ソロモンの偽証: 第II部 決意 上巻 (新潮文庫)

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著者 : 宮部みゆき
  • 新潮社 (2014年9月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369372

ソロモンの偽証: 第II部 決意 上巻 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 第一部では事件の重さに憂鬱な気分だったのに、第二部はすごく面白い。
    面白すぎます。
    藤野さんのこと第一部の時より好きになった。
    震えながら負けまいとする彼女は格好いい。
    神原くんはちょっと怪しい気がする。
    ミステリアスだ。何が目的?ドキドキしてしまう。
    そして三宅さん。彼女がどうなるのかがこわくて仕方ないけれど、暗いトンネルを抜けてほしい。
    誰かが引っ張り出してくれてもいい。
    トンネルの中で暗くて狭い一角のひびに固執していたんだと気付かせてほしい。

    それにしても親って大変ですね。
    先生も難しい仕事だ。
    大人だから間違えないなんてことはない。
    でも子供を守る立場だし、導く立場なのだと考えたら重圧に押しつぶされそうだ。
    この物語に登場する大人達の中には正直係わりたくないと思う人も少なくない。
    なんなのこの人、これで教師だなんて、自分の子供に対してこんなことを言うなんて、信じられない。
    そんなショックが次から次へと襲ってくる。
    でも大人が頼りないのは現実だ。
    自分を振り返ればよくわかる。
    だからこそ第三中学校の生徒達は自分自身の目と耳で真実を探し出さないといけない。
    信頼出来ない大人達が用意したものではない答えを見つけないと。

    さて、それはどんな答えなのか。
    私も見させてもらいたい。ドキドキしながらついていきます。

  •  真実を明らかにするため学校内裁判を行うことになった藤野涼子たち。彼女たちは検事役、弁護士役に分かれ柏木卓也の転落死を洗い直し始める。

     真相を追い求める涼子たちの姿がまぶしいとともに、どこか寂しさを覚えた自分がいます。と、いうのも自分も社会人に近づくにつれ、理不尽と分かっていてもどうしようもない大人の論理、社会の論理があることが分かり始め
    そしてそれに疑問を覚えることも、ましてや反抗することもなく、その論理から外れないよう行動しているからです。

     藤野涼子の学校内裁判に対し、教員たちは反対、時には恫喝まがいのことをする教員まで現れます。それはきっと彼らは大人の論理、社会の論理から終わってしまった事件を蒸し返したくない、というものがあるのでしょう。

     読んでいてそうした教員たちに反発を覚える一方で、でもそうせざるを得ない事情もあるんだろうな、と考えてしまう自分がいます。だからそうした論理に何も考えず反発できる涼子たちがまぶしくうらやましく感じました。

     ストーリーに話を戻すと、この巻は証言集めが中心で、物語的には地味な展開が続きますが、そんな中で新たな人物が登場します。学校内裁判で被告の弁護士役をすることになる神原和彦という少年なのですが、彼は事件のあった学校とは全く関係のない他校の生徒。
    そんな彼がなぜこの裁判に参加するのか? 何かしらの理由がありそうでその辺も期待大です。

    2013年版このミステリーがすごい!2位
    2013年本屋大賞7位 

  • 「森内先生も言ってたし、理科の高橋先生も似たようなことを話してた。野田君は、ああいうふうにおとなしく、無気力でダメダメなふりをしているだけなんじゃないか。なぜそんなふりをしてるのかはわからないけど、あれは仮面じゃないかってさ」
    文字通り固まってしまうほどに、健一はぎくりとした。
    「今のおまえ、カッコいいよ。それが本来の野田健一なんだろ。ずっと隠してたんだな」
    理由は聞かねぇーと、先生は笑う。
    「学校ってのは生きづらい場所だ。けっして天国でも楽園でもねぇからさ。おまえはおまえなりの処世術があるんだろ。でも、おまえはけっして駄目じゃない」
    「ましてやオチコボレでもない」と、和彦が受けた。「さっきの先生は、野田君のことをまるでわかってないって、僕も思った」
    「楠山先生はオチコボレなんて言ったんか。バカだねぇ。あの先生の目は節穴だ」
    「だけど僕、成績が」と、健一はぎくしゃくと呟いた。
    「だからそれも仮面なんだろ。おまえだけじゃねぇよ。珍しくねぇ。優等生になると、もっと生きづらくなるから。そういう奴ってのはね、高校や大学でデビューするの」
    「デビューの意味が違うと思います」大真面目で和彦が言った。「でも、わかります」
    二人が笑うのに、控えめにびくびくと、健一もちょっぴり参加した。
    確かに仮面です。何もかも仮面でした。でも先生。でも弁護人。僕には本当の秘密もある。そして、それだけは仮面じゃない。そっちが僕の本性だったー (487p)

    最近の中学生は、優等生であることも隠しておかないと「生きづらい」のか。40年前となんと学生生活は変わってしまったことか。

    宮部みゆきの真骨頂は社会派でもSFでも時代劇でもなく、少年少女が主人公になった時の瑞々しさにあると、私は思っている。時代劇やファンタジーでは時々書いていたが、社会派で少年少女が主人公なのは、もういつ以来だろうか。思い出せない。この作品が彼女の最長作品になったのは故あることなのだろう。

