ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784101369358

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    映画にもなった宮部みゆきの超大作、「ソロモンの偽証」。
    文庫版だと6冊に及ぶ長編ですが、ようやく6分の1読了しました!
    (かなり前に映画版を観たのですが、内容全く覚えていない・・・笑)

    学校内で発生した同級生の転落死の謎を、生徒のみによる校内裁判で追求しようとする中学生たちを描く物語。
    物語の節々にアナログな表現が多々あったので、バブル終末近くの1990年代あたり?
    文庫の発行が2025年頃だったので、「なぜ時代背景が1990年代なのかな~」とそのタイムラグを不思議に思いましたが、原作自体は2002年に小説新潮にてスタートしたらしいです。
    (それでもタイムラグあるけども・・・)

    時代が時代なだけに、中学生ヤンキーの粗暴な感じや校内暴力などがガッツリと描かれていました。
    僕の中学時代は2000年はじめ頃ですが、地元には中学生ヤンキーがいっぱいいたな~
    ただ、大人になって思いますが、中学生のヤンキーって大人からしてそんなに怖いものなんですかね?
    中学生なんてまだまだ子どもですし、腕力ひとつとってもいざとなったら絶対に大人のほうが強いでしょ(笑)
    このご時世なので、さすがに体罰で粛清することはできないでしょうが、、、「中学生にビビる大人」という構図には納得できないなぁ。

    全6巻もあるので、1巻目は登場人物それぞれの背景や性格など、本当にサワリだけでした。
    なので、まだまだ面白いかどうか、全貌は読めませんね・・・
    伏線がかなりあるため続きは気になりますが、1巻目からのインパクトは今のところあまり感じられませんでした。



    【あらすじ】
    クリスマス未明、一人の中学生が転落死した。
    柏木卓也、14歳。彼はなぜ死んだのか。殺人か。自殺か。
    謎の死への疑念が広がる中、“同級生の犯行”を告発する手紙が関係者に届く。

    さらに、過剰報道によって学校、保護者の混乱は極まり、犯人捜しが公然と始まった。
    一つの死をきっかけに膨れ上がる人々の悪意。それに抗し、死の真相を求める生徒達を描く、現代ミステリーの最高峰。


    【メモ】
    p229
    なぜかしら今、涼子は柏木卓也が怖い。とてもとても怖い。
    早くあたしから離れて。そう願う。
    でも、彼が離れていかないことも知っている。
    そう、正確に言うならば、柏木卓也は涼子に憑いたのではなく、元々あった涼子のある一面を掘り出したのだ。
    死によって。


    p429
    幼さは、若さは、すべて同じ弱点を持っている。「待てない」という弱点を。
    事を起こせば、すぐに結果を見たがる。
    人生とは要するに待つことの連続なのだという教訓は、平均寿命の半分以上を生きてみなければ体感できないものなのだ。
    そして、うんざりすることではあるけれど、その教訓は真実なのだと悟るには、たぶん残りの人生すべてを費やすまでかかるのだ。

    三宅樹里も待てなかった。
    だから、自分ではよく考えているつもりでも、その思考は上滑りしているだけだった。

  • 何とも嫌な予感しかしない展開にドキドキ。
    主要人物の中学生達には少年少女らしい楽観は無い。それぞれが複雑な感情を抱き、それを形容できず、吐き出せず、無力感や喪失感に包まれている。溢れる憎悪から、復讐を企てる者がいて、そこから始まる嘘がある。
    登場人物は多め。彼らの性格や行動がハッキリとしているので話には付いていけているはず......
    展開が全く読めない状態で一部上巻は終了。物語は始まったばかり。偽証というタイトルなだけに、嘘が嘘を呼び、無実の人物たちが巻き込まれていく展開になるのだろうか。

    ゆっくり読みたい。次巻へ。

    以下、ネタバレ有り(備忘録)。

    クリスマスの日。学校内で柏木卓也が亡くなったいるのが発見される。死因は自殺か。

    中学二年生。複数の男女の視点で物語は進行する。自己嫌悪や他者への憎悪。優越感と劣等感。思春期を過ごす、それぞれの子供たちは、同級生の死をきっかけに、何かを思い、感じ、行動する。

    小林修造老人が見かけたのは、電話ボックスにいた男の子。少年の様子がおかしかったので、お節介にも小林は声をかけた。男の子は大丈夫と断り去った。そして最後に振り返った。小林は彼を引き留めて話を聞くべきだったと感じた。あの男の子は、どこの誰だったのだろう。

    藤野涼子は優秀な学生だった。妹二人に刑事の父、仕事に励む母。そんな母に理想の女性像を重ね、自らを戒める涼子。だが、自分の心の底にある感情に気づいている。何かが欠けているのだろうか。同級生が死んだのに、涙を流さない私はおかしいのだろうか。図書館で男に絡まれているところを、野田健一に救われて、少し男の子に対して浮かれる気持ちが芽生えるがすぐ冷めている。

