ソロモンの偽証: 第II部 決意 上巻 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.04
  • (441)
  • (706)
  • (313)
  • (32)
  • (3)
本棚登録 : 5768
感想 : 306
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369372

作品紹介・あらすじ

あたしたちで真相をつかもうよ――。二人の同級生の死。マスコミによる偏向報道。当事者の生徒たちを差し置いて、ただ事態の収束だけを目指す大人。結局、柏井卓也はなぜ死んだのか。なにもわからないままでは、あたしたちは前に進めない。そんな藤野涼子の呼びかけで、中学三年生有志による「学校内裁判」が幕を上げる。求めるはただ一つ、柏木卓也の死の真実。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【感想】
    6巻中3巻読了。
    3巻の序盤は「学級裁判」というイベントの非現実的さからか、2巻までのシリアスな雰囲気がちょっと薄れ、「あれ?ちょっと面白くなくなってきたかも・・・」と思いましたが、そんなことありませんでした。
    3巻の、途中から終盤にかけてのヒートアップがかなりヤバかったです(笑)

    まず、大出俊次が見せた子どもらしさについて。
    今までだとただの悪人といった印象が強い彼でしたが、3巻では相当参っているのか、しおらしい面を多く見せたような気がします。
    弁護士である神原にいいように丸め込まれるシーンも多かったのが印象に残りました。
    作中でも「こども大人」と揶揄されたように、やっぱり中学生なんだな~と読んでいて安心できました。

    次に、終盤の茂木と涼子のラリーの応酬が本当に凄かった・・・
    涼子が茂木に対して手持ちのカードをうまく使って駆け引きを行ない、何とかマウントを取ろうとしていて、そのカードの出すタイミングなどをしっかり熟考しているあたり、こんな中学生いたら怖えーよ!!と読んでて思いました。
    結果、茂木との交渉も成立させたあたり、物語の大きな進展を感じました。

    また、現時点での伏線の多さも非常に気になります。
    事件の真相は勿論、1巻のはじめの公衆電話の正念のエピソード、一体「神原」は何者なのか、そして間違いなく事件の真相のカギを握っているであろう"花火師"の存在などなど・・・

    続きが気になりすぎて早く続きが読みたい!!


    【あらすじ】
    あたしたちで真相をつかもうよ――。
    二人の同級生の死。マスコミによる偏向報道。当事者の生徒たちを差し置いて、ただ事態の収束だけを目指す大人。
    結局、柏井卓也はなぜ死んだのか。
    なにもわからないままでは、あたしたちは前に進めない。
    そんな藤野涼子の呼びかけで、中学三年生有志による「学校内裁判」が幕を上げる。

    求めるはただ一つ、柏木卓也の死の真実。

    【引用】
    p254
    津崎はふと、垣内という女性を哀れに思った。
    この女性には、味方がいるのだろうか?
    誰か彼女のそばにいて、慰めてくれることはあるのだろうか?

    誰か、彼女の、そばに。
    その考えが、不意に別の方向に結びついて、津崎の思考をちょっと乱した。
    もう1人、味方してくれる者もないまま孤独の中にいるに違いない少女の顔が、瞼の裏に浮かんで消える。


    p285
    今回の騒動で、樹里は学んだのだった。
    学校というところは、被害者には弱い。
    自分が被害者であるということを訴える術を持っている被害者には、無条件で譲ってくれるのだ。


    「樹里ちゃん」
    すぐ後ろで、母の声が響いた。
    「それ、何なの。何を書いてるの?」
    ママの目はワープロの画面に釘付けだ。瞳を動かし、読み進むうちに、顔から血の気が引いてゆく。

    口をパクパクさせて、樹里は必死で空気を吸い込もうとする。胸が苦しい。血が逆流する。
    「あんた、ママを閉め出して、こそこそと何をやってるの?これは何?何なのよ?」
    答えなさい、樹里ちゃん。樹里ちゃん!樹里ちゃん!樹里ちゃん!


