- Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101371733
感想・レビュー・書評
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同じことを繰り返し繰り返しなぶるような内容で、冗長に感じた。こういう女の子はいっぱいいて、ほんとうの狙いはあるものの実際にはできなくて、という面もまさにそれ。内面描写が上手で最後まで読めたが、途中からは退屈に感じはじめてしまった。
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後味が悪すぎる~。
恋愛が良いものだとおもえなくなる本。
確かにああいう、小悪魔?的な人っているけど男の人がそうなるとタチがわるい。まぁ、抜け出せない女の人も悪いのかもしれないけど。 -
20歳くらいの時の恋愛を思い出した。傷ついているのに傷ついていることを認めたくなかったなぁ。
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本谷有希子さんが可愛いことに気付いたので、どんな本書いてんだろ、と試しに読んでみました。
女性と分かっていて読んだからか、女性作家特有のドロドロ感が心地良くはありましたが、なんだか気に食わないやつしか出てこない小説でした。
やたらとモテる嘘つき男と、そいつを好きになったフリをしているようで、実は本当に好きになっているような感じの主人公と、その主人公を小馬鹿にするモテ男の友達、、、
特にモテ男の口車に乗ってるフリをしているハズなのに、なんか女出しちゃう感じの主人公がなんともムズムズしました。 -
あー、めんどくせぇ!でもこのめんどくせぇのにハマってますわ。
いいところなーんにもない。自己中心的な小説をわざわざ書いてるんだろうね。
イヤミスと同じ括り。怖いものみたさのみ。 -
文庫版解説にある「弱火でずっと沸騰している感覚」という文言が非常にしっくりときた。
本谷有希子の作品は好き嫌いの激しいものが多いと思うけど、そのぶん宗教的、熱狂的な人気もある。
ただし今作はその信者でさえもふるいにかけるような挑発的な作品だと思う。 -
野間文芸新人賞
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欲望と欲望は惹かれ合う。欲を重ね合う私たちはどこまでが本当でどこまでが嘘かなんてわからない。それは実に滑稽に見えるけれど同時にそれがリアル、でもある。
僕たちが紡ぎ出す言葉や行動は滑稽でなんの思考も介さない浅はかなものに他人の目からは写るだろう。だがその過程には、並々ならぬ葛藤と迷いと、欲望やらが飛び交っているのだ。
この作品は終始熊田の脳内での会話を描いている。手に取るように熊田が感じられ、熊田という女性が自分の中の人格のうちの一人なんじゃないかと錯覚するような読書体験だ。共感はしないけれど、お腹の中の何かを煮えくり返されるようで面白かった。 -
(01)
罪や罰,自意識,渇きと潤いというさまざまな連関があり,中盤あたりを読み進めるうちに,ふと,ドストエフスキーの独白に思い当たった.
文庫版の解説にもあるように,確かにこの小さな物語は,主人公の女性の長いモノローグ(*02)であったのかもしれない.そこには他者が存在しているようでもある.男性,女ども,家の歴史,水,そして他人のような自分など,モノローグを語る主体の存在の危うさも示され,主体が他者の関係性の間にか発生していないようにも思える.
対話や会話の内容はいつも嘘であること,その嘘を成立させている身体や物の方にアイデンティティの対象が向いてしまうのは,そちらの即物の間の関係のほうがより安定的であるからでもあるだろう.その論理からすれば,物を動かすほどの言葉,つまりは「ぬるくない」嘘に痺れる(*03)ほどの価値があるのは必然でもある.
(02)
人称の問題もある.彼女ら彼らはなぜきらびやかな名をもたず姓としてあるのか.1箇所ほど主人公の名が音響されるセリフがあるのはなぜか,僕や俺や私にこだわるのはなぜか,こうした問題は,ドストエフスキー的なモノローグや,物レベルに築かれる安心な関係性にも絡みつく.
個や個性が匿名になってもいいような,匿名になりかけの地点が目指されていることには好感がもてる.その地点が地獄であり,そこを行くものを鬼と呼ぶのかもしれない.
(03)
この痺れは,おおよそ笑いと同義であろう.笑われることは侮辱されることでもある.こうした痺れ,笑い,侮辱が言葉ではなく,それも物の水準にあって,水面に波紋を織りなすものであることに注意したい.