孤宿の人〈下〉 (新潮文庫)

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著者 : 宮部みゆき
  • 新潮社 (2009年11月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369327

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孤宿の人〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • いい本に違いないのはわかっていた。間違いないんですよ、宮部お姉さんは。よーくわかっているので、それゆえについ後回しにしてしまう。今頃読んでほろほろと泣く。

    上下巻をたっぷり読んでいる間ずっと、私は丸海のどこかで生きていたと思う。ひたひたと胸に迫ってくるこのリアリティは他の時代物にはないものだ。ほうも宇佐も加賀様もみんな切なくなるほど身近に感じられて、心から離れない。

    宮部さんにはどっちかというと現代物を書いてほしいと思うけど、こういうのを読むと、苦手だった時代物にフラフラと手が伸びる。そう、「おまえさん」読まなくちゃ。

  • 久しぶりに本でぼろぼろ泣いた。人がたくさん死ぬけど、人の命ってそんなものなんだろうなとも思う。下巻は映画を観てるような感覚があった。左手に残るページの厚みが薄くなってくると寂しくなった。 読んでると夏のむせかえるような草の匂いやら高いところから見る海や風とかが感じられるようなお話だった。

    宇佐と渡部さん結婚して欲しかったなぁ。


    なんでかずっとよしながふみの絵柄で脳内再生された。とくに石野様とかよしながふみの本に出てきそうだったし。ただよしながふみがかくならほうは男の子で宇佐も男の子なんだろうなと思うけど。それはそれで読んでみたい。

  • 最後にほうが床下を這って加賀様に会いに行くときの場面を3回読み直した。ある場面に戻って繰返し読むことは久しぶり。ほうの子供独特のふっくらとした手と加賀様の年輪のごとく皺が重なっている手がそれぞれきちんとひざに置かれ、静かながらも命をかけた言葉が交わされているようすは激しい感動を呼んだ。
     悪者を作れば団結力が強くなるということはよく言われるけど、そういう団結力は疑心暗鬼を生み最後には崩壊するということも感じられた本だった。

  • すごかった。
    読み終わった後に吐き出した息が深く重く、魂の一部まで持っていかれたかと思った。

    下巻では加賀様をとうとう涸滝の屋敷にお迎えする。
    江戸の町では疫病が流行り、町民は皆加賀様の祟りだと恐れる。
    そんな中涸滝の屋敷で働いていた女中が頓死し、代わりの女中をということで身寄りのないほうに白羽の矢が立つ。
    ほうはひょんなことから加賀様と出会い、対話し、ものを教わるまでの関係になっていく。
    いっぽう下町では疫病、落雷、信心の揺らぎから領民の心が荒れる。加賀様は「鬼」で、丸海藩の人々を皆殺しにしようとしているのだといううわさがまことしやかに流れる。もっともそれは、加賀様の処置を考える匙家と幕府の仕組むたくらみ通りではあったのだが。
    加賀様を鬼と仕立てる裏で交錯する幾重もの陰謀。
    ほうを救う加賀様、加賀様を慕い始めるほう、そしてそのほうを手放したことを悔やむ宇佐、宇佐を気にかけ琴絵の死を嘆く渡部。
    それぞれの思いを抱いて、事態を収めるべく丸海藩が激震する・・。

    加賀様がほうを救い、ほうに心を開いてゆく様子も、ほうが一途に加賀様を慕う様子も、宇佐が一心にほうを思う気持ちも、すべての人物が誰かを思い、誰かのためを思って生きている。
    そのまっすぐさがこそ胸を打つ。
    ほうには幸せになってほしいなあ、と思っていたんだけど・・。
    「孤宿の人」はほうのこと・・かな・・加賀様っぽくもあるな・・。でもほうはこれまでいろんな家をたらいまわしで帰る場所がなかったから宇佐さんと幸せになってほしかったな。
    まあそんなほうが「方」を決め、唯一の「宝」となるということに加賀様が噛んでくる意義があるのだろうから、一人になるので正しいような気もするけど。
    切なく美しく優しくほろ苦く、でも感動のラスト。
    一気に読んでしまいます。

  • 丸海藩に次々と起こる厄災。それは加賀様の祟りなのか。不幸な生い立ちのほうを中心に、小さな藩の存亡を賭けた人々を描く宮部さんの傑作時代小説。
    たくさんの人が犠牲になった。人の心には鬼が棲みついている。そして天にも鬼はいる。でも、それ以上に人には他人を思う優しさがあり、天も自然の恵みを与えてくれる。ほうの名前が『呆』から『方』に、そして『宝』になったように、人間は過去を教訓にして進歩しなければならない。時代小説だが現代人の戒めとなる物語だ。