    p459
    「こっちが口を挟む間もないくらい、つんのめるみたいにして喋っててね。勢い余って口を滑らせた」
    何と言ったと思う?
    「“私”と言うべきところで、“うちの樹里は”と言ったんだ」


    p460
    「それがジャーナリストの仕事だ。だから、僕は取材を続けるよ。大出君にも、三宅さんにもね」
    悔しいけれど、涼子にそれを止める術はない。ない…けれど。
    まったく対抗手段がないわけでもない。

    茂木の取材を止めることはできない。阻むことはできない。だぅたら、だったら、どうするか。
    利用するんだ。


    p464
    「森内先生は、本当に告発状を受け取っていませんでした。先生に届くはずだった告発状は、途中で盗まれていたんです」
    茂木がこんなに驚くのを、涼子は初めて見た。何とも痛快だ。
    「番組の中で、茂木さん、森内先生のことはずいぶん責めてましたよね?大事な告発状を捨てちゃうなんて、無責任で無能だって。あれ、ちゃんと裏付けをとった上での発言じゃなかったんですね。けっこうまずいんじゃないですか?森内先生に訴えられたら」
    「それ、本当なのか?」
    完全に食いついた。茂木は汗をかいている。


    p524
    「お父さん、放火の手口で、“花火師”って言葉、知ってる?」
    剛は止まった。その手がずっと降りて、湯呑みをテーブルに置く。
    「何だって?今、何て言った?」
    涼子は目をパチパチさせた。なんだ、この反応は?


    「おまえたち、くれぐれも、大出君の家の放火の件には触れるなよ」
    お父さん、真面目に言ってる。
    「おまえたちが手出ししていいことじゃない。昨日も言ったろ?神原くんにも、花火師なんて言葉は忘れてしまうように言ってあげなさい」

  • 二人のクラスメートの死を経験した元2-Aの藤野涼子達。三年になり、夏休みを迎えようとしているが、柏木の死の真実を教師も保護者達も突き止めようとはしない。彼女達は、彼女達のこれからの為にも 真実を知る為 学校内裁判開廷をめざし始める。
    登場人物にはだいぶ慣れてきました。宮部さんの目指すところは、決まっているのでしょうが、この自殺と思われている事件を取り巻く人達の、立場とその記憶の積み重ねに読み入ってしまいます。

    榊原和彦 弁護人 他校 両親は父親が母親を殺害した後、自殺 今は養父母の元暮らす
    丹野先生 美術教師 ユウレイ 柏木と会話
    大出富子 大出祖母 火事で亡くなる

  • 二部上巻。

    まさかの展開に驚いた。中学生たちが、自分達で真実を突き止めようと動き出す。所々に違和感や不信感を感じる場面がある。後半にどう効いてくるのだろうか。これは伏線なんか。伏線なんちゃうんか!おれ、伏線に気づいてるんちゃうんか!伏線大好き!まだ多くが謎の人物もいる。今後の展開に注目。

    以下、ネタバレ有り(備忘録)。

    なんと中学校内で裁判。こういう展開になるとは予想していなかった。涼子が発起人となり、協力者を集めて、真実を突き止めることが目的とされた。
    裁判に向けて、少年少女が真剣に取り組む姿。何とも心地の良い展開だが、どこかに隅の方、闇の中に潜む何かを感じずにはいられない。
    大出家の放火事件。告発状の差出人の判明。
    柏木少年の死から始まった物語は、これから更に闇の奥へ沈んで行くだろう展開。
    森内教諭の郵便を盗んでHBSに送った垣内という隣人の女。橋田という少年が抱える何か。不良少年、大出のアリバイ。告発状の差出人、三宅樹里の企て。他校の生徒であり、どうやらまだ何かありそうな神原。何かを知っているかもしれない宿直をしていた岩嵜。協力的な北尾先生。HBSの茂木記者。
    目立つ人物は多い。裁判は彼らをどこに導くのだろうか。

    兄に見せた、柏木卓也の笑みが私の頭から離れない。
    兄の柏木宏之が見ていた弟とは。卓也とはどういった人物だったのだろうか。何かが隠れている。そんな気がする。