    宮部みゆきは最初の頃は少年に、やがては少女に対しても、自分の持っている「理想」「純粋性」を投影している様に私には思える。最初の頃はひたすら賢く純粋な少年が登場していた(代表作「ステップファザー・ステップ」)のだが、2000年頃から傷つき悩む少年少女が出始めた。それは、ひとつは社会のそれがそうなのだからもしれない。しかしそれだけではない、彼女自身も傷つき悩んだ成果なのかもしれない、と私は妄想する。そして、この作品では幾人もの主要登場人物が傷つき悩んでいる。長編になる所以である。

    この本の新潮文庫でのホームページでは、作者の肉声でメッセージがついていた。彼女の声を初めて聞いたが、そのままアナウンサーになってもいい様な美声だった。それはともかく、「ソロモンの偽証」の意味について彼女は触れていた。
    「最も賢い者が嘘をついている。最も正義感のある者が嘘をついている。最も権力と権威のある者が嘘をついている。どれがホントかを読者の皆さんが判断して欲しい」と。
    そうか、道理でソロモンと偽証を一緒に検索したら出てこないはずだ。ソロモンが偽証したという伝説があるわけではないのだ。イスラエルの王ソロモンの三つの側面を、宮部みゆきは拝借したわけだ。そうなると、ソロモンに1番近いのは、あの2人ということになる。でも、まさかね。
    2014年10月7日読了

  • 柏木卓也の死の真実を求め、生徒だけの学校内裁判を行うこととなった。弁護士役の他校の生徒が一人。不気味な存在。2016.10.20

  • 気になる気になる

  • 学校内裁判が開廷される回。

    大出俊次の柏木殺害に関しての学校内裁判が開廷された。弁護側に神原和彦、検察側に藤野涼子が付き真実を突き止めようと奔走する。事件の下調べ、聞き込みをする中で新たな事実が浮かび上がってきた。どんどん面白くなってきて、一冊がすぐに終わってしまった。

  • 「ソロモンの偽証 第II部 上巻」
    中学3年有志による学校内裁判開廷。


    本巻は、卒業制作として学校内裁判を題材とする決議から始まる。同級生の死の追求という倫理面、学校の体裁から本来はタブーとなるだろう題材を目の前に決議をとる涼子の姿は中学生らしい動揺を見せながらも勇ましい。


    学校内裁判の重要な役割である検事、陪審員、弁護人、判事 等を決めるところ、涼子が弁護人から検事に役割を変えるところ、被告人である大出を学校内裁判に引っ張り出すところ 等、注目ポイントは多いと思います。また北尾先生のいいところでのいい感じの存在感も捨てがたく、勝木という不良少女の役割も重要です。


    しかしながら一番のポイントは、弁護人である神原和彦です。他校でありながら死んだ柏木の友人として弁護人を務める彼が、不良中の不良・大出を諭す姿は中学生像を軽く越えており、更に、刑事である涼子の父親が娘に「とんでもないやつを相手にしているぞ」と忠告するシーンもありで、大活躍なのだ。


    ここまで読んできて物語の最重要人物の一人に和彦が挙がると思うのですが、彼の活躍は映画ではどのように描かれているのでしょうか。検事と並び弁護人はとても重要だと思うので、凄く気になります。


    後、気になったのが、最初は乗る気ではないように振舞っていた判事・井上康夫。涼子が高木学年主任とひと悶着あった際には、論理を武器に戦った井上。「お、こいつは今後の涼子のヒーロー候補か?」と思いきや、そうでもなかった所がなんとも。結局、判事は俺しかいないと云わんばかりに関わってくるところをみると、まだまだ中学生なんだなと思わせる。こういう中学生、たぶん多いんじゃないでしょうかw


    物語は、際重要参考人・三宅樹理を法廷に引っ張り出そうとする所で次巻へ。

  • いつまでも読んでいたい。そんな気持ちにさせる。学校裁判とは荒唐無稽な話だと読むまでは思っていたが、読んでいるうちに納得。自分も参加している気分になってくる。なぞを残したまま、最後にあの人が登場で驚かされる

  • 膨大なページ量なのにするする読み進められます。うどんのように消化できます。

    この調査するほど謎が解明される一方で新たな謎が増えていく感じ。検事だろうが弁護士だろうが一緒に真実を突き止めるんだというノリ。後は法廷で解き明かすしかないぜという行き当たりばったり感。

    法廷では「異議あり!」が飛び交い、真犯人が豹変するんだろうなぁ(ワクワク)

  • 20150621
    ひえええええええ!!おもしろすぎて読みたくないです。これ以上心をかき乱されたくないから読みたくない。
    でも、そんなわけにいかない。私も真実を、唯一無二の、絶対にある真実を突き止めなきゃいけない。暗闇の中で、霧の中で、動かず騒がず、真実は12月24日から横たわっている。どーんと横たわっている。
    ここから折り返しです。さあ第ⅱ部後半戦!

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ソロモンの偽証: 第II部 決意 上巻 (新潮文庫)の作品紹介

あたしたちで真相をつかもうよ――。二人の同級生の死。マスコミによる偏向報道。当事者の生徒たちを差し置いて、ただ事態の収束だけを目指す大人。結局、柏井卓也はなぜ死んだのか。なにもわからないままでは、あたしたちは前に進めない。そんな藤野涼子の呼びかけで、中学三年生有志による「学校内裁判」が幕を上げる。求めるはただ一つ、柏木卓也の死の真実。

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