その街の今は (新潮文庫)

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著者 : 柴崎友香
  • 新潮社 (2009年4月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101376417

その街の今は (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 至極退屈でドラマがなく、かすかに起承転結がある感じ。いいねー。
    合コン、クラブ、といった若者の普通の日常が描かれていて、森見登美彦みたいな非モテ芸・自虐芸しか引き出しがなくて笑えない感じになってきているような作品群よりも全然リアルな青春。そりゃレコード集めたり写真集めたりするわいな、普通の人間は。くっつき別れたり。
    そして、一々屈託にフォーカスせずに淡々と進行する人間関係もいい。眉間にしわ寄せて苦悩するばかりがおブンガク様ではない。
    何より、登場人物が別に善人でないのか素晴らしいね。その点、原田マハより全然好きだなー。
    保坂和志に近いかも、と思った。女子で、大阪で、若干リア充=人並みに努力してる人たち、な保坂和志。

  • なにか事件があるわけでもなく、心踊るようなこともないのだけれど大好きな大阪の町の丁寧な描写や関西弁に癒される。淡々と進む毎日が心地よい。

  • うまれ育った街・大阪の古い写真を集めることが好きな、28歳の歌ちゃん(女性)の、どうにもうまくいかずに過ぎ行く日常と、今昔の大阪の街が、淡いタッチで緩やかに優しく描かれた小説です。

    劇的な展開があるわけでもなく、抱える問題も何一つ解決せぬままに日々にたゆたう歌ちゃんの等身大の姿と、歌ちゃんがこよなく愛する大阪の今昔の街の姿が静かに描写されていくだけのシンプルな作りですが、自分が住む街や周囲の人たちを愛おしみながら日々を過ごしている歌ちゃんは、とっても素敵です。でも、小説の主人公には似つかわしくないくらい、歌ちゃんは平凡生身で、ものすごく感情移入してしまう部分が多々ありました。

    「…わたしがまだいない時間の、この街の風景。知っている建物だけが、そことわたしを繋ぐ。…」

  • 結構レビューでは良い評価だけれど、私はあまり何も感じなかった。ミナミの様子を思い浮かべながら読めたのは面白かった。

  • 写真の表象の不在性と小説の境界横断性を巡る感

  • 人間の等身大に近い平凡な日常の話。
    何かありそうで何もないホッとできる気がする。
    続きが知りたいような気もするけど、続かなくてもいいと思えるのは柴崎さんのうまさなのかな。

  • 流れていく日々の中で、世の中にはたくさんの人がいて、それぞれにそれぞれの生活がある。そんな当たり前のことを改めて感じる。この小説はそういった生活の一部がすこし切り取られて描かれている。そんな本。

  • 街の描写が溢れる。大阪の人が読んだら更に良い作品なんだろう。

  • 内容というより、作中の雰囲気が凄い好きです。

  • 読んでいると物事を何でもあるがままに捉えられるようなリラックスした気持ちになる。

    人物たちがものすごく自然。存在もセリフも心情も周囲を見る目も全てが自然で、物語的でない。そこが安心感を与えてくれるのかもしれない。特に人物が見ているものの描写、視点の描写が特徴的だと思った。小説的じゃないというか、物語を構成するための意図的な取捨選択が少なくて、その人物の見ている景色が本当にそのまま描写されているような感じがする。そのおかげか、小説の中の人物たちが私たちと同じ世界に実在しているように感じられ、親近感が湧く。小説の世界に没頭しているのに別世界感が全くなくて不思議な感覚だ。

    この小説から感じる温かさや安心感の正体はなんだろうと思っていたら、解説に書いてあった。
    『この世界のあやうい偶然と均衡の美しさ。』
    まさにそれだ。強い主張や面白い展開はないが、偶然に満ちた日常の美しさを再認識させてくれる素晴らしい小説だと思った。

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