何のために読書に励んできたのだろう?

    この本は、著者のような自己陶酔型の人間を理解するためには役立つかもしれない。

  • 人を二人殺した被告の獄中記。ノンフィクションなのかフィクションなのかよくわからないけどあっという間に読み終わった。死刑モノは興味があるから読んじゃう。

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人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白 (新潮文庫)の作品紹介

「殺人」という大罪は償えるのか。人を二人殺めた著者は今、罪が重く刑期が十年以上の者が収容される「LB級刑務所」に無期懲役囚として服役している。十数年にわたる服役期間に自分の行為を反芻し、贖罪とは何か、人の命を奪った身でどのように残りの人生を「生きる」べきかを考え続けてきた。自身の半生と罪の意識、反省の欠片もない周囲の服役囚について考察した驚愕の獄中記。

人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白 (新潮文庫)はこんな本です

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