みずうみ (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2008年11月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359328

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みずうみ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 久々に読んだばななワールド…うーん、やっぱり素晴らしい

    吉本さんの小説には少しだけ欠陥のある人々がよく出てきますが、今回の中島くんはなかなかの重さ。笑
    けれど主人公のちひろが本当にいい味出してる!
    中島くん、両親、周りを取り囲む人々をことごとく「許して」いく様が特に良い。
    それが決して諦観から来る感情でなく、彼女なりの哲学で理屈っぽく「許して」いくので、いちいち納得してしまう。
    おおー久々にどっぷり読みふけった!さすが吉本の血だー
    特に好きな149頁

    「ものごとはそれぞれの立場でごく普通に違うものだ。違いを正すために戦うことだけが大切なのではなく、違うということを知りぬき、違う人々の存在理由を知るのがいちばん大事なのだと思う。
    私は、私の立場を貫くのが仕事で、そのためにはもっと技を磨かなくてはいけない。知名度がいくらあがっても、永遠にその食い違いは続くので、根本のところでは私の絵が下手なのはあまり問題に関係ない。

    でも、違う。自分に自信があれば、違いをもっとすっと貫けるのだと思う。
    そこが大切なのだ。」

    確かに確かに確かに、そこが大切なのだ!

  • このお話はフィクションのはずで、だから安心して読めるはずなんやけどどこか生々しくて本当に中島くんみたいな人はいるんじゃないかと怖くなる。

    カウンセラーになりたかった高校時代、心の病に関する本は随分読んだけど、そのなかの「ジェニーのなかの400人」を思い出した。
    もち網を形見として脇に挟んで寝る中島くん…

    行為が滑稽なだけ、余計痛々しいよ。。

  • 人から薦められた本を読むときって、
    何か楽しいですねー。

    相性の良い人が薦める本。
    あの人はどこが好きなんだろとか、
    何でこの本を薦めたんだろとか
    考えたりしながら読める。

    そんな本でした。

    あっ、まだ紹介はしていまんね。
    世の中の流れからちょっとずれた青年たちの恋物語
    っていう風に読んでました。
    だれでも少しずつずれてるかもしれないですしねー。

  • 夢の話のよう。
    人のみた夢の話を聞いた。そんな後味。

    不思議で、夢みたいなんだけど、そうゆう生活・人生を送ってる人(自分と同じ時代なのに違う世界)もいるんだろうなと思ってしまう。

    そうゆう人となかなかお話する機会がないから、「本」になるのかなって思ってしまいました。

  • 「人の大変な話を聞くということは、もう、お金をもらったのといっしょで、絶対にそのままではすまされないよ。聞いたという責任が生じてしまうの。」

    ちひろと中島くんのように、あれたら、いいのに。

  • 大好きなママが、パパとの自由な恋を貫いてこの世を去った。ひとりぼっちになったいま、ちひろが一番大切に思うのは、幼児教室の庭に描く壁画と、か弱い身体では支えきれない心の重荷に苦しむ中島くんのことだ。ある日中島くんは懐かしい友だちが住む、静かなみずうみのほとりの一軒家へと出かけようとちひろを誘うのだが……。魂に深手を負った人々を癒す再生の物語。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    なかなか面白かったぞー!
    よしもとばななの作品ってなんか…うーんと…死に近いよね!
    あとなんかもう一個思ったことがあったんだが…
    不思議な宗教団体に誘拐されて…
    そこは親と別々に寝るがーみたいなのってなんかよく本であるが、昔にそんな事件があったんです?
    わからぬ…
    餅網脇に挟んでたとこで、これってもしかして変?そんなことない、ここは家の中なんだから的な話のとこ!!
    あそこ、なんか、良いこというなーと思ったのにレビュー書く前に本返しちゃったから確認できない!笑

  • 先月三島のクレマチスの丘に行きました
    ミュージアムショップNOHARAに
    この本が置いてあって
    ミュージアムショップで小説販売?
    と疑問に思い読んでみました
    クレマチスの丘が登場するのかと
    思っていたのですが、登場する地名は
    下田やパリでした
    ショップの選書理由は
    主人公のちひろが
    壁画画家だからでしょうか
    いずれ取り壊されてしまう
    刹那的な壁にだって絵を描いている
    そんなちひろの彼は
    なんだか難しい生体の研究をして
    パリへの留学を試みている院生
    そして子供の頃に
    宗教団体に誘拐され両親と離れて育つ過去を持つ
    そんな話どこかで読んだなあ、その答えは
    八日目の蝉でした

