胡蝶の失くし物 僕僕先生 (新潮文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101374338

作品紹介・あらすじ

師弟より近く、恋人より遠い関係のまま、ゆるゆると旅を続ける僕僕先生と王弁に怒涛の急展開!なんと政府公認の精鋭刺客集団「胡蝶房」に、先生暗殺の命が下されたのだ。送り込まれたのは、猛毒を操る劉欣。しかし孤独なスナイパーの意外な過去が明らかになり、僕僕一行は思わぬ局面へと歩を進めて…。一方で薄妃の恋にとうとう決着?大人気の中国冒険奇譚、波乱の第三弾。

感想・レビュー・書評

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  • 「胡蝶」と呼ばれる暗殺部隊が失ったもの、それは「劉欣」という名の凄腕暗殺者。劉欣の生い立ちから彼が仙骨を持っている事、僕僕が半ば無理やり旅の一行に加える事によって最後の方で救われていく劉欣の本来持っていた人間らしい心。最も外見のイメージが湧きづらい登場人物であるが、見た目が原因で捨てられ虐めに遭い住処もない幼少期を過ごしたという。どんな親であってもいつかは先に死ぬ。劉欣に必要だったものは自由と尊厳、友愛。すべてを見通す仙人にしか救えないような険しい境遇にあった彼が「ばかな奴ら」に癒されていく様がまざまざと描かれていて心底よかったと思えた。
    このシリーズは比較的軽くコメディタッチで仙人と人間の師弟恋愛を交えた古代中国が舞台のファンタジー的物語であるが、読みやすいだけでなく暗くて陰惨になりがちな戦争の歴史に希望や明るさを添えてくれる無二の作品集である。

  • 劉欣が、意外と人間臭くて好きだなぁ。両親のことになると、人になってしまうのがねぇ。そういうしがらみがあっちゃ暗殺者としては危険なんじゃ…と思ったらやっぱりでした。
    本当はいつまでも、親って生きててくれるわけじゃないんだよね。分かってても、私も劉欣みたいにオロオロしちゃうし、すごい泣くと思うわ。
    そしてね、隠してたって、親にはきっと分かっちゃうんだよね。それが愛ってもんですよ。今親御さんはどうしているのか、心配ですね。
    劉欣は、何か人あらざる一族の生まれかもしれないですね。そんな感じのことを僕僕先生も漏らしてたような。彼の一族に会える日も来るのでしょうか。
    少しずつ"心"を取り戻す新たな仲間と傷心の薄妃を連れて、まだまだ旅は続きます。

  • 殺し屋集団登場で、ハラハラドキドキでした。旅の強烈な道連れが増えて、今回は弁の存在感が薄かったように感じます。
    僕僕は前回よりも仙人らしさが強く出ているようで、かっこよすぎました。
    劉欣、薄皮、蚕嬢たちのその後や、追っ手との戦い、その背景、気になることが山積みに。やはり次も読むべきかな。

  • ゆっくり読もうと思っていたのだけれど、面白いので我慢できなくて買ってしまった。短編構成だけど、一冊で一つの話になっている。このシリーズは非常に面白い。

  • 僕僕先生シリーズ第三弾。このシリーズ面白くて、一気に読んでいます。
    今回は僕僕先生と王弁の間の大きな変化はなかったけれど、旅の同行者に大きな変化があり、それに驚いたり切なくなったりしました。
    登場人物が個性的で本当に面白いです。続きが楽しみ!

  • シリーズものとは知らずに購入。ダヴィンチで、スカッとする本として紹介されてた。板挟みにあっている劉欣を救ってくれた先生!ただものではない。シリーズ制覇したい!と思った作品。

  • 僕僕先生の周りに段々人が増えていく。来るもの拒まず(じゃないか)去るもの追わず、固執を厭うAs it is的な仙人思考だけど、僕僕先生はけっこう人が好き?

  • 新たな人物も登場し、事態が一層ややこしくなってきた。
    新たな謎も次巻へ繰り越しか。

  • かわいい僕僕先生と王弁くんとの旅物語三段。血生臭い話が少し混じる、緊迫感あるエピソードと、ボーイミーツガールが混ざるお話しでした。
    全く新しい土地へ足をのばしつつも、過去出会った人の縁を生かす語りぶりに好感触です。この調子で経験を積んだら、王弁くんも最後にはさぞかし大物に成長するのでしょうね。
    既に出ている最終巻が今から楽しみでなりません。

  • 次巻に向けてストーリーの種を巻いている巻なのかなってくらい人が増えたり事件が起きたりする。
    読みやすいので隙間時間にがんがん読み進められる

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著者プロフィール

1973年大阪府生まれ。信州大学人文学部に入学後、北京に留学、2年間を海外で過ごす。2006年『夕陽の梨─五代英雄伝』で第12回歴史群像大賞最優秀賞、同年『僕僕先生』で第18回日本ファンタジーノベル大賞を受賞。「僕僕先生」シリーズは読者の圧倒的支持を集め、ベストセラーとなる。著書に「千里伝」シリーズ、「くるすの残光」シリーズ、「黄泉坂案内人」シリーズ、「立川忍びより」シリーズ、『撲撲少年』『真田を云て、毛利を云わず 大坂将星伝』『三舟、奔る!』など多数。

「2022年 『モノノ怪 執』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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