キッチン (新潮文庫)

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著者 : 吉本ばなな
  • 新潮社 (2002年6月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359137

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キッチン (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • ようやく読めた『キッチン』。
    ずっと気になっていたのに何故か読めなかったよしもとばななさん。
    最初の数ページを読んで「そういうことだったのか」と納得した。
    まだ私にはこの物語は早かったんだな。きっと。
    本当は今だって機が熟したとは言えない。
    少しフライングで読んでしまったと思う。

    主人公の経験した喪失を私は知らない。
    でもそれは回避不可能なものなのだろう。
    今息絶えることが出来るなら知らないまま生涯を終わらせることが出来る。
    でも私にはその道を選ぶことが出来ない。

    幼い頃から何度も想像してきた。
    その度に涙を流して私には耐えられないと結論付けてきた。
    この小説に描かれているのは喪失そのものとそこからの生き方だった。

    深く傷つきながらも周囲の人に光を見出す主人公達が私には眩しい。
    いつか私が運命に捕まる日が来たら、その時私はどこかに光を見いだせるだろうか。
    こういうことには心の準備なんて出来ないのだと思ってきたけれど、光を見つけることはもしかしたら出来るのかもしれない。
    そう思った。

  • こないだ自室の本棚の本を50音順に並び替えたのだけど、そしたら懐かしい本もたくさん目に入って、何度か読んではいるけどブクログにレビューを書いてない本もけっこうあったから、積読を読む合間にそれらも読んでみようかなと思った。
    この小説は、その中の一冊。
    出逢いは高校生の時で、それから何度か読んでるけれど、今回はけっこう久しぶりに読んだ。
    やはりこの一冊は特別というか、吉本ばななさんの原点だと思う。
    “大切な人の死”“特別な出逢い”“悲しい時間をどうにか乗り越えて行くこと”“不思議な力”全部詰まった小説。
    読むと無条件に悲しくなって、そして優しい気持ちになれる。
    人と人の特別な出逢い。に、期待したくなる一冊。

  • キッチンの冷たくて無機質な感じと、人の温もりが伝わってくる。
    久しぶりに再読したら、とても新鮮だった。

    「ムーンライト・シャドウ」もよかった。
    人はいつか、孤独や暗闇から抜け出して、前を向いて生きて行けるものなのだ。
    文章が優しくて、心打たれる。

  • 今、閲覧室の一つの机の上に「S短期大学合格生用課題図書」というコーナーを設けています。
    7名の作家の中から、好きな作家を選んで読書感想文を書きなさいという課題が、上の短大から出ているからです。(附属高校ということもあり、毎年数十名が上の短大に進みます)
    その7名の作家というのが、芥川龍之介、太宰治、夏目漱石、村上春樹、吉本ばなな、司馬遼太郎、渡辺和子なのですが、正直、もうそろそろ作家を変えてあげて頂けないものかと、内心思っております。私が勤めてから、5年間同じです。
    石田衣良とか東野圭吾とか伊坂幸太郎とか恩田陸とか湊かなえとか梨木果歩とか湯本香樹実とか瀬尾まいことか重松清とか星新一でも小野不由美でも上橋菜穂子もいるし・・・。生徒が読みやすく、書きやすい作家に変えて頂けないものかと。
    司書としては毎年同じですので簡単でよいのですが。急いで揃える必要もありませんし。毎年同じなら・・・・。
    でも、生徒のことを思うと。。。
    あっ、自分で好んで読む作家はほっておいても読むから、あえてこうされているのかもしれませんね。
    すみません。差し出がましいことを書いてしまいました。

    生徒から「何が読みやすいですか」と聞かれた時には、締め切り間際に聞いてくる生徒もいますので、そんな時には「内容知ってる小説あるでしょう。こころとか羅生門とか坊ちゃんとか。そんなところからでもいいし、読みやすいのだったら吉本ばななとかは?」
    この課題が出ると、今まで借りたことのない生徒も来てくれたりしますので、高校の図書室としてはうれしい課題です。
    提出された感想文を読まれる短大の先生方は大変でしょうが、続けて頂ければと思います。
    合格した生徒の気も引き締まりますし。

