- Amazon.co.jp ・本 (537ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101369143
感想・レビュー・書評
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流石に今読むと設定や、台詞回しが古い印象は否めない。
サイキックの設定からして、ミステリよりSFなのか?
ちょっと、そのあたりもあいまい。
物語も、もっとギュッと密度を上げることができたのかもしれない。キャラの印象付けがくりかえされ、若干くどいような印象を受ける。好みの問題だろうか。
味付けで言うとかなり濃い目。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
二人の不思議な能力を持つ少年と
二人の犯罪行為に苦しむ青年と
主人公に愛された二人の女性のお話。
読みやすさは勿論なのですが、「能力者ストーリー」と知っていたので
変に考えながら読むことも無く、素直に楽しめたのでした。
登場人物の一人一人にちゃんと歴史と感傷があって
「今までこうだったんだろうな」と言うのが想像できるのです
とんでもなキャラクターやとんでもな設定。
好きなのですけどね。はい。
SFや能力物と言うと、上遠野浩平が真っ先に浮かんだのですが
そう言うファンタジーではなく、どちらかと言うと
リプレイものの様に、サイキックな内容なのです。
主人公は至って一般の(?)雑誌記者。
その主人公と偶然出会って事件に巻き込まれ、心を通わせていくのがサイキック少年。
ドラマの『メンタリスト』と言った感じでしょうか
好きなのですよ。パトリックジェーン。
ただパトリックジェーンは何て言うか意地悪で……とそれは別の話。
「そう言うものだから」と念頭に置いておけば、特に疑問も無く二人の少年を思い浮かべることが出来るのです。
ストーリーはだいたい予想通りに進んでいくのですが
文頭での予告通り、切ない別れと喪失感は、悲しいながらもそれでも前向きに生きて行くんだろうなって、残った人達の負った傷の深さをしみじみと感じさせてくれるのでした
タイトルの『龍は眠る』なのですが
誰の「龍」の事だったのでしょう。
読み終わった後、やっぱり考えてしまったのです。
そしてやっぱり所々に見える女性ならではなのか、宮部みゆきならではなのか
女性についての、はっと息を飲む表現が良いのですよね
引用はしないのですが
主人公と元婚約者の会話での事だったり
主人公と同僚の、秘書に関する会話だったり
思わず2度3度と読み直してしまうほど。
こう言う表現や主張は今まで読んだことなかったなーと、宮部みゆきを読んで発見することが多々あったのでした。
次は連城三紀彦を読むことになりそうなのですが、「蒲生邸~」先に読みたいのです。見つからないのですが。 -
宮部みゆきさんの本で一番好き!定期的に読み返してしまいます。ミステリというジャンルにハマるきっかけになりました!
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超能力を持つ者が感じる苦しさと悲しさ。
その切実さが胸に迫ります。
人の心を読む等の能力に単純に憧れたりもしましたが、この物語を読む限りそんな安易な考えだけでは、心の均衡を保つことは出来ないように思いました。
人間関係というものは、心の中が分からないからこそ、成り立つものなのかもしれませんね。 -
正月積本消化。今まで積本だったのが悔やまれる傑作!
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語り手の雑誌記者が、自らを超常能力者と言う少年に出会うところから始まる物語。謎、謎、謎と、ページを繰っていくと謎ばかりが降ってくる。そもそも超常能力者なんて存在するのかという謎から始まり、その謎が解決する前に違う謎が顔を覗かせる。最後の最後まで謎をしっかり堪能することができた。
超常能力が物語の一番のキーワードであるが、能力を振りかざすような派手な場面はなく、能力者が自分の能力を誇示するような場面もない。それが影響し、リアルな物語のように感じる。
また超常能力だけを歯車にして物語が展開されていくわけではなく、超常能力が一つのキーとなって事件や登場人物の心情とうまく溶け合っている。それが物語の深みになっている。
本書は日本推理作家協会賞を受賞した作品。確かに読んでいる途中で推理を無意識にしていたが、全く真相とは違った。僕の考えが追いつけるわけがない。超常能力と推理がうまく混じり合ったリアルな推理小説と感じた。 -
久しぶりに宮部みゆきを読了、改めてストーリーテラーだと実感した。
2人の超能力少年が事件を解決していく、というあらすじだけを見るとSF的な要素がミステリー要素を上回ってしまい、どっちつかずになってしまうのでは?さてどうなるのだろうと読み始めたが、そんな思いも吹き飛んでしまった。
とある事件から様々な事件に発展していくのだが、特殊な能力を持つ彼らの切なさ、そして中盤から登場する話す事が出来ない障がいを持つ女性のまた違った切なさなど、究極のヒューマンドラマが底辺に流れ続けている独特なミステリーだ。