魔術はささやく (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369112

感想・レビュー・書評

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  • 三人の女性がそれぞれ自殺、この三人は関連性があるらしい、その死もどうやら仕組まれたらしい、残るはあと一人…。
    その謎や真相を少年が追う。
    そしてすべてを知った時、少年は裁く側に回るのか?果たして……?──

    仕組まれたのは○○術とは予想外で拍子抜けした。現実的には立証できそうにもない事件に、これはサスペンス小説だからと割り切って読む。
    少年のエピソード、彼を取り巻く人々、社会問題も絡め、特にラストの急展開が面白い。

    「悪意はなかった。知らなかった。自分も騙されていた。金が欲しかった。私も被害者だ」
    犯罪にはこんな言い訳がそこらじゅうにありそうな気がする。
    最後にあの女性は猛省しているのか、許されるのか、「償い」「正しい裁き」って何だろう?とモヤモヤが残る。

  • 宮部作品に最近ハマってて、3冊目となりました、
    この魔術はささやくは少し変わった内容のミステリーに戸惑いながら読み進めるうちに物語がはっきりしてくる…そんな印象を受けました。

  • 30年前の作品にも関わらず色褪せていない。素晴らしい。
    ただ催眠術というのはどうかと思う。雑に読んでしまったからか、いまひとつ盛り上がれなかった。

  • 1989年日本推理サスペンス大賞受賞作。
    三人の若い女性達が、違う場所・時間・方法で死んでいく。その一つの死に関わってしまったタクシー運転手。その甥である高校生が、それらの死の関連性を突き止め、真相に迫ろうとしていく。その高校生は、幼年期に実父の横領失踪という逃げられない過去を持っていた。
    ストーリーは読み応えあり、トリックはもう時代的に納得するのは難しいかなというところ。
    ラストは二重に仕込まれおり、ヒューマンドラマとして充実している。

    少年がアルバイトしていた書店で、「1984」をネタに仲間で冗談を言う場面があり、書店員感の仕込みが面白いなと思った。

  • なんとなく買った一冊。

    20年以上前の小説だったんだね。
    あまり古臭く感じなかった。

    題名から何となく催眠術が関係してくるのかな?と思いつつ読んだがやっぱり催眠術の内容だった。

    読んでいくうちにだんだん話に引き込まれていった。
    最後方はちょっと感動した。

    催眠術ってちょっとインチキ臭いイメージがある。
    本当に催眠術で人を操る事が出来るのかな?と感じた小説でした。

  • 25年も前に書かれたとは思えない、今でも色褪せないミステリー作品でした。また、子どもの成長小説として読んでも面白い。真実を知ってしまった後の決断への葛藤の描き方は見事でした。

  • スマホの出てこないミステリーを読みたくて、
    固定電話でのやり取りがノスタルジックでした。

    ひき逃げ、横領、恋人商法、ピッキング、サブリミナル、催眠術、盛り沢山の問題を1人の少年が繋ぎ合わせて解決していく、主人公の日下守くんは強くて凛とした人で見習いたいな、と思いました。世の中こんな人ばかりだといいのにな。

  • 実は、宮部みゆきさんの作品って、まだ2作目なんですよね~。読みたい作品は沢山あるんですけど。。。

    なんとなく初期の作品を読んでみたくて手に取りました。
    ぐいぐいと引っ張っていってくれるので、あっという間に読了。
    流石、数々の賞を受賞している人気の作家さんです。

    「魔術はささやく」は、なんと約30年前の作品で、バブルのあの頃の時代を知っている私としては、ニヤリとしてしまうことが多々ありました。
    喫茶店のピンク電話とか電話ボックスとか、今はもうあまり見かけませんよね。

    事件も当時の時代背景ならではのところもありますが、根本的には現在も同じだと思いました。
    家の留守番電話やマニアックな雑誌などが、ラインやSNSや動画サイトなどに変わるだけのこと。

    だって結局のところ人間の心のことだから。

    読みやすいのですが、少々わかりにくいところもありました。ここまで手の込んだ殺人事件を起こす犯人の動機とか。
    あとは読むひとが、どこを、何を、拾い上げるかなのかなとも思います。

    宮部さんの作品はまだまだ沢山あるので、また読んでみたいと思います。

  • 3人の女性の死は自殺ではないのか?だとしたらどんな方法で殺したのか?そしてどんな繋がりがあるのか?気になってどんどんと読み進めました。
    その方法は反則…と思ったけれど、伝えたいところは他にあるのでまぁよし。
    守のせっかくの能力が序盤にしかつかわれず残念。普通の高校生だもんね。

    文庫版の表紙はマグリットの山高帽のオマージュかな。さてその意図は?

  • 主人公は高校生の男の子、守。

    父親が横領の罪に問われ、その後失踪。

    失意のどん底の守の母親はそれでも父を信じ、待ち続けた。そしてその母も死に、守は叔母の住む東京へ。そこで起る数々の奇妙な事件に守は巻き込まれて行く。。。


    宮部みゆきさんの小説は私のような者にも読みやすく、ハラハラドキドキを感じさせてくれます。それがミステリーの醍醐味ですよね。


    あの頃多分パソコンもそんな普及してなかった頃、病気の事を調べたり、トリックとなるある事柄について調べたり(ネタバレになるので伏せます)して書くのは、大変だっただろうなと思います。すごいです。


    事件は謎だらけで起こります。突然人が自殺したい衝動にかられ、自殺してしまう。

    本当にこんな事があったら怖いですよね。自殺してしまう人の気持ちは分からなくはないですが、それを実行出来るかと聞かれたら、NOだと思います。


    でもそれでも、そうせざるを得なくなる、ある恐ろしい言葉。

    もし自分が…‥と思ったら怖いです。


    物語には「償い」「報復」「罪悪感」など様々なキーワードがあって、実際それによって動いてしまう人間はなんて愚かで、弱い生き物なんだと痛感させられます。

    結末は。。。期待通りでしたが、少し悲しくもある結末でした。


著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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