英雄の書(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.34
  • (124)
  • (345)
  • (447)
  • (146)
  • (35)
本棚登録 : 3973
感想 : 315
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369341

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 再読

    上巻で重さにへたばってしまいそうだったのだか、下巻はスペシャルロールプレイング。

    結果、ゆり子は問題に向かい合うチャンスを与えられたけれど、大樹の両親はまだまだ耐えていかなくてはいけないんだなぁ。

    シンドイなぁ。

    物語に逃げ込んでもいいじゃないか。
    と思う私みたいなのがいるから、「紡ぐ者」の方々は許されてるのね。

    しばらくの間、私のの領域に生きておられる「英雄」さん達をうがった見方をしてしまいそうだ(^◇^;)

  • 下巻はいっきに読みました。続きの本も出ているようなので次が楽しみです。

  • 「印を戴く者」としての名をユーリとして、「狼」のアッシュ、従者のソラとアジュと兄を追う旅に出た友理子。
    行く先々で待ち受ける困難と謎に立ち向かい、ユーリは遂に兄に追い付くが……。

    2018年6月17日読了。
    『悲嘆の門』を先に読んでしまったので、友理子の兄が最後にどうなったかを知っていました。それ故に、読み進めるのがかなり辛かったです。
    最後、アジュと再会出来ることを期待していたのですが、それが叶うのは「狼」となったユーリが主人公の物語でないとダメなのかな。そこが一番寂しかったですね。

  • 主人公は小学生の少女。兄が殺人事件を起こし、失踪してしまう。あることをきっかけに兄の事件を唆した存在を知り、兄を捜す旅に出る。

    宮部みゆきさんの作品としてはブレイブストーリーのような異世界物に分類されるかと思います。

    上巻
    兄の事件
    兄に犯罪を唆した存在を知る
    魔法少女となる
    無名の地
    兄の事件の背景

    下巻
    敵の襲撃
    ヘイトランドヘ
    魔王の体を探すため、王都へ

    こんな感じ。
    全体として、長編の一部になるようで、読み終わっても謎が残っており、魔王を退治も出来ない。後書きによると、続編は主人公も替わるらしく、スターウォーズのような構成になるのでしょうか?

    評価は2としますが、これは私の年齢や期待する話の長さやテンポ、読後感などから来る物だと思います。何年でも続編を待てる学生さん、主人公達と同世代の小学生、中学生に向けた本かもしれません。

    個人的にはもう少し主人公の年齢設定を上げても良かったのではないかと感じました。難しい言葉を話し、理解し、長く旅をしたりしますので。

  • 図書館で。
    面白い訳ではないなぁと思いながらも最後まで読まされてしまった感があり、そういう意味ではさすがというか。同級生を殺害した兄を探す旅がファンタジー要素が絡んだからといってすべて丸く収まりました、ちゃんちゃん、とすっきり終わるハズ無いものなぁと最初からどんよりした気で読んでいたからかもしれませんが。
    主人公のユリコもなんだかえらい怒りっぽくて感情的で(まああんなことがあったから仕方ないのかもしれないけれども)思い込みが激しく、どこか被害者意識で話が進むので最後まで感情移入できずに終わりました。

    事件が起こり、加害者側を知る人の言葉に「こんな事件を起こす人には見えなかった」というコメントをよく聞くような気がします。社会において普通に暮らしていた人がその判断基準から極端に逸脱する行為を日常的に(もしくは人目に付く所で)しているハズが無いのでこのコメントは至極まっとうなものではあるのですが、それを聞いた他人は疑問に思うわけです。「普通に生きていたこの人を犯罪に駆り立てた動機やきっかけはなんだったのだろうか」と。その疑問ややりきれなさを一つの原因に求めたところからして(つまり物語の成り立ちから)それが理由でイイの?と思ってしまった辺りでこの物語とあまり相性が良くなかったのかなとは思います。