  • 加賀様は悪霊だ。丸海に災厄を運んでくる。妻子と側近を惨殺した咎で涸滝の屋敷に幽閉された加賀殿の祟りを領民は恐れていた。井上家を出たほうは、引手見習いの宇佐と姉妹のように暮らしていた。やがて、涸滝に下女として入ったほうは、頑なに心を閉ざす加賀殿といつしか気持ちを通わせていく。水面下では、藩の存亡を賭した秘策が粛々と進んでいた。著者の時代小説最高峰、感涙の傑作。(裏表紙より)

    久々に一気読みしてしまいました!前半は私にとって毎度おなじみの「時代小説アレルギー」が出てしまいなかなか読む手が進まなかったのですが、後半はそれこそノンストップでした。
    大人たちのそれぞれの思惑の中で翻弄されながらも、何とか自分なりに生きようとするほうの健気さ、それを表から陰から支える周りの人物の温かさ、そして宇佐とほう、ほうとあの人物との間に芽生えた儚くも強い絆。読み終えたときには思わずホロリと来てしまいました。これからほうはどのような人生を歩むのか。きっと凡庸ながらも力強く生きていってくれるのだろうなと思います。

  • この時代に生まれた人の「命」とは、なんと儚いものなんだろう。何の為に生きているのか。何が正しい事なのか。すごく考えさせられました。望まれずに生まれてきた幼子が生きていく苦境の中で、出合う人々との暖かく、悲しい物語です。最後は感動で涙が溢れてました。

  • 何度も同じところを繰り返して読んでしまいました。そういう文章を書きたいと思いました。

  • 「死んではいけない人が死ぬ」という噂を聞いていたので、無意識に遠ざけていた本。
    読み終わった今、感動はあるのだけど、ひたすら悲しい。死んではいけない人が、というよりそもそも死が多すぎる…
    中でもあの人には幸せになってほしかった。

    ほうの名前に関するエピソードは予想できてしまったので残念だけど、それでも温かい気持ちになった。

    宮部さんの書く幸せはものすごくあたたかく、不幸は本当に辛いから、読むと体力使います。解説にあったが、宮部さん自身この作品を書くのは大変だったよう。
    モデルとなった場所と人についての話を読んでみたい

  • 「孤宿の人」下巻、読了。大きな権力の前に無力感に苛まれる宇佐と渡部。悪鬼と怖れられる加賀とほうの奉公。二つの軸で物語は進められる。人々の話から次第に明らかになる真相。読後、人の弱さと噂の怖さを感じつつ、切なくて温かい余韻に浸りました。巻末の児玉清さんの解説も素晴らしかった。感動した。オススメ♪

  • 鬼・悪霊だと言っても、人は人のままだという、和尚さんの言葉に、はっとします。藩の為にやっていると偉い人達がどんなに言っても、いつも最初に割を食うのは弱い立場の人で、舷州先生だってほうを枯滝に行かせたことは、許されることではないと思います。石野様最後までいい人でしたね。

  • ずっと読みたいと思っていて、ようやく読みました。
    最後は泣けた。感動して、なんか鳥肌状態に。。
    ほう、宇佐、渡部、加賀様、ほか、いろんな登場人物がめぐらす素敵な作品。よかった~。やっぱ宮部さんの時代小説はいいね。

  • 下巻になってからは一息で読んじゃう。

    部下と妻、子を自ら手にかけ、「鬼」扱いされている加賀さまと、恋敵を毒殺して、意中の相手と逢引きしていた美弥や「鬼」を利用し謀を企てる人々…、
    どちらがより恐ろしいのか。

    ほうは阿呆の「呆」ではなく「方」という名前をいただき…

    やっぱり宮部さんやなぁと思います。

  • 泣けました~。今まで読んだ宮部みゆき作品で一番かも。

  • 読後、本気でほうちゃんの幸せを願いました‼どこかで生きてて欲しいと思えるくらいどっぷり世界にはまってしまいました。

  • 加賀様は悪霊だ。丸海に災厄を運んでくる。妻子と側近を惨殺した咎で涸滝の屋敷に幽閉された加賀殿の崇りを領民は恐れていた。井上家を出たほうは、引手見習いの宇佐と姉妹のように暮らしていた。やがて、涸滝に下女として入ったほうは、頑なに心を閉ざす加賀殿といつしか気持ちを通わせていく。水面下では、藩の存亡を賭した秘策が粛々と進んでいた。著者の時代小説最高峰、感涙の傑作。

  • 全編を通して轟く雷鳴の音が印象深い。
    よく神社などにお参りすると祀られている神様の謂われなどが書いてある。
    まるで神話かおとぎ話のように今まで読み流していたが、そういう伝説の背景には加賀様と丸海藩のような物語が隠されているのかもしれないと思った。
    2017/10