    では、その中の1冊
    吉本ばななさんの 「キッチン」

    「簡単に読めて、面白いのだったらこれがお薦め」といいながら紹介しています。
    おばあちゃんと二人暮らしだった女子大生が、おばあちゃんが亡くなって一人になってしまった時に、同じ大学の男子学生に拾われて(?)その男子学生の母親含め三人で暮らすことになったんだけど、実はそのお母さんは、お父さんで・・・・、とこの辺りまで紹介すると、「あっ、面白そう、それ読んでみる」と借りていってくれます。

    文庫本の裏表紙の紹介文から。
    『私がこの世で一番好きな場所は台所だと思う。
    祖母の死、突然の奇妙な同居、不自然であり、自然な日常を、
    まっすぐな感覚で受け止め、人が死ぬことと生きることを、
    そして世界が不思議な調和に満ちていることを、
    あなたに語りかけるロング・ベストセラー』

    『生きることは淋しい、でもどこまでも美しい』

    分類 913/ヨ

  •  ときおり、ぐっと胸をつくような表現がありました。特に、「ムーンライト・シャドウ」だよかったです。大切な人を失った二人が、その人の死の重みになんとか耐え、生きていこうとする姿が胸に迫りました。その描き方が本当にいい。

  • 読んでると、たまに分かりづらい文章があって何度も読み返してしまう部分もあったかな…独特ですね。
    要は抽象的なのかなあと。
    重い現状なのに、救いとあたたかさを感じます。

    遥か昔(小学校時代)に読んだ作品だったので、
    まったく新しい気持ちで読めました(*^^*)

    ひとまわり、もしくはふたまわり歳を取ったらまた読んでみよう。

  • 心安らぐ物語でした。
    著者作品を初めて読みましたがとても良かったです、ファンになりそう。。。

    次は「TSUGUMI」を読もう。「不倫と南米」も気になる。

  • たった1人の身内を亡くしたみかげと雄一の様子が細やかに描かれていて、2人の、前に進みたいけどなかなか進めない様子が切ない。みかげにとって、キッチンが落ち着く場所というのが興味深かった。雄一との関係が曖昧なままで、どうなるのかなどうなるのかなともどかしくもなったが、みかげがほかほかの美味しそうなカツ丼を持ってタクシーに乗り込んだ時には思わずニヤリとした。

  • よしもとばななを久々に読みたくなって購入。中学か高校生ぶり。あの頃読んだ時は自分がその時に感じる時間が過ぎてく切なさとか、なんとなく感じていたものを的確に表現してくれるから感動した。

    今回、少し大人になって読んだ。今度はよしもとばななの生死観に共感。
    というか、感動。
    自分の言い表せない気持ちを優しい日本語で表してくれるからホントにすごい。痒い所に手が届くとは正にこのこと。
    よしもとばななこれから読み直していこうっと。

  • 吉本ばななの作品の中ではかなり有名みたいなのでずっと読みたかった。やっと読んだ



    内容云々ではなく根本的な話をしてみます。女流作家ってどうしても恋愛がテーマになりがちだと思うんです。吉本ばななも題材にしていることがわりと多い。けどこの人の作品に描かれる恋愛模様は色恋と言うよりも「あくまでも人情の一種としての愛情や恋情」だなぁと思うのです。男女の愛と言うよりも人間愛。だから好き



    それプラス「人って結局一人だよね」とか「みんないつか終わりが来るね」っていうメッセージをどの作品にも強く感じる。孤独であったり喪失であったり、そういう刹那的な匂いがプンプン、いやムンムンする



    そんな吉本ばななの世界観はまさに私の世界の心髄。本当に深く共感します。んでキッチン、やっぱり面白かったです

  • 読む度に、あぁ好きだなぁと思う作品。書き出しの一文が良い。主人公みかげの一番好きな場所。物語の世界に温かく迎え入れてもらった気がする。悲しみや淋しさで心が満たされると、世界の見え方が変わってしまう。みかげも雄一も、変わってしまった世界の中で苦しんでいるはずだけど、景色や出来事の一つ一つがとても綺麗で癒される。一人でしっかり立って生きることの、孤独な楽しさを理解できるようになりたい。

