みずうみ (新潮文庫)

  • 2067人登録
  • 3.58評価
    • (113)
    • (222)
    • (276)
    • (51)
    • (6)
  • 175レビュー
  • 新潮社 (2008年11月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359328

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
伊坂 幸太郎
よしもと ばなな
村上 春樹
よしもと ばなな
有効な右矢印 無効な右矢印

みずうみ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 久々に読んだばななワールド…うーん、やっぱり素晴らしい

    吉本さんの小説には少しだけ欠陥のある人々がよく出てきますが、今回の中島くんはなかなかの重さ。笑
    けれど主人公のちひろが本当にいい味出してる!
    中島くん、両親、周りを取り囲む人々をことごとく「許して」いく様が特に良い。
    それが決して諦観から来る感情でなく、彼女なりの哲学で理屈っぽく「許して」いくので、いちいち納得してしまう。
    おおー久々にどっぷり読みふけった!さすが吉本の血だー
    特に好きな149頁

    「ものごとはそれぞれの立場でごく普通に違うものだ。違いを正すために戦うことだけが大切なのではなく、違うということを知りぬき、違う人々の存在理由を知るのがいちばん大事なのだと思う。
    私は、私の立場を貫くのが仕事で、そのためにはもっと技を磨かなくてはいけない。知名度がいくらあがっても、永遠にその食い違いは続くので、根本のところでは私の絵が下手なのはあまり問題に関係ない。

    でも、違う。自分に自信があれば、違いをもっとすっと貫けるのだと思う。
    そこが大切なのだ。」

    確かに確かに確かに、そこが大切なのだ!

  • このお話はフィクションのはずで、だから安心して読めるはずなんやけどどこか生々しくて本当に中島くんみたいな人はいるんじゃないかと怖くなる。

    カウンセラーになりたかった高校時代、心の病に関する本は随分読んだけど、そのなかの「ジェニーのなかの400人」を思い出した。
    もち網を形見として脇に挟んで寝る中島くん…

    行為が滑稽なだけ、余計痛々しいよ。。

  • 人から薦められた本を読むときって、
    何か楽しいですねー。

    相性の良い人が薦める本。
    あの人はどこが好きなんだろとか、
    何でこの本を薦めたんだろとか
    考えたりしながら読める。

    そんな本でした。

    あっ、まだ紹介はしていまんね。
    世の中の流れからちょっとずれた青年たちの恋物語
    っていう風に読んでました。
    だれでも少しずつずれてるかもしれないですしねー。

  • 夢の話のよう。
    人のみた夢の話を聞いた。そんな後味。

    不思議で、夢みたいなんだけど、そうゆう生活・人生を送ってる人(自分と同じ時代なのに違う世界)もいるんだろうなと思ってしまう。

    そうゆう人となかなかお話する機会がないから、「本」になるのかなって思ってしまいました。

  • 「人の大変な話を聞くということは、もう、お金をもらったのといっしょで、絶対にそのままではすまされないよ。聞いたという責任が生じてしまうの。」

    ちひろと中島くんのように、あれたら、いいのに。

  • 大好きなママが、パパとの自由な恋を貫いてこの世を去った。ひとりぼっちになったいま、ちひろが一番大切に思うのは、幼児教室の庭に描く壁画と、か弱い身体では支えきれない心の重荷に苦しむ中島くんのことだ。ある日中島くんは懐かしい友だちが住む、静かなみずうみのほとりの一軒家へと出かけようとちひろを誘うのだが……。魂に深手を負った人々を癒す再生の物語。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    なかなか面白かったぞー!
    よしもとばななの作品ってなんか…うーんと…死に近いよね!
    あとなんかもう一個思ったことがあったんだが…
    不思議な宗教団体に誘拐されて…
    そこは親と別々に寝るがーみたいなのってなんかよく本であるが、昔にそんな事件があったんです?
    わからぬ…
    餅網脇に挟んでたとこで、これってもしかして変?そんなことない、ここは家の中なんだから的な話のとこ!!
    あそこ、なんか、良いこというなーと思ったのにレビュー書く前に本返しちゃったから確認できない!笑

  • 先月三島のクレマチスの丘に行きました
    ミュージアムショップNOHARAに
    この本が置いてあって
    ミュージアムショップで小説販売?
    と疑問に思い読んでみました
    クレマチスの丘が登場するのかと
    思っていたのですが、登場する地名は
    下田やパリでした
    ショップの選書理由は
    主人公のちひろが
    壁画画家だからでしょうか
    いずれ取り壊されてしまう
    刹那的な壁にだって絵を描いている
    そんなちひろの彼は
    なんだか難しい生体の研究をして
    パリへの留学を試みている院生
    そして子供の頃に
    宗教団体に誘拐され両親と離れて育つ過去を持つ
    そんな話どこかで読んだなあ、その答えは
    八日目の蝉でした