  • よしもとばななさんの作品は痛いこともすべて使い馴染んだ毛布でふんわりとくるまれているような錯覚に陥るから不思議。

    今回の作品はさらにその感じが強かった。
    やわらかいペールブルーがふわっと広がる世界。

    ところどころにグレーの雲がたちこめるけど、
    ちゃんと馴染みの毛布につつまれているから大丈夫。

    そんな安心感を持って読めた本。

  • 久々のばなな先生。
    「傷を負った人の再生」…みたいな、扱うテーマは毎回似ているのに、読後感はそれぞれ作品ごとに異なる。やっぱり近作は昔程のどんより感は減った気。

    「心配しあって、抱き合って、いっしょにいたがるだけではなくて、じっと抑えているからこそ伝わってくるもの。(中略)読み取れる感受性だけが、宝なのだ。」

    主人公ちひろが、恋人中島くんに対してこう思えたことにじんわりきた。
    お互いがお互いをきちんと必要としている。まさしく、みずうみのごとく、2人は寄り添ってたゆたうのだろう。

    心にしみ込んでくる一冊。

  • 朝倉かすみの、『ほかに誰がいる』を読んでから、ああ、こういう物語をいま読みたいんだ、と強く思った。
    せつなくてやるせなくて美しくてまっすぐな、心の琴線に触れるようななにかが。
    書店でゆっくりゆっくり歩き回ってさがして、ぺらぺらっとページをめくって、

    <ママは、ほんとうは野に咲く花のようでさえなくって、ほんとうに高くて誰も来なくて、鳥や鹿しか見ることのないような崖の上にそうっと咲いている花みたいな、おそろしい繊細さと透明さを持っている人なんだよね、と私は思った−P15>

    という一文を読んで、「あ、よしもとばななか。いいかもしれないね」と決めた。
    買ってからは電車で、駅からの道を歩きながら、そして晩御飯を食べながら、一気に一気に読んだ。
    たぶん三十分くらいで読んでしまった。
    それくらい感情移入してしまったんですね。

    この話に出てくるヒロインは、いやヒーローは、ほかのばなな作品とはちょっと違って、闇やさびしさというものよりも、明るさのほうが勝っているようなひとで。
    むかいのアパートに住んでいて、窓ごしにお互いを見つめることから始まった恋、というロマンチックな相手、中島くん。
    彼はその、窓のそばにひとりで佇んでいるさまがとてもさまになっているような人。
    その強さが、世界に真っ向から立ち向かおうとしているところが、真摯さが、主人公には「ちょっと重いなあ、逃げ出したいなあ」と感じられてしまうような。
    そしてわたしはそんなくそ真面目な中島くんにどっぷり感情移入してしまった。

    <私はそのとき、確信した。
    向こう側に引っ張られて楽になりたいという彼の心の重みは、どんな愛情でもこの世がどんなに美しくても、もう支えきれないほどであることを私は肌で感じたのだ。魂の深いところで。−89P>

    この部分を目にしたのは駅のホームでだった。衝撃がまず襲ってきて、じわじわと涙がはいあがってきて、焦った。
    丁度巻いていたアフガンストールで必死に顔を隠したほどだ。
    それは「そんなことってやっぱりあるのかよ神さま、ちくしょう」という嘆きだった。
    わたしもまた限りなく世界に対して罪悪感を抱き、楽になりたいと願い、それを必死に、この世界の美しさだとか人の優しさだとかいうもので繋ぎとめようとしている人間だからだ。
    それでなんとかなるんだと思い込もうとしていた。皆そうしているんだと思っていた。
    でもこんなふうに、あっさり「そんなものでは支えきれず、引っ張られてしまうことだってあるぜ」と言われてしまえば、絶望せずにはいられまい。
    中島くんにはひどい過去があって、もう帰るところもない、今はわたしは彼より確かな存在かもしれないけど、いつ彼よりも不安定になるか知れないものだ。
    ひどい過去がなくても、魂に深手は負える。
    中島くんの場合は痛めつけられて、そしてわたしは自分で自分の魂を抉り続けたせいで。
    それでもよしもとばななは言う。
    重ねて受け入れよう、と。生きていくことを重ねれば、誰かと一緒に重ねれば、大丈夫だと。
    なんて希望に満ちたエンディングなんだ、と思う。

