螻蛄(けら)―シリーズ疫病神 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (756ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101370156

作品紹介・あらすじ

信者五百万人を擁する伝法宗慧教寺。その宗宝『懐海聖人絵伝』をめぐるスキャンダルに金の匂いを嗅ぎつけた、相性最悪の二人組、自称建設コンサルタントの二宮とイケイケ経済ヤクザの桑原。巨大宗派の蜜に群がる悪党どもは、腐敗刑事、新宿系極道、怪しい画廊の美人経営者。金満坊主から金を分捕るのは誰か。東京まで出張った最凶コンビの命運は?-。

感想・レビュー・書評

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  • 極道の桑原とカタギの二宮がコンビを組む疫病神シリーズの第4弾。いつも通り大阪中心にカネを追って様々な土地を訪れるハイテンションでスピーディーな展開。その中で2人のボケツッコミ会話が絶妙なタイミングで挿入される。今回はそれに加えて二宮が飼うオカメインコがいい味を出している。

    今回の2人のターゲットは宗教法人が保有する時価数千万円の絵巻物。光に集まる蛾のごとく、巻物をめぐり、桑原・二宮コンビや宗教法人の経営者と坊主、美術館経営者、ヤサグレ警官、東京のヤクザが群がる。

    それにしても、ヤクザの世界と宗教の世界はよく似ている。どちらもその世界をよく知らないカタギ、信者から合法的にカネをどれだけの引き出せるか。それこそが、それぞれの世界で上を目指す権力者たちに必要な能力だ。

    そんな世界をどうにか泳ぎきった疫病神コンビ。しかし、その儲けはイマイチ。

  • 疫病神シリーズなので買った一冊。

    相変わらず楽しいコンビだった。

    今回は宗教に関する話だったが、このシリーズは毎回人物や組織の関係が難しい。

    この「螻蛄」の小説も一冊が結構厚い本だったが、コンビのやりとりが、面白く本の厚さを感じる事なく読み終えた。

    この小説の作家黒川さんの小説は疫病神シリーズしか読んだ事がない。
    疫病神シリーズ以外ね本も読んでみたくなった小説でした。

  • 桑原と二宮のコンビ

    今回は宗教ネタで「懐海聖人絵伝」を求め人、金、ヤクザが踊り出す
    騙し騙され、殴り殴られ、遂に無敵の桑原が、、、

    二宮の桑原相手に駆け引きと金をせびる姿は到底堅気とは思えない根性が好き


    疫病神シリーズ第4段
    今回もテンポが良く読んでて飽きが来ない。このシリーズはコンプリートすべき作品だと再認識した。




  • 黒川博行〈シリーズ疫病神〉の4作目。私にとっては3作目(『破門』『国境』と順番バラバラ)。

    建設コンサルタントの二宮とイケイケヤクザの桑原が、好むと好まざるとにかかわらず一緒に行動する、というか、もっばら二宮が巻き込まれる形で桑原に引き摺りまわされるのは毎度おなじみ。今回はとある仏教系巨大宗教団体のお宝である絵伝の巻物を巡る争奪戦。宗門争いに東京ヤクザが一枚噛んで、そこに桑原の親分の元愛人の美人画商が絡む。

    東京に乗り込んだ桑原と二宮は生臭坊主たちと渡り合うが、東京ヤクザも黙ってはいない。だがそこは我らが桑原さん、東京ヤクザの三下どもを次々に病院送りにする。その巻き添えを食った二宮も顔をボコボコにされるのだが。

    暴対法が改正されて極道にとっても生きづらい(笑)世の中になったしまったので、桑原さんの活躍も今ではロマンになってしまったかな。
    黒川さんの作品は女の人が酷いことされたりしないので、ほんと、女性にもおすすめです。極上極道エンターテインメント。

  • 建設コンサルタントの二宮とヤクザの桑原が宗宝を巡るスキャンダルに乗り込み、金を稼ごうと悪巧みをするが宗教内部の争いや腐敗刑事が出てきて事態は混乱して行く。
    漫才のような会話でリズムが良く読む事が出来る。ただミステリ要素は少なくヤクザの争いや宗教の内部紛争、金の争いがメイン。ドタバタアクションといった感じ。面白いがパターン化してしまいそうな設定だった。

