- Amazon.co.jp ・本 (537ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101369143
感想・レビュー・書評
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超能力を持つ人と持たない人、喋ることが出来ない人など様々な人が登場する。立場の違いから、最初は相手のことを警戒していたが、そんな中でも、少しずつそれぞれの人がお互いを思いやる気持ちが垣間見えるのが良かった。超能力というテーマを扱っているが、作中通して心理描写がリアルなので、思ってたよりも感情移入しやすかった。
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宮部みゆき、いいね。
現代のお話し。超能力の人たちを主に置いたお話しだが、それは少しだけのこと。もっとなんだか人の根っこに感じるお話しでした。 -
嵐の晩だった。雑誌記者の高坂昭吾は、車で東京に向かう道すがら、道端で自転車をパンクさせ、立ち往生していた少年を拾った。何となく不思議なところがあるその少年、稲村慎司は言った。「僕は超常能力者なんだ」。その言葉を証明するかのように、二人が走行中に遭遇した死亡事故の真相を語り始めた。それが全ての始まりだったのだ……宮部みゆきのブロックバスター待望の文庫化。
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宮部みゆき作品はこれが初めて。
サイコメトラーの話であるが、やはりこういう話は設定でどうにでもなってしまうので、なかなかのめり込みにくい。
タイトルも最後で少し触れられたと思いきや、なんともピンとこない感じで、なんとなく間延びしてしまった感は否めなかった。最後まで読ませる面白さはあるのだが、後に残るものがあまりなかった印象でした。 -
嵐の晩 家路を急ぐ雑誌記者は1人の少年を拾う事になり そこである事故と遭遇する
人や物の心が読めると言う少年の 心がどんどんすり減っていく それが辛かった
私の心にも龍はいるのかな
何年も積読状態だったけど 宮部さんは安定の面白さだなぁ -
嵐の夜、雑誌記者がヒッチハイカー少年を拾う。マンホールの蓋、流れ込む水で見えない穴、残された小さな黄色い傘。蓋を開ける二人組が見えてしまう力。記者に何通も届く白紙の脅迫状、誘拐のターゲットは、裕福な理事長と結婚した、かつての婚約者。
決闘の記録、サイキック能力を持つ二人の青年…で始まるので、いつその冒険活劇がと思っているうち、むしろ能力を持つことの悲哀、生きにくさ、世間からどうみられるかといったことのほうがメインになってきました。 -
常人が理解できない能力を持った人間がどういった苦悩をするのか、そういう人間に常人が出会った時どんは反応をするのかが描かれていた。
そんな超能力を持っていなくても、自分の頭の中を相手に理解させるのは大変難しいことで、誤解なくコミュニケーションを行う難しさを想像させられた。 -
過去の作品シリーズ。第45回日本推理作家協会賞受賞作品、だそうな。
ある嵐の夜、雑誌記者の高坂昭吾は車で東京に向かう途中、
自転車をパンクさせて往生している少年・稲村慎司を拾う。
少年を家に送り届けようと車で進むと、道路に穴があり、洪水のように水が流れ込んでいた。
マンホールの蓋が開いていたのだった。
そこに転がる黄色い傘。そして行方がわからなくなった子供を必死に探す声も聞こえる。
子供が落ちてしまった可能性がある中、高坂は雑誌記者として調べを進めるが、
そこで慎司少年が不思議な事を言い出す。
「僕は…人とはちょっと違う力を持っているんだ…。高坂さん、超能力って信じる?」
と。
実際に高坂の過去とマンホールの蓋を開けた若者を特定する慎司。
だが高坂はすぐに信じる事が出来なかった。
そしてこの出会いが、高坂の周囲を慌しくさせていくのだった。。。
今では「宮部みゆき」と言えば、押しも押されぬ売れっ子作家の一人であろうが、
この作品を出した当初はまだまだ新人作家の一人であった。
それでも、この作品のクオリティは素晴らしい。
個人的には宮部みゆきの最高傑作と言ってもいいとさえ感じる。
それ程までに評価する理由の一つは、単純な「超能力モノ」に終わっていない所だ。
超能力を持って生まれてしまったが為に苦悩する姿を、非常にリアルに描写している。
つまり、“超能力者とて一人の人間である”事を鮮明に打ち出しているのだ。
(これは後の『クロスファイア』にも通ずるテーマでもある)
聞きたくもないのに聞こえてしまう。普通の人ならば聞かずに済むような事も、全て聞こえてきてしまう。
そんな状態が幼い頃から続く苦しみ。
それでも前向きにこの能力を活かそうと試みる「稲村慎司」という少年と、
苦しみ抜いた末にその能力を隠す事を決めた「織田直也」という青年。
この2人の描写が絶妙なのだ。
また、この2人以外の登場人物達も非常に魅力的だ。
過去に心の傷を負いながら、慎司や直也に実直に向き合おうとする高坂。
その同僚で最も信頼を置く生駒は、豪快で頭が良く、とても頼りになる。
「超能力を信じる、信じないではなく、そこにある物」として全てを受け入れる慎司の父親。
そして、ある事故が元で声を失ってしまった三村七恵。
高坂と七恵の物語は、この小説のもう一つの読みどころであろう。
さて、物語の冒頭部分で既にわかるように、織田直也はある事件の末に死んでしまう。
それでも、物語自体は非常に救われるような、ある種達成感のある終わり方なので
読後感も非常にスッキリする。
それにしてもこの頃の宮部みゆきは余計な詳細描写が余りなく、とても読み易い。
唯一気になる点としては、何故かサービス業に関わる人間が皆、二言目からはもうタメ口な点だ。
ここだけ違和感。
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30年も前の作品とは知らなかった。直也と真司のとった行動はあれで良かったのか?読んだあと切なくなりました。