- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101369303
感想・レビュー・書評
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おもしろく、わかりやすく、緩急があって、勧善懲悪。伏線はきっちり回収され、もやもやが残らない。ぐいぐい引き込まれて、夢中で読みました。
読み終えても残ったのはこのセリフ
『どうしてあんたはお父とお母とに大事にされて、どうしてあたしは(中略)井戸にいなくちゃならなかった?』
上巻にでてくる、犬張子を欲しがった女の子を思い出した。
邪視の民間伝承は、世界の広範囲に分布する。
「どうしてあの子は就職できて、私は駄目だった?」
「どうしてあの子は子供ができて、私は駄目なの?」
「どうしてあの子はご飯が残せて、私は飢えているの?」
私達はうらやむことからも、うらやまれ(ともすれば憎まれる)ことからも、逃げられない。
毒にまではせずに生きていきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そんなに急展開でもないけど、
いままでの あれやこれやが どんどんつながっていって
あっさりと終わってしまった。
お梅の最後が腑に落ちないかなー
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幽霊が見える人、見えない人がいるが、この話では幽霊と同じ状態に陥った人や同じ心根を持った人が、そのような幽霊を見ることになっている。まるで自分の生き写しの成れの果てのように。そういう意味では生きている人を改心させるために存在しているとも言える。
ただ、自分がなぜ死んだのかよくわからない場合は、成仏できずにこの世に浮遊し続けるようである。よい幽霊は死んだ理由に納得がいけば成仏できるということか。逆に人に憑依する幽霊はかなりの厄介者である。
一人の少女と幽霊たちが織り成すミステリー要素のある心温まるファンタジー作品だった。 -
江戸時代、少女おりんの周りで起こる殺人がからむ幽霊ファンタジー
各幽霊は関係ある者に見えるが、おりんは全員が見える
少しずつ解けていく謎、解決に至るのはおりんがある行動が始まりだった
おりんの誠実なキャラが良く楽しく読めました(^^) -
面白い。それなりに謎や不思議があり。ちょっぴり切なさも感動もあって。
他の人が書かれてるそつのない面白さっていうのがすごくしっくりきた。そういうとなんだかあんまり良い印象ではないかもしれないけど、なんていうか、良い意味で(もわるい意味でも?)枠から出ない安定した面白さだと思う。 -
幾度も重なる幽霊騒動で暖簾に何度も泥を塗っているふね屋の行く末を心配しつつ、おりんの健気さに助けられた。 中盤まではふね屋がこのままでは潰れてしまうとはらはらしていました。おりんの出生の秘密も明かされ、おりんも少し不安定になってしまう。 それでも全てを受け入れたおりんの「私は愛されて生きている!」という感覚は力強い。その真っ直ぐな心に幽霊たちは惹かれているんだろうと思った。 最後の最後まで目が離せない。
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亡者は、それを見る人の心を映すもの。
人間って、何かのきっかけで、いや、元来醜いものなのかもしれない。嫉妬とか、正常な考え方で、どうにかして誠実であろうとしているような。
でも、色々な人のおかげで、間違った道を行かずにすむことができるのだと思う。人と人との繋がりは、妙だと思うのと同時に、何かしらの理由があるんだよなあって、小説を読んで思いましたとさ。
それにしても読みやすい。グイグイ引き込まれ、あっという間の上下巻だった。 -
「ふね屋」には五人の亡者が迷っていた。あかんべえする少女、美男の若侍、婀娜っぽい姐さん、按摩のじいさん、宴席で暴れたおどろ髪の男。亡者と心を通わせていくうちに、おりんは、ふね屋の怪異が三十年前にここで起きた忌わしい事件に関っていることに気づく。幾重もの因縁の糸はほどかれ、亡者は成仏できるだろうか? ファンタジーとミステリと人情味が絶妙に溶け込んだ感動の時代長篇!