無限の網―草間彌生自伝 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101365411

感想・レビュー・書評

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  • (01)
    第3部の豊穣は考えさせられる.ヌーディストから現在のジェンダーの問題まで及ぶ問題も含むが,メディアや警察も巻き込んだハプニングや芸術が可能であった当時の特殊な社会状況も考え合わせると,活動(*02)が前衛でありコンテンポラリーであるというそのこと自体も批評対象として浮き彫りになる.
    現在の状況において,今を表す芸術が可能なのかは考えられてよいだろう.
    また草間氏が男娼めいたビジネスをなしていたという点からアートを論じてみるのも面白いだろう.

    (02)
    草間氏によっては文学も志向されていた.本書の文体は,引用されたポエムを除けば,決して文学的ではない.自伝的な自伝というスタイルが確立されている.草間氏本人が本書を著したかどうかは不明であるが,個々のエピソードや国内情勢(*03)への批判などからは,まとまった主旨を読み取ることができる.しかし,偏向や偏執や固有の語彙というのはほどんど感じられないし,極度に薄められている.エピソードの濃さに対して文体は薄い.これは編集による調整によるものなのか,疑問は残る.

    (03)
    帰国後の「信濃路」の風景への共感は,リップサービスであろうか.裸おどりのくだりでは土俗的な風味があるが,伝統や家族との折り合いについて,それは作品に感じとるべき問題なのかどうかはわからない.

  • 思ってたより業績とかのことがいっぱい載っててがっかりした部分もありつつ。どんな気持ちで作品に取り組んでいるのかは知れたのでその点はよかった。

著者プロフィール

前衛芸術家。小説家。1929(昭和4)年長野県松本市生まれ。10歳の頃より水玉と網模様をモチーフに絵を描き始める。57年渡米、翌年ニューヨークに移り、ネット・ペインティングを発表。73年の帰国後も彫刻、映像、パフォーマンス等、自らの表現を追求し続けている。

「2012年 『クリストファー男娼窟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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