    読了。次巻へ。

  • 「森内先生も言ってたし、理科の高橋先生も似たようなことを話してた。野田君は、ああいうふうにおとなしく、無気力でダメダメなふりをしているだけなんじゃないか。なぜそんなふりをしてるのかはわからないけど、あれは仮面じゃないかってさ」
    文字通り固まってしまうほどに、健一はぎくりとした。
    「今のおまえ、カッコいいよ。それが本来の野田健一なんだろ。ずっと隠してたんだな」
    理由は聞かねぇーと、先生は笑う。
    「学校ってのは生きづらい場所だ。けっして天国でも楽園でもねぇからさ。おまえはおまえなりの処世術があるんだろ。でも、おまえはけっして駄目じゃない」
    「ましてやオチコボレでもない」と、和彦が受けた。「さっきの先生は、野田君のことをまるでわかってないって、僕も思った」
    「楠山先生はオチコボレなんて言ったんか。バカだねぇ。あの先生の目は節穴だ」
    「だけど僕、成績が」と、健一はぎくしゃくと呟いた。
    「だからそれも仮面なんだろ。おまえだけじゃねぇよ。珍しくねぇ。優等生になると、もっと生きづらくなるから。そういう奴ってのはね、高校や大学でデビューするの」
    「デビューの意味が違うと思います」大真面目で和彦が言った。「でも、わかります」
    二人が笑うのに、控えめにびくびくと、健一もちょっぴり参加した。
    確かに仮面です。何もかも仮面でした。でも先生。でも弁護人。僕には本当の秘密もある。そして、それだけは仮面じゃない。そっちが僕の本性だったー (487p)

    最近の中学生は、優等生であることも隠しておかないと「生きづらい」のか。40年前となんと学生生活は変わってしまったことか。

    宮部みゆきの真骨頂は社会派でもSFでも時代劇でもなく、少年少女が主人公になった時の瑞々しさにあると、私は思っている。時代劇やファンタジーでは時々書いていたが、社会派で少年少女が主人公なのは、もういつ以来だろうか。思い出せない。この作品が彼女の最長作品になったのは故あることなのだろう。

    宮部みゆきは最初の頃は少年に、やがては少女に対しても、自分の持っている「理想」「純粋性」を投影している様に私には思える。最初の頃はひたすら賢く純粋な少年が登場していた(代表作「ステップファザー・ステップ」)のだが、2000年頃から傷つき悩む少年少女が出始めた。それは、ひとつは社会のそれがそうなのだからもしれない。しかしそれだけではない、彼女自身も傷つき悩んだ成果なのかもしれない、と私は妄想する。そして、この作品では幾人もの主要登場人物が傷つき悩んでいる。長編になる所以である。

    この本の新潮文庫でのホームページでは、作者の肉声でメッセージがついていた。彼女の声を初めて聞いたが、そのままアナウンサーになってもいい様な美声だった。それはともかく、「ソロモンの偽証」の意味について彼女は触れていた。
    「最も賢い者が嘘をついている。最も正義感のある者が嘘をついている。最も権力と権威のある者が嘘をついている。どれがホントかを読者の皆さんが判断して欲しい」と。
    そうか、道理でソロモンと偽証を一緒に検索したら出てこないはずだ。ソロモンが偽証したという伝説があるわけではないのだ。イスラエルの王ソロモンの三つの側面を、宮部みゆきは拝借したわけだ。そうなると、ソロモンに1番近いのは、あの2人ということになる。でも、まさかね。
    2014年10月7日読了

  • 2020年から2021年にかけての年末年始はコロナ禍で帰省も旅行もできなくなった分、自宅で少し時間がとれそうだったので、この機会にゆっくりじっくり読もうと思ってホクホクしながら(積読が他に山ほどあるにも関わらず)この「ソロモンの偽証」の文庫本全6冊を抱えて書店から帰ってきました。
    いざ年末になって、1巻を読み始めたその日、ページを捲る手がどうしても止まらず、年末年始どころか、わずか2日間で文庫6冊を「読まされて」しまいました。

    圧倒的な筆力と1冊500ページを超える文庫6冊という暴力的な物量を使って語られるのは、中学2~3年生が主役のジュブナイルであり、彼ら彼女ら一人ひとりの成長や踏み出した一歩を描く群像劇(「あんたたち七人の侍みたいね」と藤野邦子が評しています)であり、そして見どころ読みどころの解説付きの上質なリーガルサスペンス(大岡昇平の「事件」みたいに、と野田健一が語っています)です。
    宮部みゆきの他の作品と比べてもその魅力は頭抜けています。まさに代表作、金字塔と言うにふさわしいと思います。




