- Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101374314
作品紹介・あらすじ
舞台は中国唐代。元エリート県令である父親の財に寄りかかり、ぐうたら息子の王弁は安逸を貪っていた。ある日地元の黄土山へ出かけた王弁は、ひとりの美少女と出会う。自らを僕僕と名乗るその少女、実は何千何万年も生き続ける仙人で…不老不死にも飽きた辛辣な美少女仙人と、まだ生きる意味を知らない弱気な道楽青年が、天地陰陽を旅する大ヒット僕僕シリーズ第一弾!「日本ファンタジーノベル大賞」受賞作。
感想・レビュー・書評
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仙人との恋。というのだろうか、そうではないような気もする。中国の歴史の中での話なので、よく時代背景がわからない所もあるが、温かさを感じる物語であった
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優しいファンタジーです。
中国☓ファンタジーとは、私の読書遍歴ではついぞ合体しづらいテーマでした。ファンタジーといったら、ヨーロッパ・北欧・中世のイメージだったからです。
なので、巻末に「日本ファンタジーノベル大賞受賞」と書かれていたときには?どんなものやら見当がつけづらかった。
過去の読んだことがあったのは、田中芳樹さんの纐纈城綺譚 (こうけつじょうきたん)くらいです。これも挿絵が私の好きな藤田和日郎さんだったから買ったわけで、それくらい肌に合うかわからない作品でした。
さて、どうだったか。というと、優しく、2人の心の機微を描いてくれる作品でした。生き死にでスパイスをつけられるのに、少し辟易してきたのでしょうか?
そういった描写なしに、唐の時代を舞台に人の世と、神の世、そしてその間に存在する仙界を語る口調に好感がもてます。
実は地名もファンタジーにあっているのかもしれませんね。何しろ実在の地名を言われてても、現実味が少し弱いですから(そう考えると、中国という地は私にとって、歴史的な地であると同時にファンタジックな場所かもしれません)
僕僕先生と王弁の可愛いやり取りに心が癒やされました。
二巻以降も刊行されているようですね。じっくり読ませてもらいます。 -
なかなか楽しめた。読みやすい文章だったのでサーッと最後まで気楽に読めた。
ただ中国の人名や地名には終始ふりがなを振って欲しい。 -
面白かったー!王弁と一緒に僕僕先生について、中国を旅してるような気分になります。
僕僕先生ったら、お茶目なんだよなぁ。最早何千歳かもわからんようなお年なのに、あのお茶目っぷりは何なんだ!達観すると一周回って子供みたくなるのか?笑
所々差し込まれる、弁の青春桃色全開な悩みがまた面白い。それをさらりと受け流す先生も、流石というべきか。
後半の弁は、本当にしっかりどっしりしてきましたね。次巻はどんな二人が見られるのか楽しみです! -
wikiにはファンタジーノベル大賞受賞作に珍しく「ライトノベル的」だと評されていたが、キャラや展開のテンポで魅せるライトノベル的な話…ではなく。鷹揚に構えつつのほほんとしているけれど、中国モノの骨太さもある、読んでいて気持ちの良い文章だな、と思う。
もちろん、僕僕先生はじめとするキャラクターも魅力的なのは間違いなく。
続編以降も読んで、彼らの旅と王弁の仙骨がどうなるのかを追っていきたいと思った。 -
古代中国。王弁という名の青年が、父親の財産で働かなくても一生食べてお釣りが来る事に気づきニートになる。そのニートが仙人に出会うことから旅が始まるストーリー。シンプルに羨ましい。
太平楽がウリの王弁には仙人になるための仙骨(精神を支える骨)がないが仙縁(仙人とのご縁)がある。この仙人、見た目は美少女だが中身はおっさん、つかみどころのない不思議な魅力でいっぱいの僕僕。長生きし過ぎて名前を忘れたから一人称のボクからとって僕僕という。仙人らしくない人間好きでお節介な彼女が世界を旅して神々や人間たちの揉め事を解決に導いてゆくファンタジー物語。はたして王弁と一緒にいられる策はあるのか? -
うっかりサラッと読んでしまうけど、実はかなり濃い事も書いてある。それを気にさせない文章が巧い。
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僕僕先生という仙人(美少女)と王弁というニートが繰り広げるほっこりする癒し系のファンタジー。
文体も伸びやかで、話ものびのびとした印象だった。この文体非常に好きだ。
ただ忙しくて二〜三日で一冊読むという目標を果たせず、途切れ途切れに読んでしまった。
王弁は聡明なのだが繊細で、世の中そのものが耐え難いタイプ。
母の死、父の浮気。辛い科挙の勉強。そしてその果ての「自分が稼がなくても大丈夫なんだ」と知った瞬間。
殴られるより打たれるより、どんどんと「自分は不要だ」「自分の努力は徒労だ」と分かっていく時の傷というのは深く人を腐蝕させていくものがある。
そんな彼を救ったのが僕僕なのだが、僕僕もなかなか過去に大きな傷を背負っているようだ。
だが、そんなことよりもこののんびーりしたまったりした、飄々とした冒険ファンタジー、好きである。お気に入りになりそうだ。 -
個人的にはこういう話好きです。ましてや美少女の仙人なんて・・・全体にほんわかしているところが仙人っぽいですね。
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教養小説=ビルドゥングスロマンという分類は
日本の物語作品であまりお目にかからず
青春小説に含まれがちだが
形成成長老化すなわち自らの手の届く範囲のみを
知っていることとする正しさという
大人になることという要素があるかないかで決定的に異なる
この作品は中華歴史もの舞台に神話的道教要素で
主人公に対する親も家族も周囲も優れた政治家も名君も神仙であっても
何が正しいというあいまいさで
その達観をうまく表現している
かまえない文章は好き嫌い分かれるところだが主題には良く合っている