    野田健一は柏木卓也の遺体を発見した生徒。
    涼子と同じクラス。病んでいる母と、忙しい父と暮らしている。病的な母の世話や行動に嫌気が指し自由を欲する。その気持ちを汲まない父にも苛立つ。そして両親を殺すことを考え始める。図書館で毒物の本を読んでいるところを見られている。

    大出俊次、井口充、橋田祐太郎は大出を中心とした三中の不良仲間。柏木卓也の死に関わっている可能性があるとされている。過去に三宅樹里のことをニキビ顔という理由で虐めている。

    三宅樹里は柏木卓也をきっかけに、犯人を目撃したという匿名の告発状を学校、藤野涼子、担任の森内恵美子に送っている。過去に大出俊次たちに虐められていた恨みを晴らすために、報復として告発状に彼らの名前を書いている。人気者の藤野涼子のことも憎んでいる。
    友人の松子のことを内心では見下しながらも、心の拠り所のようにして利用している。

    浅井松子は三宅樹里の友人であり理解者。優しい性格だが鈍感なところがあり太っている。

    佐々木礼子は少年課で、本件の担当刑事。

    森内恵美子は主要人物たちのクラスで担任を受け持っている教師。独身でスタイルも良い女性。一部の生徒からは人気だが、その反面、目立たない生徒を見下すような一面を持ち合わせている。告発状は彼女に届かず、隣人に盗まれている。

    垣内美奈絵は森内教員の部屋の隣に住む女性。夫から別れを告げられるが、それを拒んだまま夫の持っている部屋で暮らしている。夫は出ていき、離婚を求め続けている。夫の不倫の末に捨てられた女として、悲観に暮れ、部屋を訪れた夫に縋りついた際に、隣に住む森内に出くわし、森内の笑みを浮かべた表情を見て、劣等感からくる憎悪をむき出しにする。そして三宅樹里の出した告発状を森内のポストから盗み取り、内容を確認して興奮している。

    他にも登場人物はいるがとりあえずメモからは割愛。

    次巻へ進む。

  •  この長〜い小説の始まりは「事件」なのだが、この著者についてはいつも感じるのだが、展開が遅い。

  • ソロモンはヘブライ(イスラエル)の王で、3000年くらい前に存在していたらしい。エジプトのファラオと世代は近い。
    決して、南太平洋の島々のことではない。昔の計算機で裏返してスケートにすると怒られるヤツでもない。ニンテンドーのモンスターでもない。

    さて、この作品は三部作で、事件、決意、法廷と続く、それぞれが上下巻で構成されている。
    14歳の少年が転落死したところから始まる。
    題名の「偽証」がテーマである。誰かが嘘を言っている、推測が間違っていることもある、それをまた推測で拡がっていく。

    大切な人の死別を当事者の視点で的確に描写されている。文字から実像が浮かび上がってくるほどに。同じクラス、学校、家庭、社会へと影響が及んでいくプロセスが描かれていて、実感を伴った。

    校内でのいじめを止めようとして揉めたことからの自殺(少し無理があるが)なのか、止めたことによる殺人なのか、に注視させられる。それを強調しているのが告発文だ。誰が出したのかが本作で明らかにされる。

  • 初めての宮部先生の作品。有名な作品なので、つい選びましたが、もっと軽い作品からにすれば良かったと少し後悔。
    人物描写が細かいですね。登場人物の人間関係や心の動きや性格深部にまで入り込んでいます。
    この細かい描写が今後どのように物語の中で生きてくるのか注意したいと思います。
    登場人物も多いので、メモ書きして読み進めています。
    果たして私は完結まで読み終えられるだろうか?

  • 面白かったが、読むのに体力が必要。
    時間があるなら一気に読み進めた方が面白いかもしれない。
    話が進んで行くに連れ、面白さが増していくので、1・2章辺りはサッと読むのがポイントかな、、と。
    初めて宮部みゆきさんの作品を拝見したが、重厚感があって、読んだ後に色々と考えさせられるような、なんとも言えないジットリ感があって好きだなぁ、と個人的には感じた。

  • 20代の頃、宮部みゆきの長編小説はほとんど読んでしまったので、久しぶりに読んだ宮部みゆきの作品。

    本書の半分くらいまでは、
    「宮部みゆきって、こんなに読み難かったかなぁ?」という感じで、全然進まない。。。

    しかし、後半、少しずつ物語が動き出してきた気がする。

    これからどうなるのか期待大。

  • 想像していたのとはちょっと質の違う怖さがじりじりと迫ってくる1巻。
    本題はまだまだこれからのはず。
    早く2巻が読みたい。

  • 長編6冊構成の1冊目、登場人物の性格やキャラクターの表現力がいつもながらに素晴らしい。

  • おもしろいに違いないと信じて読んでる

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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