  • 本当に、宮部みゆきは人の心の闇、有り様、そしてとてもキレイで大切なものを描くのがとてつもなく上手いと思う。

    今回の作品も、人の心の闇を、人の性を、世界の理を、驚くほど上手く表現していた。

    そして、とても悲しい話だけれども、真っ直ぐに向き合って、「ほう」に心底救われる。そういう物語でした。

    何もかも素晴らしかった。

    正しい事が、必ずしも正しいと認められる訳ではなく、真っ直ぐな想いが決して報われるとは限らない。理不尽な事で溢れかえった世界で、しかし、救いは必ずある。と信じたい。
    運と心根と努力で。

  • いろんな人の悪意が丸海藩に漂い、やがて火となって爆発してしまった。人間の嫉妬や欲は悪霊と同じくらい恐ろしい。いろんな人がそれに巻き込まれて死んでいった。
    そんな中みんなに恐れられている加賀屋敷にいるほうをいろんな人が守ろうと動いているのが際立った。なかでも加賀様とほうの関係が素敵だった。加賀様のほうを大切に思う気持ちがとても伝わってきた。最後の手紙の話では少し涙が出そうになった。

  • 夜の3時に鼻をすすりながら読み終えて、しばらく眠られなかった。あの子がそのままの良い子で、変わらず善い大人に囲まれて、ちゃんとしあわせになる話でいつかまた会いたいです。

  • みんなから丸海藩でつぎつぎと起こる災厄のもととされ、鬼と恐れられる加賀様。しかしほうは加賀様によって命を救われ、井上家から出なければいけなくなったことで教われなくなっていた手習いを加賀様に教えてもらうことになる。
    ほうと加賀様のやりとりが愛しい。加賀様がなぜ妻と子供を殺した罪で丸海藩に流されてきたのかなど謎がつぎつぎと明かされる。
    結構暗い話かもしれないが藩の存亡をかけた陰謀渦巻くミステリーとしては面白かった。加賀様ではないがほうの存在に救われる物語。阿呆のほうと呼ばれていたほうに「呆」ではない漢字を加賀様が授けるシーンが良かった。

  • 複数巻の長編を平行に読破しよう月間の往路終了かなということで。しかし、なんだかなー。

    疑惑の琴江の殺人に立ち会った人たちはそれぞれの人生を歩み、主人公の一人、ほうは約際の原因で鬼と畏れられている加賀氏の元で、外界から隔離されて身の回りの世話を行う。そこで鬼であるはずの加賀氏のから手習いをすることになるのだが。

    結論から言ってしまうと、ハズレの宮部みゆき。主人公や準主人公をたくさん設定したが、彼らの接点は上巻の琴江毒殺が最後。それぞれの人生がバラバラに進むが、結局最後まで絡むことはない。

    また、下巻の中盤以降は、せっかくタスクを課し、しがらみを設けた登場人物たちを殺す殺す。めんどくさくなってたんだろう。解るけど、そこだけで星全て減点。最後に泣かせにかかる部分まで登場人物を殺しての悪手。

    文章は上巻同様、現代の話のように読みやすく、方言もほとんど出てこないのだが、いちいち「心の臓」など古臭い言葉を使わないといけないルールを設定しているため、そのたびにテンポが落ちている。「鼓動」「胸の高鳴り」なんて言葉だって、時代小説でも使ってよいのではないのか。

    史実に基づいているため動かせなかった部分は有るだろうが、登場人物をほぼ全て殺してしまい、それぞれ別の人生のまま終わるのであれば、厚い本2冊も要らないだろう。

  • 感動どころわからず。

  • 男女や身分の違い、生の意味、群衆心理 いろいろな要素が 物語に入っている


    登場人物が みんな孤独な気がする


    和尚の存在が 時代の持つ命の軽さを 中和してくれる。世捨て人が 一番 現代人に近いのは 考えさせられる

  • 「真の事実」と「嘘の事実」が描かれている作品
    事実に真も嘘もないはずではあるが、建前と本音というような感じですかね

    下巻では登場人物が次々に亡くなっていく
    一応武士なのかな、渡部さんは好いていた女性を殺した女性を殺害したが逆に追っ手に殺害されてしまう
    ほぼ自殺に近いような亡くなり方

    引手の親分の子供が孤宿に近づいた事で切り捨て御免
    同時に親分もその責任を取らされて行方不明

    孤宿で「ほう」を助けてくれた人々も行方不明
    実際には責任を取らされている模様

    最後の最後になって宇佐も亡くなる
    ひどい雷の中で
    同時に孤宿の人、加賀様(だっけ?)もその嵐の中で亡くなる
    実際には殺害された模様

    「ほう」はその中でも生き延びた
    その素直さを皆に愛されて生き延びた
    「あんさん(宇佐)」と「加賀様」のお墓参りで終わる

    時代物語ではあるが、現代でも同じように赤を白と言わなければならないような事はある
    裸の王様に「良いお召し物ですね」と言わなければならないような事はある

    無邪気に「裸じゃん」と言いたいものですね
    正しい事が正しいという価値観で

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