    以下、ネタバレあります。
    できるだけ興を削ぐようなことは書かないように気を付けます。でも例え粗筋であってもネタバレと感じる人はいると思いますので、ある程度はご容赦を…。




    柏木卓也の死に端を発した事件から半年。
    その後、浅井松子が死に、井口充は大怪我をし、大出家は火事になって俊次の祖母が亡くなり、2-Dの担任だった森内先生と、かつての校長津崎先生はいずれも辞職して学校を去りました。

    もともとの事件は、それが殺人事件だとする告発状にも関わらず、警察の自殺であるとの結論は変わらないまま。クラスメイトを失い、担任と校長を欠き、ニュース番組とマスコミの取材と複数回にわたる保護者会とを経て、傷つけられた2-Dのクラスメイトの気持ちは放置されたままでした。
    事件から半年後、夏休み前の体育館。卒業制作の話し合いを行う体育館で、藤野涼子が持ち出した提案は、真実を明らかにするため、この事件の裁判をしたらどうだろうというものでした。

    中学生が実際の重大事件について模擬裁判をするという荒唐無稽な舞台設定は、そんなことをねじ伏せるほどの作者の書き込みによって、不自然に思わなくさせられ、逆に、藤野涼子や野田健一と一緒に一喜一憂するほど入れ込んで読み進まざるを得ませんでした。

    優等生だと思っていた藤野涼子の意外な行動に激高した高木先生の体罰を逆手にとって、学校内裁判を認めさせた「戦闘態勢に入った」藤野邦子に快哉を叫び、岡野先生すら論破する学年トップの優等生、井上康夫の無関心から判事への就任に苦笑し、北尾先生の思ってもみなかった厚意と連れてきた意外な陪審員候補に温かさを感じ、勝が暴力で支配し、俊次ですら抵抗することができない大出家の内情に唖然とし、その中で藻掻く俊次にほんの少し同情し、校外から参加した弁護人候補の神原和彦の登場に驚きと不審を感じ、弁護人から検事役に回らざるを得なかった涼子の心中に同情し、陪審員が揃ったことに安堵します。

    関係者があっという間に膨れ上がり、巻頭に「登場人物相関図」が掲げられますが、きちんと描きこまれ、キャラ付けされているため、自分はほとんど相関図を見ずに済みました。蒲田教子と溝口弥生とがどっちがどっちか区別がつかなかったぐらい。
    それよりも「七人の侍」が出てきたように、それぞれの動機を持った多様な同級生たちが裁判に参加してくる様子に心躍らせながらページを捲りました。
    とにかく理屈っぽい井上康夫と、社交辞令を真に受けた倉田まり子に引っ張り出されたスーパーマン山崎晋吾の2人がお気に入りです。

    そしてキーマン神原和彦。
    私立の中高一貫校に通う彼は柏木卓也の友人だったようです。理知的な振舞の裏にある不幸な過去は、親に殺意を抱くという深刻な経験をした野田和彦と一緒に過ごすうちに明かされます。明らかに他の生徒とは違う目的がありそうな、しかし弁護人としては極めて有能そうな彼の一挙手一投足から目が離せません。

    未熟ながらもそれぞれ魅力的な中学生たちが揃う、不穏な1巻、混迷の2巻に続く、キャラの3巻です。


    裁判の参加者が決まって、本格的に調査が始まってから、舞台設定の妙が光ります。中学生が実際の事件について話を聞きに行っても不自然でない仕組みが成立しているのです。
    宮部みゆきの作品で、素人、それもティーンズが探偵役をやっている作品は、「魔術はささやく」のように不自然さを感じるか「夢にも思わない」のように全く何もできず、警察から状況を聞くかのいずれかだったのですが、今回はそれがありません。
    事情を聞くほうは変に嘘をついたりとりつくろったりすることなく堂々と事情を聴き、事実よりもその当時の事情をしっかりと聞き出しています。
    さらに、物証に乏しくても、行動や証言が、事情や証言者の感情が常識的に納得できるものであればそれが真実であるというこの裁判の特徴が、関係者の証言を聞く生徒たちの姿に真剣みを加えます。

