市駿さんの感想
2012年5月15日
正直、★一つは厳しいかな、と思ったが、周囲が褒め称えてばかりいるので天邪鬼的に評価した。 一言で言うと、巻が進むに従って読むのがつらくなってくる本でした。 殺人犯が被害者を首吊りで殺害する描写を事細かく書かれても気分が悪くなるだけ。描かなくてもいいことまで描いてしまった感がありましたね。 そしてどうしても受け入れられなかったのが、最後の泣き崩れる有馬義男の姿。 戦争世代は多分泣かないし、酒に逃げたりしないと思います。この辺の機微を作者は判っていないように感じ、どうしても受け入れられなかった。
1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。