  • 快調の疫病神シリーズ第4作。巨大寺院の宗宝をめぐるシノギに、金の亡者たちが乱戦を繰り広げる。
    タイトルの「螻蛄」は、無一文を意味する「おけら」と、人を蔑んで呼ぶ「虫けら」のWミーニングでしょうか。

    信者五百万人を擁する伝法宗慧教寺。その宗宝『懐海聖人絵伝』を巡るスキャンダルに金の匂いを嗅ぎ付けた、相性最悪の"疫病神"コンビ、建設コンサルタント・二宮啓之と二蝶会幹部のイケイケ経済ヤクザ・桑原保彦。巨大宗派の蜜に「虫けら」のごとく群がるのは、大阪府警の腐敗刑事・美濃、新宿系極道・勢羽組、怪しい画廊の美人経営者・稗田涼子ら有象無象の金の亡者たち。金満坊主から金を分捕るのは誰か。東京に出張った最凶コンビの命運は?

    今作から二宮が飼い始めたオカメインコの「マキ」。その調子っぱずれ鳴き声がノワールなこのシリーズに異様な"癒し"をもたらしています。
    さて、今回のシノギは巨大寺院の宗宝と、寺の勢力争いに絡んだ裏金の分捕り合戦。
    「坊主丸儲け」を地で行くような腐れ坊主ばかりが登場。そしてその利権に吸い寄せられるように湧いてくる強欲な者ども。
    いやぁ、今作も欲の皮が突っ張った連中のオンパレード。そのあくどさは、疫病神コンビがかわいく見えるほど。
    大阪府警の腐れ刑事・中川はほとんど出てこないものの、美しい画商・稗田涼子が裏金争奪戦の背後で怪しく糸を引き、不気味な存在感を示すのが印象的でした。

  • 疫病神コンビのボケツッコミの会話が面白くて一気読み

    内容は物騒だけど声だして笑えました


  • 信者五百万人を擁する伝法宗慧教寺。その宗宝『懐海聖人絵伝』をめぐるスキャンダルに金の匂いを嗅ぎつけた、相性最悪の二人組、自称建設コンサルタントの二宮とイケイケ経済ヤクザの桑原。巨大宗派の蜜に群がる悪党どもは、腐敗刑事、新宿系極道、妖しい画廊の美人経営者。金満坊主から金を分捕るのは誰か。東京まで出張った最凶コンビの命運は? 人気シリーズ「疫病神」最新刊。
    (2009年)

  • イケイケ極道くーさんのシリーズ。相変わらずぶっ飛ばしてます。素敵です。二宮がくーさんを評して「喧嘩の星の王子様」って言ってるんですが、まさに。んで、今作は宗教絡みのゴタゴタ。もうね、これ読むと葬式したり、戒名もらったりするのがアホらしくなります。坊さん、カネまみれ。そこにつけ込んで、ちゃっかりシノギにしようと目論む我らがくーさんですが、果たして。

    今作でもけっこう、くーさんケガしちゃってました。そんな若くないのに、大丈夫なんかなぁ?

  • いつも登場人物の多さに混乱しそうになっちゃうけど、桑原と二宮の会話のキャッチボールのリズムの良さが相変わらず楽しかった。クールないとこの悠紀ちゃんとのやりとりも大好き。そして、主役2人がどこまでもゲスい。気持ちよくなるくらいにお互いに自分のことしか考えておらず、あっぱれ!

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著者プロフィール

黒川博行
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業後、会社員、府立高校の美術教師として勤務するが、83年「二度のお別れ」でサントリミステリー大賞佳作を受賞し、翌年、同作でデビュー。86年「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞、96年『カウント・プラン』で推理作家協会賞を、2014年『破門』で直木賞、20年ミステリー文学大賞を受賞した。

「2022年 『連鎖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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