  • 「本当にひとり立ちしたい人は、なにかを育てるといいのよね」というえり子さんの一言が、今、我が家にイタチがいる理由でしょう。4年ぶりくらいに読んだ。今日の心持ちはこの本しかないと思い、本棚を漁った。奥の奥を見ていたら、手前のほうにあった。台所が好きな女の子と、不思議な男の子と、彼の母たる父親の三人だけの物語は、柔らかくじんわりとしている。抑揚の少ない文体は、キッチンに例えたら、無垢材の床で、白い壁、洗い場のあたりには青色のタイル、といった感じでしょう。別に落ち込んでるわけではないけれど、温かみがほしいときに、どうぞ、という小説です。

  • 1987年にこの作品で海燕新人文学賞を受賞しています。

     大学生の桜井みかげは、祖母が亡くなったために、アパートを引っ越さなければならなくなります。そこへ田辺雄一というひとつ歳下の男の子がやって来て、うちへ来ないか? と言ってくれます。田辺は祖母とは知り合いでしたが、みかげとはあまり面識がありません。しかし、ふわふわとみかげは田辺の家に転がり込みます。そこには雄一の母親も住んでいるのでしたが・・・



    冒頭、みかげの台所への思いが綴られます。散らかった台所も好きだ、と。
    何故キッチンが好きなんでしょうか?
    みかげは天涯孤独です。両親もいませんし、唯一の家族であった祖母とも死に別れてしまいます。
    恋人とも別れた後です。
    バスの中でおばあさんに生意気な口をきく子供に「ガキ」と心の中で罵ったりします。おばあさんの優しさが羨ましかったんすね。

    主人公がなんでキッチンが好きなのか、それは読んだ人それぞれが感じることだと思うので、ここでは私は言いません。
    文庫の裏には、「すべては(この作品から)はじまった」と書かれています。
    せつなさ。寂しさ。哀しさ。孤独。
    そういったものが、主人公の気丈な振る舞いから滲み出ている作品だと思います。
    シンプルな作品ではありますが、その無駄なものを削ぎ落としたシンプルさが、こころに直接響きかけてくる作品かもしれません。

  • この小説にあるのは、大切な人を失った時の心裂かれるような"悲しみ"ではなく、その後に襲ってくる"喪失感"というか"虚無感"みたいなもの。
    そんなものが、言葉でではなく、雰囲気として満ちている。

    そんな静かな世界だからこそ感じることができる色々なものがあると思う。

    定期的に読み返したくなる作品。

  • 生きること・死ぬこと・人間の強さと弱さを
    学生の男女の関わりから優しく感じられる作品。
    彼らは孤独に苛まれている。
    けれど、それは絶望や閉鎖のようなものではなく
    暖かさと素直な感情の足し引きのようなもの。
    読み進め、孤独や弱さが深まるほど、胸がぎゅっと苦しくなるけれど
    どうしても彼らに救われる。
    これからの自分の生く道が少し輝くと思います。

  • 「綺麗な作品」という言葉がこれほどしっくりくるものもないだろう。なぜだか何度も読み返したくなる。

    私が「よしもとばなな」さんを知ったきっかけになった本。綺麗な文章で描かれた独特の世界観。その世界観が心地いいのかもしれない。

    一言で「これは良い作品です」なんて言えない。そんな単純なことじゃないんだと思う。決して明るい話じゃないけど、心を癒してくれる何かがある。そこに希望を見つけることができる。

    これからも大切にしていきたい本です。

  •  
    真夜中のカツ丼。
    「生」と「死」。

    またいつの日か、読み返したいお話。

    「人生は本当にいっぺん絶望しないと、
    そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、
    本当に楽しいことがなにかわかんないうちに大っきくなっちゃうと思うの。」

    「私はそうして楽しいことを知ってしまい、もう戻れない。
     どうしても、自分がいつか死ぬということを感じ続けていたい。
     でないと生きている気がしない。だから、こんな人生になった。」
     
     

  • はっとさせられた、あとがきの部分。自分で落ち込んで、自分で自分を不幸にしているなと感じていた時に読んだから。
    読んだ後は、家族や友達がいる毎日の生活がきらきらしているように思える。

  • なんとなく、文章の雰囲気が江國香織さんと似てると思いました。江國さんの作品はほとんど読んだけど吉本さんは初めてで、より爽やかな感じ。
    文章がきれいで心が洗われます。

