王国〈その3〉ひみつの花園 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359366

感想・レビュー・書評

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  • アナザー・ワールドを除くと一応の終わりということになるのか。

    主人公の感性が都会にいる私と違い、またその変化の機微が詳細に描かれているため感情移入がしやすい。抽象的な内容が多く書かれているが、「分からない」ということがなく今の私の置かれている状況にのっかる。
    心の健康、癒しにつながり、またふとした時に読み返したい作品だと思った。

  • そうかぁ。こういうことになるのか。
    その2を読んでいた時にはこの展開は予想できなかった。
    でもそういうこともあるなと、諦めにも似た感覚もある。
    自分を冷静に客観的に見ることはなんて難しいのだろう。
    何かに執着してしまって、意固地になっている自分の強がりをどうやって見抜いて脱力させればいいのか。
    打ちのめされた後、どう生きるのか。
    雫石はすごいなぁと思う。
    とても柔軟で清らかだ。
    楓も片岡さんも、おばあちゃんも、みんな柔らかい。

    やはりこの物語はとても優しい。
    力を入れすぎてガチガチになった心と身体をほぐしてくれる。
    力んでいたなと気付かせてくれる本だと思う。

  • 楓や片岡さん、おばあちゃんたちの
    じゅんすいな正しさがすきだ。
    大切な人を見守って、
    黒くない魔法を使いたい。

  • あっという間にその3まで終わっちゃった。

    何かちょっと痛かった。
    それまで通じ合えてた(それが錯覚だとしても)誰かとの関係が、思いも寄らないきっかけで壊れてしまうということ。
    一旦壊れてしまうともう、何を言っても話し合っても元には戻らないということ。

    それまでは大好きで、少し話せば解るような関係だったはずが、どう頑張っても解り合えなくなってしまう…という経験が私も何度かあるけれど、それはきっと関係にひびが入ってしまった瞬間に、相手への信頼とか愛情が揺らいでしまうせいなのだと思う。
    人は変わらないのにそうなってしまうのはやはり、心の内側の問題だ。

    …なんてことを考えながら読んだ。
    悲しくなったけれど、そういうものだ、という妙な納得もあった。

    世俗で生きていれば、周りが“普遍”とか“常識”の枠に当て嵌めようと色々言ってきたりもするけれど、自分の人生なのだから、最後には自分が納得出来ればいいのだと思う。
    この物語の主要な人物たちは、まったく普遍的ではないし、常識からも外れている。でもそれが自分なのだと底の方でみんな腹を決めているからこそ、きらきらと輝いて見えるのだと思った。
    それでもたまに表面の部分が揺らいだりするところも、人間らしくて素晴らしい。

    何だかまたぼんやりしたレビューになってしまった。
    とりあえず、勇気をもらった、ということ。

    続編というか、アナザーストーリーがあるので、次はそれに進みます。

  • 一緒に暮らし始めようとする真一郎を雫石は拒む。
    真一郎が亡き友人の母親を想い続けていることに雫石は気づいていたし、彼との暮らしを想像できなかった。

    恋愛とは別の種類の愛情を持っていること気づき、楓に告げる雫石。おばあさんから届いた翡翠を台湾で直し、気分も徐々に治り、雫石と楓と片岡さんの生活は満ちていく。

    ---------------------------------------------

    二人の人間関係に問題が起こったり、繋がりが消えてしまうとき、どちらか一方のせいでそういう結果になってしまうことはない。そう思っている。
    雫石と真一郎の関係もそう。どちらかだけがわるいわけじゃない。けれど、関係をおわらせるときの雫石の態度はあまりにひどかったように思う。
    真一郎の暮らしがうまく想像できなくて乗り気じゃなくなってきたなら、それだけを伝えればいいのに、「前に好きだった友達のお母さんをまだ好きなんでしょ。そんな状態で同棲始めないで。あの人のところに行きなよ。わたしはあの人のすべてがいけ好かないけどね!」みたいに言い放つ雫石はいったいどうなんだろう。

    自分から別れ話するときは自分が悪者になればいいのに、思ったこと言いまくった挙句、フラれた……と落ち込んで悲劇のヒロインのようになる雫石にはまったく共感できないなあ。

    傷心状態で向かった台湾では、日本と台湾を比較するような考え方ばっかりしてて、山と都会の暮らしを比べていたと思ったら今度は日本と台湾ですか……という感じ。
    何かを評価するとき、わざわざ別の何かと比較する必要はないんじゃないかな。それぞれの良さを認めればいいだけ。

    自分の人生だから何をしてもいいと思う。けれど、自分以外の人に対してのリスペクトを忘れちゃいけない。ダメ、絶対。

    主人公のことを嫌いになってしまった。その4へ続いていいのかわからないけど続く。

  • 自然の力と、不思議さと。都会に、人間にやられていた私が気づかされた本。このまま転職していいのかと。
    いいきっかけをもらった。

  • 図書館の本→購入

    私には必要、と思って購入。

  • 「誰もが嬉しいと思うはずの嬉しいことを喜べない」という罪悪感、同時に、自分の本当の気持ちを薄々わかっていて、でも認めたくない、という人情(っていうのか?)
    恋愛<人生というこの感じ、やはり良い

  • 著者の本とはあまりおなじみでなく、アムリタ以来。思いがけず呪術や自然の癒やしに例えてあるが、生きる本質が胸に飛び込み、ストーリーの中に入り込んで読めたのは久々。
    これも1つの出会い。ばななさんとあってお話してみたくなりました。今4を読んでる途中なんだけど…終わりが待ちきれず投稿!!

  • 恋文
    ◯そんなことで簡単に幸せになれる私は
    ◯いい仕事をした充実感と、好きな人に会ったという幸福や高揚が、その静かな姿からにじみ出していた
    ◯これじゃぁ心配されても仕方ない。私の手はしっかりとスターバックスのカップを持っている。頼りない、小さい手だ。未来を失った女の人の手だ。自分のことなのに、人事みたいにそう思った。
    ◯片岡さんを見るといつも人生を楽しんでいるなぁと思う。彼からは太陽の匂いがするのだ。
    ◯いいなぁ、外国でこんなふうにかっこいい人と一緒に歩いていて、遠くに真緑に光輝くつやつやした山の大きなシルエットがあって、そしてさらには2人は恋人同士ではないなんて、なんて豊かなんだろう。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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