  • よしもとばななさんの作品は痛いこともすべて使い馴染んだ毛布でふんわりとくるまれているような錯覚に陥るから不思議。

    今回の作品はさらにその感じが強かった。
    やわらかいペールブルーがふわっと広がる世界。

    ところどころにグレーの雲がたちこめるけど、
    ちゃんと馴染みの毛布につつまれているから大丈夫。

    そんな安心感を持って読めた本。

  • 久々のばなな先生。
    「傷を負った人の再生」…みたいな、扱うテーマは毎回似ているのに、読後感はそれぞれ作品ごとに異なる。やっぱり近作は昔程のどんより感は減った気。

    「心配しあって、抱き合って、いっしょにいたがるだけではなくて、じっと抑えているからこそ伝わってくるもの。(中略)読み取れる感受性だけが、宝なのだ。」

    主人公ちひろが、恋人中島くんに対してこう思えたことにじんわりきた。
    お互いがお互いをきちんと必要としている。まさしく、みずうみのごとく、2人は寄り添ってたゆたうのだろう。

    心にしみ込んでくる一冊。

  • 朝倉かすみの、『ほかに誰がいる』を読んでから、ああ、こういう物語をいま読みたいんだ、と強く思った。
    せつなくてやるせなくて美しくてまっすぐな、心の琴線に触れるようななにかが。
    書店でゆっくりゆっくり歩き回ってさがして、ぺらぺらっとページをめくって、

    <ママは、ほんとうは野に咲く花のようでさえなくって、ほんとうに高くて誰も来なくて、鳥や鹿しか見ることのないような崖の上にそうっと咲いている花みたいな、おそろしい繊細さと透明さを持っている人なんだよね、と私は思った−P15>

    という一文を読んで、「あ、よしもとばななか。いいかもしれないね」と決めた。
    買ってからは電車で、駅からの道を歩きながら、そして晩御飯を食べながら、一気に一気に読んだ。
    たぶん三十分くらいで読んでしまった。
    それくらい感情移入してしまったんですね。

    この話に出てくるヒロインは、いやヒーローは、ほかのばなな作品とはちょっと違って、闇やさびしさというものよりも、明るさのほうが勝っているようなひとで。
    むかいのアパートに住んでいて、窓ごしにお互いを見つめることから始まった恋、というロマンチックな相手、中島くん。
    彼はその、窓のそばにひとりで佇んでいるさまがとてもさまになっているような人。
    その強さが、世界に真っ向から立ち向かおうとしているところが、真摯さが、主人公には「ちょっと重いなあ、逃げ出したいなあ」と感じられてしまうような。
    そしてわたしはそんなくそ真面目な中島くんにどっぷり感情移入してしまった。

    <私はそのとき、確信した。
    向こう側に引っ張られて楽になりたいという彼の心の重みは、どんな愛情でもこの世がどんなに美しくても、もう支えきれないほどであることを私は肌で感じたのだ。魂の深いところで。−89P>

    この部分を目にしたのは駅のホームでだった。衝撃がまず襲ってきて、じわじわと涙がはいあがってきて、焦った。
    丁度巻いていたアフガンストールで必死に顔を隠したほどだ。
    それは「そんなことってやっぱりあるのかよ神さま、ちくしょう」という嘆きだった。
    わたしもまた限りなく世界に対して罪悪感を抱き、楽になりたいと願い、それを必死に、この世界の美しさだとか人の優しさだとかいうもので繋ぎとめようとしている人間だからだ。
    それでなんとかなるんだと思い込もうとしていた。皆そうしているんだと思っていた。
    でもこんなふうに、あっさり「そんなものでは支えきれず、引っ張られてしまうことだってあるぜ」と言われてしまえば、絶望せずにはいられまい。
    中島くんにはひどい過去があって、もう帰るところもない、今はわたしは彼より確かな存在かもしれないけど、いつ彼よりも不安定になるか知れないものだ。
    ひどい過去がなくても、魂に深手は負える。
    中島くんの場合は痛めつけられて、そしてわたしは自分で自分の魂を抉り続けたせいで。
    それでもよしもとばななは言う。
    重ねて受け入れよう、と。生きていくことを重ねれば、誰かと一緒に重ねれば、大丈夫だと。
    なんて希望に満ちたエンディングなんだ、と思う。

    わたしはいつか、大事なひとができたら、この本を読んでほしいと思う。
    どんなに隠していても、この中島くんと同じものが自分の中にあるんだということを、すごく遠まわしにわかってほしい。
    それでも生きていくことを諦めたくないんだということを。

全175件中 1 - 10件を表示

みずうみ (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

みずうみ (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

みずうみ (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

みずうみ (新潮文庫)のKindle版

みずうみ (新潮文庫)の単行本

ツイートする