おそめ―伝説の銀座マダム (新潮文庫)

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著者 : 石井妙子
  • 新潮社 (2009年3月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101372518

おそめ―伝説の銀座マダム (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • [無垢なる夜の精]戦後間もない頃に「おそめ」という名のバーを京都と銀座に開き、文芸界に属する人々をはじめとした著名人を文字通り虜にした上羽秀。そんな彼女に期せずして魅せられてしまった著者が、浮き沈みのあった秀の人生と、一筋縄ではいかなかった往時の人間模様を記した作品です。著者は、約5年をかけて本作を執筆したという石井妙子。


    川端康成や大佛次郎、小津安二郎や白洲次郎と、「おそめ」に通った人物たちの名前をあげれば、いかに「おそめ」がとんでもないバーであったかが察せられると思うのですが、本作では何故に「おそめ」がこれらの人々を魅了したか、そしてその魅力ゆえに彼女自身はどのような苦労を経験しなければいけなかったかが丁寧に記されており、(まったくもって良い意味で)まるでよくできた脚本を読んでいるかのようでした。石井女史により書かれなければ、「おそめ」は誰しもの記憶からいつか消えてしまったであろうことを考えれば、単なる読み物以上の意味を有しているのではないでしょうか。


    「おそめ」を軸に戦後から高度成長期にかけての京都、そして銀座の変貌ぶりがわかるのも興味深い点。特に(?)一世代ぐらい前までの人々にとって「銀座」という響きが有していたであろう艶やかかつ「大人もの」の雰囲気の淵源が、「おそめ」を始めとした銀座のバー、そして雇い上げた(当時は女給と呼ばれていたようですが)ホステスではなく、自身の魅力で勝負を賭けたママたちにあったことがよくわかりました。

    〜うちはほんまに可愛がられました、せやけど、その分、憎まれました。〜

    自分もいつかは銀座が似合うオトナに......☆5つ

  • サブタイトルの通りの伝説の銀座マダム。男の小説家が書くヒロイン(化粧をしなくても美人、いるだけでそこが輝いている、芯が強いけど男を立てて万事に控えめ、自分からなにもしなくても男たちが寄ってたかっていろいろとやってくれる、etc…)って、女の私から見てどうもピンと来なくて、そんなキャラって男が都合よく作っているだけじゃないのか?って思っていましたが、「おそめ」を読んで、そういうキャラの人がほんとうにいたんだ、ということにまずびっくり。これでは錚々たる文士たちが放っておかないわけだ、と納得しました。おそめと対比されて登場するエスポワールのマダム川辺るみ子はおそめとは対照的に一所懸命にがんばっちゃうキャラで、晩年は辛いことが多かったようだけど、凡人の私としてはるみ子さんのがんばりに1票投じたい感じでした。

  • 「血の通った人間というより、何かの精のようだった」

    京都の花街にある店で、友人が祇園のバーで見掛けた
    という美しい老女。過去に「おそめさん」と呼ばれた老女は、
    川口松太郎の小説『夜の蝶』のモデルともなった、有名な
    バーのマダムだった。

    会ってみたいと、著者は思う。表舞台から「おそめさん」が姿を
    消して数十年が経つ。それでも、会ってみたい。話を聞きたい。

    著者が「おそめさん」との邂逅を果たす、この序章だけでがっし
    と心を鷲掴みにされた。

    京都と銀座にバー「おそめ」を開き、飛行機で二つの街のを
    行き来したことから「空飛ぶマダム」と言われた伝説のマダム。

    その生涯を追う作業は決して楽ではなった。著者が念願叶って
    会うことが出来た「おそめさん」こと、上羽秀は穏やかだが寡黙
    な人だった。

    秀さんご本人から話を引き出すことが難しかった為か、彼女を
    取り巻く人々やモデルとなった作品、週刊誌等の報道から
    ひとりの女性の反省を描き出している。

    文壇や政財界、映画界の多くの男たちを魅了し、同性からは
    嫉妬のまなざしに晒され、それでも天性のものなのか誰の
    悪口も言わず、流れに任せたように見えながら強靭な芯を
    持った女性だった。