    わたしはいつか、大事なひとができたら、この本を読んでほしいと思う。
    どんなに隠していても、この中島くんと同じものが自分の中にあるんだということを、すごく遠まわしにわかってほしい。
    それでも生きていくことを諦めたくないんだということを。

  • つらい過去をもって心のなかでずっとひとりで戦ってる中島くんと
    あかるさとあたたかさと、物事を中性できる性質で
    自分の過去からくる親への複雑な感情を中和して生きているちひろさん

    二人が少しずつ恋して、というか愛して
    思いんだけど離れられない毎日を支えあっていく話
    死に近い場所にいる中島くんはとても重いけど
    唯一無二で、きれいで純粋なんです

    人って少しずつ愛情のわずらわしさとか憎しみの濃さとか知ると思うんだけど
    そういうことを小さいときにいっきに知ってしまった人は八方ふさがりかも

    人に対してぶつかったり怒ったり、
    それって人に依存して人をたよって、自分の人生を人のせいにしてしまっている
    でも、多かれ少なかれそういう部分がない人っていないんだろうな
    それが許容範囲ぶんに少なかろう人を好きになっていくんだろうな

    人を傷つけてしまう弱さと
    自分を傷つけてしまう弱さ
    とっても危ういけど、傷つきたくないから人を傷つけるのってとても怖い
    弱くて弱くて、どうしようもなくても、前者にはなりたくない

    自分が、まわりと違うと思っても
    つらぬける強さはどこから来るんだろう
    覚悟ともあきらめとも思える

    ふらっと、どうしても人と違うことが嫌で
    スタンダードなラインによっていきたくなることってだれしもあると思う
    中島くんは、それができるレベルではなくて
    だからこそ、むしろゼロの方向に、死の方向にむかってしまうのかな

    そういうひとを支えるのって、人生かけなきゃできないよなって
    最近そういうことに近いことを考えていた私は思いました

    すごく、この作品はだいすきになりました

  • 癒しかー!癒しなのか!!今あえていやしなのか。友達に勧められなければ読まない本。いや。本当にいやされる。間違いない。

    この手の本を読むと、中学時代に読んだ江國かおり先生の本を思い出す。香ばしい日々についていた短編の、中学生だかが好きな男の胸にある肉まんの暖かさに泣く場面。あれが癒しだよな〜。この癒しってどこに連れて行ってくれるのですか!!!先生!!バランスとりたくてタバコをすってしまう、どうしようもない。

  • 早く中島君の過去が知りたかったけど
    理由を知ると・・・うーーーーん・・・。

    年を重ねるとこれ以上ないと思う絶望があとからあとからやってくる。
    ずるずるといつまでも引きずって辛い過去がたくさんたくさん出来るけどやっぱりどこかで未来を期待して生きる。

    主人公が自身の事を冷静に語ってるのがなんだか羨ましい・・・。

    あ・・・意外に中島君が歯に衣着せぬもの言いなのが笑える。

  • こういうすれすれの関係って良いなぁと思います。お互いが無理せず、お互いが思いやれる。中島君たちの過去の突拍子もなさがなければ個人的に凄く好きなんだけどなぁ、という感じ。お母さんに対する愛情の説明にはなっていると思うけれど、あまりに特殊なケースすぎてファンタジーのような印象すら受ける。

  • 人間は多かれ少なかれ傷を持って生きているのだなと
    つくづく思わされるのがばなな作品です。
    それにしても、今回の傷はでかかったなぁ。

    中島君がちひろさんに、
    「君は数少ない気持ちの暴力の少ない人だ」と
    2回ほど言うシーンがあります。
    おそらくコレはばなな作品の登場人物に共通する性質。
    なかなかこんな人は現実にはいないのでしょうが、
    ステキだなと思います。
    私もこんなふうに人から評価されたらステキだな。

  • 元気になりたくて読んだけど、なかなかどっしりとした重ための小説でした。

    見えている、見ている世界は一部分であって、見ないようにしてるけども、そこに存在している世界が確かにある。
    身勝手に落ち込むことも失礼な気がする。

    感覚で生きていても、選び取る為のルーツがある。
    それでも、幸せは在る。

    「読み取れる感受性だけが、宝なのだ。」
    それが一番素晴らしい!

