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この作品からのみんなの引用
みんなの感想・レビュー・書評
本作品は辻仁成の芥川賞受賞作である。文辞にこだわり、人間の内面をえぐり出す秀作である。
が、個人的にいえばあまり好きになれないという思いは打ち消し難い。それは作品の読後感があまり良くないのと無関係ではないだろう。はっきり言って読後感は悪い。
芥川賞なのですか? 物語自体の着眼点は悪くないと思うんですが… 最後が未消化感が残りました。別に大きな展開を期待したわけでは無いんですが…
芥川賞作品。 友ちゃんからの勧めもあり。
ページをめくるたびにのしかかる、重苦しい雰囲気。
主人公と、取り巻く人たちとの間に描かれた海峡に光は見いだせない。
あるのは、ただ闇。
コンプレックスを克服できない人間は、一生そのコンプレックスと向き合うしかない。
主人公の“私”は廃航迫る青函連絡船の客室係を辞め、刑務所看守の職を得たが、そこに囚人として現れたのは“私”を苦しめ続けたかつての同級生花井だった。
“海峡”というのが、青森と函館という地理的な要素だけでなく、表の“私”と裏の“私”、“私”と元同級生の花井、というように二つの要素の間に幾重にも重なる“海峡”が存在し、その“海峡”が物語に奥行きと不気味さを与えているように感じられます。
形式としては“私”の一人称の視点から語っていくというものですが、内面の要素に強く踏み込まれています。特に人間の影の面、復讐・策謀・憎悪などに終始しており、ある意味人間の本質を突いた“鬼作”といえるかもしれません。
小説を読んでいると、文面からどっと溢れてくる圧力にときどき息苦しくなるけれど、辻さんのこの小説にはそんな場面が多い。普段の生活ではあらゆる圧力に無神経でいられるのに、小説となるとそうはいかない。私は私自身の意思でもって圧力を解き放ってしまうから、もはや防ぎようがない。
この本のレビュー書くか書かないか1週間以上なやんだ。
辻仁成の1997年の芥川賞受賞作。「海峡の光」
才気あふれる文章、華麗なレトリック。
だがこの物語は未完ではないか。
花井という特殊な性格を持った人物を描いて行けば行くほど
描ききれずに物語を投げ出さざるを得なくなるのではないか
物語の中程からそんな予感を私にさせた。
残念ながらその予感は当たってしまった。
エンディングの二行をそのまま書こう。
渡り廊下を出る間際、私は一瞬、花井を見送った。そこだけぽっかりと、時
間から取り残された、のろまな枯れた日溜まりであった。
理解できなくは無かったが…もやもや。自分の読解力の無さを気づいた。けど、こう言った雰囲気の作品は個人的には嫌いではなかったです
不気味に始まって、そして何も語られることのないまま歩み去ってしまった。
残ったのは光ではなく闇。
廃航せまる青函連絡船の客室係を辞め、函館で刑務所看守の職を得た私の前に、あいつは現れた。
少年の日、優等生の仮面の下で、残酷に私を苦しめ続けたあいつが。
傷害罪で銀行員の将来を棒にふった受刑者となって。そして今、監視する私と監視されるあいつは、船舶訓練の実習に出るところだ。光を食べて黒々とうねる、生命体のような海へ……。海峡に揺らめく人生の暗流。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
なんか最初はあんまり面白くないかなあと思ったけど、最後まで読んだらなんか面白かった…
なんか、本当花井が何考えてるかわかんなくて、不気味な感じが…
うーーーん…
面白かった。
船乗りの経歴を得て看取をつとめる主人公の前に、送られてきた囚人はかつて同級生であった花井。
少年時代の花井の変貌振りに疑問を抱くが、少年院での花井の模範的な優等生な態度に主人公が懐疑的になり、それを過去の回想や現状のできごとなどを踏まえながら後半へと下っていく作品です。
基本、芥川賞受賞作品は「そこまで前衛的でなくても」とは思っていたのですが、この作品は現代文学をうまく整理し、なおかついい意味での前衛的作品の踏襲をはかったような、「気取りすぎでなく綺麗な文章」であると感じました。
内容は重いのですが、それを払拭するような、読みやすく物語に入り込める作品です。
任務と過去と時代の流れに翻弄された自分の職業人としての誇り。
淡々とした文章ながら、実によく人物の心情、風景の描写をコンパクトに散りばめており読みやすかったです。
彼にとっての昭和はまだ終わってはいないのでしょう。
人間が人間である為に必然的に持つ「尊厳」と、それを守るべくして、いや、それを持ちたいが故に他社との比較のうえに成立する本能的な「コンプレックス」のようなものが、辻仁成の独特の文体によって鮮明とは言わないまでも、生々しく語られる。
花井のことを、なんとなく理解できなくもない自分がちょっと悲しい。
闇の中に光を見出す…のは嫌だな。
文学の中の文学。随所に文字で表現される詩的な情景を思い浮かべ、言葉では言い表しがたいふたりの感情に同意を感じる自分がいました。
花井はやっぱりかつての級友の齋藤であることに気づいていたんですね。。。文字では表現されない花井の心の中をいろんな憶測をもって、考えに耽ることで、さらにこの小説の深みへとはまりこんでいきました。
芥川賞受賞作。決して難しい表現ではないが、読者にも想像力が求められそう。特に最後は、「どうしたの?」という感じだった。青函連絡船の最後の航行もエピソードの一つとなっていて、ドラマチック。
高校から大学生にかけていっとき辻仁成の小説をよく読んだ。
改めて今読んだけど、読んでる最中、読後感もずっと重苦しい嫌な感じがのこってすっきりしない。
これがこの世界観なのだろうけど。
・11/14 文字が難しい割にはすいすい読めた.そうか、こういう小説を書く人なんだ.主人公では無く屈折した登場人物の方にこの人は似ているのかもしれない
・11/15 読了.なんとも不思議なやりきれない気分のままだ.今度は「ピアニッシモ」か「アンチノイズ」でも読んでみるか

以前から気になっていたので、ふっと思い立って読んでみた。
立場は逆転しても自分を苦しめてきたあいつにまだ執着して振り回され続ける私。
囚われているのはあいつのはずなのに、囚われているのは何故か私。...





