初ものがたり (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369204

作品紹介・あらすじ

鰹、白魚、鮭、柿、桜…。江戸の四季を彩る「初もの」がからんだ謎また謎。本所深川一帯をあずかる「回向院の旦那」こと岡っ引きの茂七が、子分の糸吉や権三らと難事件の数々に挑む。夜っぴて屋台を開いている正体不明の稲荷寿司屋の親父、霊力をもつという「拝み屋」の少年など、一癖二癖ある脇役たちも縦横無尽に神出鬼没。人情と季節感にあふれた時代ミステリー・ワールドへご招待!

感想・レビュー・書評

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  • 本所深川一体をあずかる「回向院の旦那」こと岡っ引の茂七親分。年は50過ぎで、裁縫の腕の立つおかみさんと慎ましやかな二人暮らし。
    若くてにぎやかな糸吉と物静かな権三の二人の下っ引きをつれて、本所深川の人々の生活を日々温かく見守っている。

    蕪、白魚、鰹、柿、鮭、桜など季節の初物を題材に、江戸で起こる難事件を茂七親分が解決してゆく連作短編集。

    謎多き稲荷寿司屋台の親父の作る数々の料理が物語を彩る。稲荷寿司はもちろん蕪汁に白魚蒲鉾、鰹の刺し身、柿羊羹、小田巻き、蒸し蜆汁、桜餅などなど酒のつまみからスイーツまで何でもござい、でどれもこれも美味しそう。
    しかも茂七親分が事件の謎に行き詰まると、さらっといい助言をしてくれるので、正体不明ではあっても茂七親分がこの親父を頼りにするのも納得である。

    実はこの茂七親分の物語はシリーズになっているらしい。
    『本所深川ふしぎ草紙』→『かまいたち』→『幻色江戸ごよみ』→『初ものがたり』→『堪忍箱』→『あやし〜怪〜』(茂七親分の後継者・政五郎親分登場)
    この他、最近読んだ『きたきた捕物帖(二)』にもチラッと出てきたような覚えが…。
    どちらにしても、どうやらうっかりシリーズのど真ん中から読んでしまったみたい。
    しかも今回読んだ『初ものがたり』には未収録の3篇にイラスト多数を添えた完全版となる〈完本〉があるなんて!どうりで終わり方が中途半端だと思った。これはいずれ〈完本〉を読まなければ。折角だから順調にシリーズを追ってみようと思う。

    なお、回向院とは墨田区両国に“本当に”あるお寺だそうで、これまたびっくり。

  • 時代もの以外ほぼ既読の宮部みゆき44冊目。いよいよ宮部さんの時代物に挑戦。とても読みやすく、宮部さんとの相性は最高なのだろう。主人公は岡っ引きの回向院の茂七。茂七親分が、殺し、子どもの毒殺、鰹1サク1千両の謎、10歳の天才超能力の謎、色恋沙汰など、ミステリーを紐解いていく。初めてだろうか?犯人を当てることが目的ではなく、茂七親分の心情とともに真相を追い求め、いつの間にか江戸時代にタイムトリップしている。江戸時代を心のままに楽しんだ。江戸時代の旨いもの、鰹、白魚、鮭、次郎柿、桜餅、稲荷寿司は名脇役でした!

  • 小説歴史街道連載の6編を収録。 回向院の茂七が登場する連作短編。再読。脇役が良く、茂七は、とても良い。新作3編を追加した「完本」付きの同名作品も読んでみようと思います。

  • 再読2013.12。
    時代ものは苦手中の苦手なんだけど、これだけ短編だと頑張って読める。
    読後は、とにかく続きが読みたい!
    霊感坊主と稲荷屋が気になるるる〜!
    回向院の旦那と同じで、夜中にちょっと食べたくなるようなお食事がとても素敵。湯気が香ってきそう。
    完全版?みたいのが発行されたようなので読んでみよ!

  • 17年前に発表された話なのに、既に宮部節が確立している。
    過去の宮部作品のレビューで何度も書いたことだけど、
    最初から安定感のある作家さんだったんだと改めて感じた。

    回向院の茂七、仕立て屋を生業とするおかみさん(そういえば名前が出てきてない)、
    湯屋で働く糸吉、長屋の差配の手伝いをする権三、稲荷寿司屋台の親父…
    そういった登場人物たちと周りの人たちとの関わり、謎解きの過程といったものが
    後に書かれる『小暮写眞館』の雰囲気と時代は違えど通じるものがあって
    その辺りを興味深く読んだ。
    『白魚の目』や『遺恨の桜』といった子供が被害に遭う話は
    読んでいてちょっと居たたまれない部分があったものの
    扱いようによってはホラーになりそうな題材を
    謎解きよりも人情話の趣が濃い連作に仕立てた力量にも感服。
    (実際、宮部さんの時代物はホラーもけっこう多い)

    稲荷屋台の親父の謎が解けかけたところで話が止まっているのが残念。
    いつかこの続きを書いてくれることを心待ちにしている。

    • honno-遊民さん
      この間、再読しましたが、何度読んでも面白い。回向院の茂七シリーズ、続きを書いてもらいたいですね。
      この間、再読しましたが、何度読んでも面白い。回向院の茂七シリーズ、続きを書いてもらいたいですね。
      2013/04/05
  • 茂七のいい親父っぷりが魅力的!
    屋台のシーンでは、江戸時代の食事でそんな豪華なものではないのに、すごく美味しそうに描かれている!
    重くない話で、サクッと読めます。
    でも読み出すと止まらない!
    屋台の親父の正体が気になるところです。続き、でないのかなぁ〜。

    • honno-遊民さん
      「本所深川ふしぎ草紙」にも、茂七親分がちょい役で出てきますよ。
      「本所深川ふしぎ草紙」にも、茂七親分がちょい役で出てきますよ。
      2013/04/26
  • 私にとってもこれが宮部みゆきさんの初読みの一冊。
    推理小説として綺麗に事件を解決する結末も好きですが、江戸を舞台にした小説には人情というスパイスで曖昧なまま終わる結末も多く、そういう結末も大好きです。久しぶりの一気読みでした。
    印象に残ったのは「凍る月」タイトル共に良かったです。

  • 祖母か勧められて読んだ一冊。
    時代小説は途中で挫折することもままあるのですが、これは読み切ることができました。
    私は人情ものが意外と好きなのかもしれない。

  • とあるアンソロジーに収録されていた宮部みゆきの時代ものを読んでからいつか時代もの一冊読みたいと思いつつなかなか機会がなかったけど、この本で時代小説デビュー(?)!
    どの話も切なさもあり、人情味を感じられて良かったです。
    続きが気になると思ったら、別の本で3篇新作(?)が追加されてるんだ。
    それも読みたいし、他の宮部みゆきの時代ものも読みたい…!(・∀・)

  • 江戸の深川の岡っ引き、茂七のお話。
    宮部みゆきの江戸の描写は好きだなあ。
    筆者が続きはいつか書くと言いつつ、まだ出てない様子。
    早く読みたい、続きはまだかー

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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