  • 最近読んだ本の中で一番ハイライトを引いた作品だった。
    『ひとりでいた時にはつまらない‥‥異空間がかいま見える。』が特に共感できた。
    ちひろの仕事に対する向き合い方が好きだったし、登場人物の人間関係がとても綺麗に思えた。

  • この本を買うことにしたのは表紙が綺麗だなっと思ったことと安かったからだ。近くに古本屋さんが新しくオープンして50円で売っていた。
    よしもとばななさんの本は「キッチン」だけ読んだことがある。かなり前なので曖昧だけど自分の中で良いなっという印象だけは記憶に残っている。
    この本も読んでいるうちにどんどん引き込まれていった。主人公のちひろは少し変わった境遇で育った。バーのママと地元の有名な社長という組み合わせだ。その上結婚しなかった。でもそこにはしっかり愛があり、幸せであった。
    ママが死んでしまってからぽっかり穴が空いてしまったところを中島くんが埋めてくれた。実はお互いに足りないものを求めあってるだけだと思うけれども。
    中島くんは小さい頃にある団体に誘拐され、洗脳された。その影響が大きいのか色々なトラウマがあったり精神的に不安定になることがある。人からも距離をとって接する。
    一番思ったことがちひろには中島くんがいないとダメだし、中島くんにはちひろがいないとダメなんだなってことだ。一緒に過ごしていくうちにそうなっていったんだなと思う。ちょうどパズルのピースが揃ったみたいな感じだと思う。
    過去には色々あって辛くて寂しくて死にたくなったこともあっただろうけどそれも分け合って生きていくんだろうな。

  • 10.19 帰りの電車の中

  • 特別な関係のふたり。こんなの恋愛じゃなくてボランティアだ、なんていってるちひろちゃんが可愛かった。恋愛っていってもカップルごとにいろんな形があって全部違う人間の組み合わせだから、お互いがリンクする幸せのかたちもそれぞれ違う。この2人ってなんだか特別だなって思って読んでたけど、途中から普通ってなに?って思えてきた。話を引き出してスッキリさせてあげるのも愛情、なにも聞かずにそっとしてあげるのも愛情。
    この2人の間には、相手に対する欲がない。こう接してほしいとか、こういうとこ直してほしいとか。ありのままの相手を見守ってて、相手の幸せを心から望む。親子愛や兄弟愛に近いものも感じた。
    お互いがそういう人間だからこそ成り立つ関係性。自分の今と照らし合わせて、ちひろが中島くんに対する気持ちなんか、結構共感する部分が多かった。このストーリーに今の自分を肯定されたようで良い気持ちになった。

  • ちひろと中島君の再生の物語。
    人間はどんな素晴らしい生き方をしていても、長く生きていればどこかに綻びや不完全なものがある。この2人はその綻びが、人より多少大きかっただけ。生きていくには感受性の高すぎる2人だけど、それでもしっかりと手を繋いで生きていくんだと思う。

  • 言葉の繋げ方と世界観が凄い好き。愛の形はさまざまなものなんだと感じた。

  • ばななさんの本を読むと自分が世界との甘い距離感が覚える。

  • ばななさんの描く世界を、私は小説だからと一線をひいて眺めない。わたしにはまだまだ潜在的な存在とつながりを感じる力はないのだけれど、いつでもそのような世界があると信じ、希んでいる。

    中島くんとちひろさんのあてどなくも世界へ向かってゆく行進に、少し同じように宛のない未来へ向かう者として自信と勇気を頂いた。

  • 底知れぬ影のある中島くんと壁画描きのちひろの恋と、中島くんの過去への探訪を描いた物語。

    設定が設定だったこともあり甘ったるい感じがして、ばなな作品の中では得意ではない作品だった。

    ただ、中島くんの秘められた過去が明らかになるクライマックスはとてもドラマティックで衝撃的だったと思う。

    最後に、ちひろの両親の説明のくだりで好きだった一文を。

    「そのときどうしてげらげら笑ったの?と私が聞くと、ママもパパもいつも
    『そこは日本人が一人も来ない店で、(中略)ものすごく辛いものが次々出てきて、量も全て予想外で、おかしかったんだ。』
    というようなことを口を揃えて言うのだけれど、きっと違うだろう。
    そのとき二人は、お互いが目の前にいるのがただ嬉しくてはしゃいでいたのだろうと思う。」(p7)

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