    検事チームも弁護人チームも、相手が大人だろうとプロであろうと臆さずに向かっていきます。柏木家で真摯に話を聞き、本物の弁護士の風見先生や河野探偵とも堂々と渡り合います。
    なかでも、HBSの茂木と涼子との交渉シーンはこの間の白眉です。情報のリークを餌に、取材の禁止と、さらに証言を勝ち取るさまを涼子の内心に即して活写する筆の冴えに、涼子たちが勝ち得た成果を胸のすく思いで読むことができます。


    森内先生の名誉が挽回され、縺れた糸の一端がほぐされようとする兆しが見える一方で、大出家の事情、そして神原和彦の事情など、気になる点が浮かび上がってきました。

    なお、一度6巻まで読み終わってからすぐに読み返していますので、これまで同様、伏線や手掛かり、ミスリードを誘う仕掛けを探しながらの再読が楽しめます。犯人と、トリック(は別にないかな)が分かった後でも、読んで楽しい、そんなミステリです。

  • 第一部では事件の重さに憂鬱な気分だったのに、第二部はすごく面白い。
    面白すぎます。
    藤野さんのこと第一部の時より好きになった。
    震えながら負けまいとする彼女は格好いい。
    神原くんはちょっと怪しい気がする。
    ミステリアスだ。何が目的?ドキドキしてしまう。
    そして三宅さん。彼女がどうなるのかがこわくて仕方ないけれど、暗いトンネルを抜けてほしい。
    誰かが引っ張り出してくれてもいい。
    トンネルの中で暗くて狭い一角のひびに固執していたんだと気付かせてほしい。

    それにしても親って大変ですね。
    先生も難しい仕事だ。
    大人だから間違えないなんてことはない。
    でも子供を守る立場だし、導く立場なのだと考えたら重圧に押しつぶされそうだ。
    この物語に登場する大人達の中には正直係わりたくないと思う人も少なくない。
    なんなのこの人、これで教師だなんて、自分の子供に対してこんなことを言うなんて、信じられない。
    そんなショックが次から次へと襲ってくる。
    でも大人が頼りないのは現実だ。
    自分を振り返ればよくわかる。
    だからこそ第三中学校の生徒達は自分自身の目と耳で真実を探し出さないといけない。
    信頼出来ない大人達が用意したものではない答えを見つけないと。

    さて、それはどんな答えなのか。
    私も見させてもらいたい。ドキドキしながらついていきます。

  • シリーズ3作目。
    学校内裁判の立ち上げと準備。

    高木先生に涼子が臆さず本音を主張したところ、かっこよかった。
    新たな登場人物であり、優秀な神原くんの存在が心強くもあり、本当のところはなぜ他校の学校裁判に参加しているんだろうと…と若干不穏な気持ちにもなる。

    時間で三宅樹理がどう出てくるか気になる。

  • 藤野涼子が初っ端からトップギアで動くのは爽快である。高木教諭とのやりとりは高木教諭に分が悪い、感情だけの怒りだけで論理的でない。反面、副委員長の井上の方は論理的すぎる。
    涼子を中心に行夫、健一、まり子が集う。そこに大出の元カノのケイコが加わり、大出の事がわかり始める。
    ここまでの各人の考えや想いが複雑な模様を描いて、今後の展開にわくわく感を与えてくれた。

    学校内裁判へ向け涼子が動く、高木は陰で阻止しようとするのが滑稽に映る。真実の追求に向けて有志たちが、弁護士側、検事側、陪審側、そして判事を決めて行く。今まで憶測で動いていた事が明らかになっていくのは、宮部みゆきさんのミステリーらしさが出ている。

    しかし、ひとりひとりの登場人物とその背景が見事に整理されて描写され、よく練り込まれている作品だ。長編だが、軸がしっかりしているのでブレないし、読んでいて時間を忘れてしまうほど引き込まれていく。

  •  面白くなってきました。

  • 前代未聞の学級裁判。新しく集うクラスメイト、そして事件に積極的であれ消極的であれ、関わろうとする大人達、、、とにかく面白い。物語的には調査パート。

全306件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

宮部みゆきの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×