    そういう意味でお兄ちゃんは悪くない、悪いのは「英雄の書」だ、と言える原因を見つけたユリコは心が楽になったのではないかと思うのです。そして彼の心を見つける旅(と言えるかどうかは微妙な所ですが)をしたことにより、感情を吐きだし少しすっきりしたのではないかな、と。でも個人的な感想を言わせてもらうと彼女は一番面倒で怖くてツライ現実をコピー分身に押し付けて「ワタシガ世界ヲ救ウノヨ」みたいな自己中心的なヒロイズムに溺れた世界に逃げ込んだとも言えるわけですよね。まあ逃げるのが悪いとは言わないけどすべてが現実逃避したユリコの妄想…夢だったと言われてもそうだろうな、と納得できるようなお話だった気がします。というわけで自分にはエピソードの狼のくだりは蛇足のように感じました。

    無名の僧もなぁ… まあ、うんそうなんだろうな、って感じでした。ユリコは無名の地に行ってなんだかえらい憤ってましたがそこも理解できなかった。感情も思想も「個」という概念もなくただ為すべきことを為す、という存在があるとしたらそれはヒトという枠からも放たれているという訳で、ヒトと同じ概念を持つ者ではないのではなかろうかと思うわけです。果たして彼女は工場の機械に対して哀れみを覚えるのか?そう言う近視眼なモノの見方が子供だなぁと思うし(実際小学生なので仕方ないのですが)感情の揺れが激しくて読んでいて疲れました…

    個人的にはファンタジー要素を絡めずに兄の事件を妹が振り返る、でも良かったと思うんですがどうなんでしょうねぇ?ファンタジーでアレは「書物」が悪かったと言いきるには兄の犯した罪が大きかったので同情できないというか救いが無いというか。全体として重い話のはずなのに妙に明るい場面があったり、彼女が万能のオルキャスト様を演じる辺りは滑稽というよりは不快に感じました。お前は自分の優越感や選ばれた人的特権意識を満足させるために旅してるのか?みたいな所が特に。

    加害者の家族の救済というのであればなんかもっと書きようがあったと思うんだけどなぁと思います。そしてこの作品で一番悪いのは新人担任の女性教諭だと思った。彼女はせめてユリコの親には事情を説明するべきだったと思う。ミチルさんの件を絡めるかからめないかは置いておいて、彼女は大人なんだから説明義務があったと思う。本当はもっと早く、事件が起きる前に行動を起こすべきだったと思うわけです。

  • 宮部みゆきさんのファンタジー小説は規模がでかくて大好き。
    悲嘆の門を読んで手に取りました。
    クスッと笑えたり、和んだり、怪物と戦うアクションシーンなどがあり、くるくる変わってるんだけどきっちりな内容でした。
    全体的に悲しい内容です。

  • ファンタジーやSFは苦手だけれど、宮部みゆき作だけは読みます。ソラがなぜ秘密めいているのか?アッシュは何を知っているのか?悲しい物語だけどアジュが可愛かったり、ユーリの成長も引き込まれて一気読み

  • 今更ですが、宮部みゆき!本当に多才。続編が気になる。

  • 再読。面倒くさい説明的情景描写は上巻で終えて、下巻は一気に物語が動き出して面白くなってきた。正邪の判断に正解はなく、反発し、苦悩する主人公の女の子は、子供とはいてそのまま私の姿だ。「物語を紡ぐ業」についての記述は、宮部さん自身の作家としての逡巡をうかがわせ、こんなに温かい物語を描く宮部さんでもそんなふうに考えるんだと驚いた。お兄ちゃんが消えるところから後半は泣けた。より成長したユーリに会える続編を期待します。

  • 異世界冒険もの、と称するには現実ととても折り合いの取れた、物語のための物語の一つ。という感じ。英雄の表と裏。無名僧と紡ぐ者。読みやすかったが重い話だった。主人公が小学生の女の子でも、可愛らしいアジュがいても、重たい。無名の地の色の無さがずっと世界を覆っているような。それでも終わり方、彼女の領域でのエピローグは納得がいった。続編、気になります。出来れば成長したユーリで見たかったけど。
    (→引用した文章、すぐに原発を連想させられた。)

全315件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

宮部みゆきの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×