    ムーンライトシャドウは泣いた!恋人を亡くしたことはないけど、大失恋したときの思い出と重ね合わせて切なくなりました。

  • 高校生のころから、数年に一度ふと読みたくなる作品。これを読みたくなるタイミング、それはなにかにぼんやりと悩んでいて、ココロの整理をつけたいときです。

    大切なひとを失った主人公たちが自分の居場所を迷って、そこで少し変わった家族にであい、他人と家族に拠り所になっていく。そこから生まれる愛情。
    そんなお話ですが、こんな簡単な文章では表せないくらい、複雑な心情が描かれてます。
    でも取り囲む人間関係から柔らかい暖かい気持ちになれる。
    どんなにゆっくりでもいいから、生きて歩いて行かねばいけないと思わされ、読了したあと心が澄み渡る気持ちになります。素晴らしい作品です。

  • きっと わたしがキッチンを愛おしく思うのは、この本に出会ったからだと思う。

    読み終えると カツ丼が食べたいなあとつい思ってしまう食いしん坊ですが、ひとつひとつの描写がやさしくて、みかげや雄一のそばには「死」があるのに 読み終えても嫌な後味はなくって。
    何度も読み返したけれど これからも、ずっと大切にしたい本。

  • 同録されているもう一つのお話、「ムーンライト・シャドウ」が大好き☆☆☆
    何度読んでも心震えますっ。

    とにかくこのお話が大好きなので、この作品のみの感想です。

    私はまだ大切な人を失うという経験をしてませんが、主人公の悲しみが痛いほど伝わってきました。
    もう一人の男の子も大好きな彼女を失って彼女の制服を着て学校に通うという物凄く突飛な設定なのに、作品中の彼の佇まいがとても自然で、逆にその悲しみが痛いほど伝わってきます。特に主人公が目撃したあるシーンは、とてつもなく悲しくていたたまれなくなる程です。なんてことない場面なのに、その主人公と事情を知ってる読者には鮮烈に痛いほどその悲しみが伝わってくる・・・。印象的な場面でした。

    繊細な描写がとにかく素晴らしくて、その景色・回想・心情が鮮やかに目に浮かびます。
    クライマックスでは鳥肌が立ちました。息をするのも忘れてしまうくらい。
    涙がただただとめどなくあふれました。
    この奇跡がほんの一瞬だという事実がとてもとても切なくて、でも物凄く綺麗で何度読んでも泣いてしまいます。

    でも私が一番好きなのは、その後の主人公の姿です。
    彼女の独白に何度涙の海に溺れたか知れません。

    制服を着た彼に起こった優しい奇跡も大好きです。
    謎の女性の雰囲気も大好きです。
    作品全体に流れる空気がとにかく大好きです。

    (2009.5.23)

  • 作者の感受性の豊かさが伝わってくる文章だった。やさしく読みやすい文体と、登場人物たちの個性が良い。会話のテンポやジョークといったものも良かったと思う。
    それから、日常的なものと非日常的なものが両立している本だという印象。キッチンや食べ物を登場させることによる日常の温かみ、会話や地の文がくどくなくさっぱりしているために漂う爽やかさ、死別というテーマによって生み出される空虚さ。そうしたものが詰まっている作品だと感じた。

  • 吉本ばななの作品は読んでいて
    「おいおいこんな男いねーだろ」とつっこみたくなる。
    でも読んでしまう。
    彼女だってそんなことをは知っているだろう。

    今回も同じような事を思ったんだけど、
    この、どこにもいなさそうな素敵な男性にどうしても惹かれてしまう。
    背景描写が心地いい。

  • 「私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。」よしもとばななはこの一文で90年代日本文学の扉を開いた。(と、かつてある先生に教わった)

    基本的な態度から、好きな男性像の変化、自分の生き方と他の女性の生き方の違いまで、時代の変化を反映しているということだと思う。
    今でこそ、少しずつここで描かれた感覚と変化は生まれてると思うけど、古さを感じない。(僕の年代的なものもあると思うけど)

    あとがきに書かれたよしもとばななの作家としての姿勢も素晴らしかった。

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