    商売も損得ずくではない。お客さんに気持ち良く遊んで欲しい。
    そして、そんなお客さんたちの相手をして飲んでいるのが楽し
    くて仕方がない。

    天真爛漫とでもいうのだろうか。世間のことには疎く、金銭に
    もこだわならい。華美に着飾ることはしないが、気前はいい。

    本書にはいくつかの写真が掲載されている。確かに美しい
    人ではあるが、絶世の美女ではない。だが、本書を読み進み、
    上羽秀という女性を知るごとに、奇跡的な魅力を備えた人
    だったのだろうなと感じた。

    昭和30年代の銀座で、「そそめ」と覇を競った「エスポワール」
    のママ・川辺るみ子や、秀の母・よしゑ、妹・掬子、娘・高子等、
    秀を取り巻いた人々も興味深い。

    そして何よりも本書に惹きつけられるのは、著者の上羽秀と
    いう女性に向けられた深い愛情だろう。

    食事を終え、迎えの車を待つ秀と著者。その夜の情景を描いた
    ラストシーンは、読み終わってじわじわと胸に迫り、切なさと
    温かさの余韻に包まれた。

    本当なら一気に読んでしまいたかったのだが、読み終わるのが
    惜しくて少しずつ読んだ。こんな作品、久し振りだ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    かつて銀座に川端康成、白洲次郎、小津安二郎らが集まる伝説のバーがあった。その名は「おそめ」。マダムは元祇園芸妓。小説のモデルとなり、並はずれた美貌と天真爛漫な人柄で、またたく間に頂点へと駆け上るが―。私生活ではひとりの男を愛し続けた一途な女。ライバルとの葛藤など、さまざまな困難に巻き込まれながらも美しく生きた半生を描く。隠れた昭和史としても読める一冊。

  • 銀座を華麗に彩った女性の半生をかなり詳細に書いてあります。その現実場馴れした生い立ち、生涯に思わず、フィクションかな?と思えるほど、数奇な人生を送った伝説のマダム。
    こういった華やかな時代が銀座に本当にあったのだなぁと全く世代が異なるわたしはただただ驚き、そしてこの時代に伝説とまで呼ばれる存在になった女性と関われた人々を羨ましく思いました。

  • 夜の蝶と呼ばれる女の世界が生々しく描かれた作品。文豪やタニマチも実名で登場。主人公おそめの生き様は清らか。身なりは地味に、男性を立て、義理堅く、稼いだお金は潔く使う。また、お客様に対するサービス精神も学ぶところがある。共感出来るところが多い一冊。

  • よく調べた

  • 夜、酒の入った時の話は皆したがらないだろうし、当時のお客さんも鬼籍に入られた方が多い中、取材には大変な苦労をされた事と思う。しかし、文壇の大先生、各界の著名人を集めたという秀の魅力、おそめの本当の魅力は言葉に表せない所に有るようにも感じた。夜の世界の何か上澄みだけを飲まされているような感覚が拭えない。
    年をとり、幻覚と現実の境目を失い始めた秀を見つめる著者の目線は暖かく、秀やその家族を守るためにあえて書かないことも多かったのではと推測した。そういう点では単なる暴露本ではない優しさをもったノンフィクションだったのかな。

  • 時代が変わり、男女の役割や定義も変わる
    ただ、変わらないものがあるから感動がある

  • かつて銀座に川端康成、白洲次郎、小津安二郎らが集まる伝説のバーがあった。その名は、おそめ。マダムは、元京都祇園の芸妓。小説のモデルにもなった方である。

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おそめ―伝説の銀座マダム (新潮文庫)の作品紹介

かつて銀座に川端康成、白洲次郎、小津安二郎らが集まる伝説のバーがあった。その名は「おそめ」。マダムは元祇園芸妓。小説のモデルとなり、並はずれた美貌と天真爛漫な人柄で、またたく間に頂点へと駆け上るが-。私生活ではひとりの男を愛し続けた一途な女。ライバルとの葛藤など、さまざまな困難に巻き込まれながらも美しく生きた半生を描く。隠れた昭和史としても読める一冊。

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