小説・新島八重 新島襄とその妻 (新潮文庫 ふ 45-2)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101366128

作品紹介・あらすじ

故郷・会津を離れた八重は兄が生き延びていたという京都へ向かう。その地で英語を学んで西洋文化に触れ、キリスト教の洗礼を受けるに至る。そして兄の友人・新島襄と出会い、結婚。二人はキリスト教への偏見、政府の無理解、資金難など幾多の困難と闘いながら、同志社の礎を築く。また女性の自立を目指し奔走した。激動の明治維新を生きたある男と女の物語。

感想・レビュー・書評

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  • ななめ読み

  • 多分大河の便乗商法の一環として再発されたのでは?と思うのだが、ちょっと酷い。
    小説だから史実には忠実ではないと認識した上で歴史ものを軽く読むという気持ちで読んで何とか、、、といったところ。

  • (2013.10.28読了)(2012.10.19購入)
    『小説・新島八重』三部作の第二部です。第一部は「会津おんな戦記」で会津若松での籠城戦を扱っています。籠城戦の様子が詳細に描かれています。
    第三部「勇婦、最後の祈り」は筑摩書房 (2012/11/21)から単行本で出ています。新島襄亡き後の八重が描かれているものと思われます。

    第二部は「新島襄とその妻」ということで、新島襄の妻としての八重が描かれています。
    襄とその家族、八重とその家族、が重点的に描かれている感じです。大河ドラマの「八重の桜」が政府の動き、会津藩の山川家、等の動向を織り込みながら描いているのと、違いがあります。八重の描き方についても「八重の桜」は、力強い八重がいますが、この本の八重は、襄のことを心配して不安に満ちたちょっと弱い感じです。
    ドラマは、詳細に描くことができないのである程度はしょらざるを得ないようで、覚馬の後妻の時枝の不倫の話、覚馬の長女みねの死亡の話など、「八重の桜」との違いが見られます。

    【見出し】
    出逢い     5
    こだわり    45
    祝福      84
    砦を保ち    119
    愛の讃歌    163
    邂逅      199
    告悔      232
    懊悩      272
    旅のはじまり  322
    あとがき    360
    解説 佐藤優  365

    ●女紅場(14頁)
    「はい、婦女の修めるべき学問を授けるところでございます」
    八重は緊張してこたえ、英語、裁縫、機織、養蚕、刺繍、書道、和洋算などの科目があると言うと、(後略)
    ●『天道遡原』(26頁)
    「明治になってから西洋の文物をやたらととりこむが、その裏にはキリスト教の精神があることを誰もかえりみようとせぬ。西洋のすぐれた文物も一朝一夕にできあがったものでないことを知らねばならぬ」
    ●交渉事(69頁)
    頭をかかえている新島襄に覚馬は「とにかくいまは一刻も早く開校してしまうことです。聖書が許されぬのなら、とりあえずその条件を飲みましょう」と言い、さらに「ものごとは初めから全部満足させようと思えば一つもかなわないものです。交渉事とはそういうものです」とはげましたという。
    ●尚之助(79頁)
    覚馬が京都勤番となってからのいきさつを語ったが、尚之助は自身のことについて黙したままだった。彼は開城の前日、他藩の応援兵とともに城外に去った。(中略)
    いまは、子ども相手に手習いを教えて暮らしを立てている、と言うだけだった。
    ●猪苗代へ(211頁)
    戊申九月二十三日、断髪して男装していた八重は、弟の三郎の名を騙り、藩士たちにまじって同じ道を曳かれていった。
    ●同志社(260頁)
    ピューリタン主義の同志社では風紀の取り締まりがきびしい。料亭に入ることも、寄席や芝居など興行物を見ることも禁じられている。なかでも男女の交際についてはとくに監視がきびしく、写真を持っているだけでも忠告された。
    ●みね(272頁)
    みねは四年前に今治で長女の悦子を産み、神学部教授となった時雄にしたがって京都にもどり、二年目に平馬と名づけられた長男を産んだのである。

