- Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101369266
感想・レビュー・書評
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ヒロミの抱えているトラウマや子供の頃の辛い経験などいろいろ同情するべき点はある。確かにヒロミも被害者なのだろうとは思うがそれでも到底ヒロミのしたことは許される事ではないと思う。
それにしてもカズの純粋さと真っ直ぐさに胸が痛くなった。
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内容(「BOOK」データベースより)
真犯人Xは生きている―。網川は、高井は栗橋の共犯者ではなく、むしろ巻き込まれた被害者だと主張して、「栗橋主犯・高井従犯」説に拠る滋子に反論し、一躍マスコミの寵児となった。由美子はそんな網川に精神的に依存し、兄の無実を信じ共闘していたが、その希望が潰えた時、身を投げた―。真犯人は一体誰なのか?あらゆる邪悪な欲望を映し出した犯罪劇、深い余韻を残して遂に閉幕。 -
「あああぁぁぁ…。」ほんとにこんな感じな気持ち。くそう。急に栗橋が人間味たらしめてきてる。樋口めぐみ含め理解できないくらい狂気じみてて理解できないって事はたぶん喜ばしいことなんだろうけど、どんなに残酷で胸くそ悪い事でも行動には意味が、行動してしまう背景があって。背景があるからこそ、明日は我が身のような、理解できてしまう可能性はどこにでもあるんだって。『知らない』ことは悪いことではないけど罪深いな
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ピースとヒロミは、連続殺人というゲームに興じる。
ピースのシナリオ通り「女優たち」は演じ、着実にゲームは進行し、日本中を手玉にとってきた。
そして、その殺人ゲームの犯人としてカズ(高井和明)を巻き込もうとする。
カズは、二人が描いたシナリオを全て信じたふりをして、アジトの山荘に入っていく。
山荘で簀巻きにされながらも懸命にヒロミを説得するカズ。
「.ヒロミがあの女の子たちを殺したんだろう。ずっとそう思って
いた」
「じゃなんでノコノコここまで来たんだよ」
「やめさせたかったからだ。一緒に警察に行こう。こんなことを
重ねちゃいけない。」
カズは、いつもヒロミとピースの掘った穴にハマるために存在し
ピースとヒロミの用意した観客に笑われるために存在すると思っていたのに、死に直面しても冷静な態度に動揺するヒロミと、激昂し怒鳴るピース、この両者の対決が圧巻だった。
そして、転落する車の中、死を目前にしてお互いを思う。
カズ。カズ。カズは生きているだろうか。生きていてほしい
俺も生きたい。生き直すんだ。
ヒロミ、ヒロミは、大丈夫だろうか?これから一緒に考え直さなくてはならないことが山ほどある。死ぬわけにはいかない。
どうして、ヒロミは本当の友達を見抜けなかったのだろう。
もっと早くカズの真心に気づくことはできなかったのだろうか。
小さい頃から愚鈍で、バカにされ、笑われるばかりの人生だった
高井和明の人間としての深さ、大きさ、温かさに、胸が締め付けられるとともに、こんな終わり方でいいのだろうかと切なくなった。
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巻を追うごとに面白くなっていくのやばい。
登場人物たちのバックグラウンドを深く掘り出していく第3巻。
心理描写が圧巻です。
悲しい親子関係、そこにつけ込む悪意、純粋な友情…胸が痛くなる展開でした。
本当の悪人は誰なのか?
性善説と性悪説について考えさせられます。
心を病むことについても考えさせられます。
そして、深層心理を弄び人を操作する悪意についても…
とにかく面白すぎる。
まさかの展開に息を飲むばかりです。
今後の予想がつきません。 -
浩美は二重人格かと思ってたけど第三者から見ても2人って言われてるし違うのかー。ピースの本名と過去が話されないのでどうも実体がないものに思えちゃうんだよな。
浩美の過去は可哀想だし親は完全にアウトだけどまぁ同情はできないな。
4巻はピースの話か警察サイドの話か。面白くてあっという間に読んでしまう -
Audibleで読みました。
この巻で女性殺害事件の犯人サイドの動機が判明し、時系列もつながってスッキリ。
これほどまでに登場人物に細かな設定を与える宮部みゆきという人の深奥な作家性が窺えます。ここまでの設定を作りこんでおいて、どの巻のどのタイミングでどれを出すのか、を構成するなんて自分に対するサディスティックなおしおきにしか思えません。
さて、てっきりサイコパスかと思いきや実はサイコパスの2世で愛着障害を抱えていた犯人の、狂おしいまでの葛藤がまぁ痛々しいことこの上なしです。もちろん共感はしませんがひょっとして彼も被害者なの⁉︎なんて読んでしまったら作者の思う壷のように思えます。
当然、家族全員を惨殺された過去を持つ塚田真一とのコントラストも考えさせられる要素の一つかと思います。結局のところ、犯人は選んでその道を手繰ってきた、ということかと思います。まるで不幸な偶然の積み重ねのようでいて、間違いなく節々に意図した選択を行なった結果として、最大級に不幸な今日に至っているということです。裏を返せば、巻末の走馬灯は、それぞれに逆のあるいは異なる選択肢もあったのだ、と作者は言いたかったのではないでしょうか。良い選択をしましょう、的な。
次巻以降は真一と、ルポライターの前畑の動きが語られていないので気になります。にしても一体何が模倣犯なのか。もしや気づいてないのは自分だけなのか。 -
新しい殺人の話ではなく、まだ裏側の話。完璧に見えたピースとヒロミの物語がすこーしずつ崩れていく様が読み取れる。カズの逆襲。歳を取るにつれ、いじめっ子といじめられっ子の立場が逆転していくって言うのはよくある話。でもカズのは復讐ではなく道を正してあげてそれに寄り添おうとする愛情。本当に人柄が良すぎだよ。ヒロミももう少しだったんだけどな。小さい頃の闇は本当に人をダメにする。ピースの闇を本当に知りたい。
めぐみの、お父さんが人を殺したのはしょうがなかったのだから許してよ!と言う言い訳が腹立つ。