ソロモンの偽証: 第II部 決意 上巻 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369372

感想・レビュー・書評

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  • 二人のクラスメートの死を経験した元2-Aの藤野涼子達。三年になり、夏休みを迎えようとしているが、柏木の死の真実を教師も保護者達も突き止めようとはしない。彼女達は、彼女達のこれからの為にも 真実を知る為 学校内裁判開廷をめざし始める。
    登場人物にはだいぶ慣れてきました。宮部さんの目指すところは、決まっているのでしょうが、この自殺と思われている事件を取り巻く人達の、立場とその記憶の積み重ねに読み入ってしまいます。

    榊原和彦 弁護人 他校 両親は父親が母親を殺害した後、自殺 今は養父母の元暮らす
    丹野先生 美術教師 ユウレイ 柏木と会話
    大出富子 大出祖母 火事で亡くなる

  • 二部上巻。

    まさかの展開に驚いた。中学生たちが、自分達で真実を突き止めようと動き出す。所々に違和感や不信感を感じる場面がある。後半にどう効いてくるのだろうか。これは伏線なんか。伏線なんちゃうんか!おれ、伏線に気づいてるんちゃうんか!伏線大好き!まだ多くが謎の人物もいる。今後の展開に注目。

    以下、ネタバレ有り(備忘録)。

    なんと中学校内で裁判。こういう展開になるとは予想していなかった。涼子が発起人となり、協力者を集めて、真実を突き止めることが目的とされた。
    裁判に向けて、少年少女が真剣に取り組む姿。何とも心地の良い展開だが、どこかに隅の方、闇の中に潜む何かを感じずにはいられない。
    大出家の放火事件。告発状の差出人の判明。
    柏木少年の死から始まった物語は、これから更に闇の奥へ沈んで行くだろう展開。
    森内教諭の郵便を盗んでHBSに送った垣内という隣人の女。橋田という少年が抱える何か。不良少年、大出のアリバイ。告発状の差出人、三宅樹里の企て。他校の生徒であり、どうやらまだ何かありそうな神原。何かを知っているかもしれない宿直をしていた岩嵜。協力的な北尾先生。HBSの茂木記者。
    目立つ人物は多い。裁判は彼らをどこに導くのだろうか。

    兄に見せた、柏木卓也の笑みが私の頭から離れない。
    兄の柏木宏之が見ていた弟とは。卓也とはどういった人物だったのだろうか。何かが隠れている。そんな気がする。

    読了。次巻へ。

  • 無理のある展開なんじゃ?

    とこの巻の前半はモヤモヤしていたが、後半また盛り上がってきた気がする。

    1~2巻は次から次へと事件が起こり、飽きさせない展開だったのに比べ、3巻は少しスピードダウン。

    新たな登場人物も加わり、ここからの展開がまた楽しみでもある。

  •  真実を明らかにするため学校内裁判を行うことになった藤野涼子たち。彼女たちは検事役、弁護士役に分かれ柏木卓也の転落死を洗い直し始める。

     真相を追い求める涼子たちの姿がまぶしいとともに、どこか寂しさを覚えた自分がいます。と、いうのも自分も社会人に近づくにつれ、理不尽と分かっていてもどうしようもない大人の論理、社会の論理があることが分かり始め
    そしてそれに疑問を覚えることも、ましてや反抗することもなく、その論理から外れないよう行動しているからです。

     藤野涼子の学校内裁判に対し、教員たちは反対、時には恫喝まがいのことをする教員まで現れます。それはきっと彼らは大人の論理、社会の論理から終わってしまった事件を蒸し返したくない、というものがあるのでしょう。

     読んでいてそうした教員たちに反発を覚える一方で、でもそうせざるを得ない事情もあるんだろうな、と考えてしまう自分がいます。だからそうした論理に何も考えず反発できる涼子たちがまぶしくうらやましく感じました。

     ストーリーに話を戻すと、この巻は証言集めが中心で、物語的には地味な展開が続きますが、そんな中で新たな人物が登場します。学校内裁判で被告の弁護士役をすることになる神原和彦という少年なのですが、彼は事件のあった学校とは全く関係のない他校の生徒。
    そんな彼がなぜこの裁判に参加するのか? 何かしらの理由がありそうでその辺も期待大です。

    2013年版このミステリーがすごい!2位
    2013年本屋大賞7位 

  • 前半は裁判での役割が決まっていく場面。
    後半の盛り上がりがたまらなかった。神原くんの底知れなさにドキドキする。

  • 新しく登場した和彦と健一が大活躍。特に賢すぎる和彦が読んでいて頼もしくもあり、恐ろしくもある。意外に大ドンデン返しで彼が事件の中心にいた…なんて事はないだろうな、中山七里じゃないから。

    ただ、この先の展開がどう転がるのかまったく見当がつかない。ここまでも猛スピードで読まされてしまったし。

  • 柏木卓也の死の真実を求め、生徒だけの学校内裁判を行うこととなった。弁護士役の他校の生徒が一人。不気味な存在。2016.10.20

  • 気になる気になる

  • 面白いは面白いがなっっっがい笑 宮部みゆき作品ではさもありなん。検事や判事、高校生だったら理解できるが弁護人の大人びた描写や倫理観や中学生としては厳しいかなと。あと弁護人の少年の動機が荒唐無稽過ぎて違和感あるなー。

  • 当然だが、大人は大人たちで問題を解決する。
    殺人事件かも知れないなら尚更。
    それに対して主人公達は納得できず、葛藤があり、自分たちで「学校内裁判」を行い、柏木の死に向き合う決意をする。
    配役もすすみ、学校内裁判の準備はすすみながら、問題は学校内に留まらず、マスコミなども介入して、大きな問題に。
     いくつかの別な事件も介在しており、物語は大きく蠢いていく。
     
    この時点で個人的に、柏木の死は殺人事件で、それを解決していくのかと勘繰ってしまった。まだまだ物語は続くが、完全にこの世界に取り込まれてしまった。

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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