    ☆関連図書(既読)
    「保科正之-徳川将軍家を支えた会津藩主-」中村彰彦著、中公新書、1995.01.25
    「奥羽越列藩同盟」星亮一著、中公新書、1995.03.25
    「戊辰戦争」佐々木克著、中公新書、1977.01.25
    「松平容保-武士の義に生きた幕末の名君-」葉治英哉著、PHP文庫、1997.01.20
    「松平容保は朝敵にあらず」中村彰彦著、中公文庫、2000.02.25
    「新島八重の維新」安藤優一郎著、青春新書、2012.06.15
    「小説・新島八重 会津おんな戦記」福本武久著、新潮文庫、2012.09.01
    「八重の桜(一)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2012.11.30
    「八重の桜(二)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2013.03.30
    「八重の桜(三)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2013.07.26
    「八重の桜(四)」山本むつみ作・五十嵐佳子著、NHK出版、2013.10.10
    「吉田松陰」奈良本辰也著、岩波新書、1951.01.20
    「吉田松陰」古川薫著、光文社文庫、1989.06.20
    「吉田松陰の東北紀行」滝沢洋之著、歴史春秋出版、1992.12.25
    「岩倉具視-言葉の皮を剥きながら-」永井路子著、文藝春秋、2008.03.01
    (2013年11月13日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    故郷・会津を離れた八重は兄が生き延びていたという京都へ向かう。その地で英語を学んで西洋文化に触れ、キリスト教の洗礼を受けるに至る。そして兄の友人・新島襄と出会い、結婚。二人はキリスト教への偏見、政府の無理解、資金難など幾多の困難と闘いながら、同志社の礎を築く。また女性の自立を目指し奔走した。激動の明治維新を生きたある男と女の物語。

  • 八重達が戊辰戦争後に京都の兄覚馬を頼って京都に移り住んだ時から、新島襄と会い、ともに生きた14年の物語です。八重が物語を語ってゆきます。八重と新島襄たちの生きた時代が分かりやすい。同志社大学が、新島襄の強い願いと努力と忍耐、そして多くの人たちの温かい支援によってできてゆく過程が良く分かります。しかし、八重の語る新島襄は余りにも聖人。私心がなく、神の教えのままに生きたすばらしい人なのでしょうが、完璧すぎます。もう少し人間くさいところも欲しいですね。本当の聖人だったのかもしれませんが。

  • 本来なら積ん読にするべき本だが、もう読まないので読了とする。非常につまらない311前の本。311以後、頑張れ福島の流れで大河ドラマも作られたが、本書はそれに乗せて題名だけを変えて再販されたようだ。311以前ならともかく、これを読んでも福島も東北も「頑張ろう」とは思わないほど封建主義に対して疑問を投げかけた本。
    新島襄の発言もウーマンリブを思わせるようなセリフになっていたりと、まったくもって当時の状況とも聖書的男女間ともかけ離れた作品になっている。311前なら面白かったのだろうが、「頑張れ福島」を期待して読んだのではっきり言って駄作に思えて読むのも苦痛だった。星は二つ。

  •  壮大な歴史絵巻の前巻「会津おんな戦記」に比すと、なんだか家庭ドラマに落ち着いちゃった感がある。というか、主人公の八重は語り役で、むしろ新島襄の生涯を描いた作品のようだ。
     実直に史実をなぞることで、人間ドラマとしての魅力も失った感もあり。しかし、粛々とあぶり出される京都の歴史は興味深い。

  • 京の地でキリスト教精神の大学を設立するって大変だったんだ。
    京都府や寺院から嫌がらせされて・・・。
    一筋縄ではいかない生意気な生徒にも温かく接した襄さんの信仰心の厚さ、夫婦の絆には感動するけれども、八重さんの人生という目線で見ると、
    動から静に移ったようで、私には会津おんな戦記のほうがずっと面白かった。

  • 2012.10.26

  • 京都私大の雄、同志社大学の誕生の歴史がよく解り、当時の日本でキリスト教の布教又、大学の設立等が大変なのがよく理解る一冊でした。
    新島八重の波乱万丈の人生、来年の大河ドラマも楽しみですね。

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著者プロフィール

京都生まれの京都育ち。しかし今はなぜか埼玉に在住。同志社大学法学部卒業。小説「電車ごっこ停戦」で第14回太宰治賞を受賞する。主な著書:小説『電車ごっこ停戦』『織匠(上・下)』『湖の子たちの夏』『新島襄とその妻』『疾走する家族』、エッセイ集『ここだけの話だけど』『企業のトップはこれを読む』、ルポ『ボランティアを生きる』『夢があるからがんばれる』など多数。現在、小説(知的障害児と家族をテーマにしたもの、歴史に素材をもとめた伝記物、スポーツを背景にした青春物)、エッセイ、ドキュメンタリー、児童文学(創作)などを中心に、執筆活動をつづけている。

「2011年 『武州かわごえ 繋舟騒動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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