わたしがいなかった街で (新潮文庫)

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著者 : 柴崎友香
  • 新潮社 (2014年11月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101376424

わたしがいなかった街で (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 自分が今存在していて、過去には存在していなかったこと。自分以外の人になれないこと。時間は遡れないこと。当たり前に聞こえるが、それらを意識することで、日常は少し違って見えると思う。

  • 二度と会わない人と毎日出会っている

    1年前に離婚した砂羽は、物流会社で契約社員として働きながら、家では戦争のドキュメンタリーを見たり、戦中戦後に残された日記を読んだりしている。何のために、何を求めて見ているのかもわからないまま、毎夜見続けていた。
    大きな事件も出来事も一切なく進む展開だが、主人公の砂羽のことがわかってくるにつれて、どことなく自分と重ねていってしまう。今、ココで生きるということを、過ぎ去る日々の中で、一瞬考えさせられた一冊。

  • 私にも「違う人生」が待っていたかもしれない。

  • どうも今の私には合わなかったようです。文字がなかなか頭に入ってこない。でも時々ハッとしたりグサッときたりする表現があったので、何年か寝かせて再チャレンジしたい。

  • 途中でさらっとビアンカップルが出てくるんだけど、それが通り過ぎるようで、街中でそんなカップルとすれ違ったような嬉しさを感じた。

  • 現実の自分と、自分が存在していなかった過去の出来事との間に、何とも言えない違和感を感じているような女性の日常を淡々と描いた作品。なのかなぁ。
    愛嬌ある脇役たちの魅力と、1人になった時の主人公の屈折度合いにギャップを感じながらも、柴崎さんらしい繊細な描写に惹かれます。
    解説に書いてあるような複雑な分析は自分には無縁でした。

  • この間柴崎友香先生と女流作家の方の対談を聞きました。柴崎先生の文章はカメラでシャッターを押したような情景描写、と言われていると聞いて、情景を丁寧に書けない私は勉強の為に読み始めました。途中で出てくる瀬戸内海の夕焼けの書き方が美しく、まるで映像を見ているような心地になりました。
    あらすじは説明しづらいです。別れた夫のことをもっと考えるのかなと思えばそうでもなく、彼女は絶望もせずに受け入れて誰に泣きつくことなく様々なことを考えているのです。砂羽さんのことは年齢も近いので意外とよく分かりました。頭で考えすぎて、いざ言葉にした時に誤解を生むタイプなのです。そして、このタイプは実社会でとても生活しにくくて。夏ちゃんと砂羽さんが早く出逢わないかな、と読んでて思いました。きっと、言葉を通わさなくても理解し合える気がするんです。相手を見てこの二人はようやく自己肯定を少しだけできる気がする。

  • これは純文学。でもとても読みやすいし、登場人物達が魅力的で感情移入しやすいと思う。
    時間の経過を強く意識しながら、人と人との間に起こる争いが、女性らしい細やかな視点で表現されていると思う。大きな戦争を主人公は意識しているけれど、その底にある、争いのもとになっている自身の感情を意識しているようないないような、何とも味わいのある表現が秀逸だと思う。

  • 主人公を途中で一人加えたことにより、小説の構成に厚みを持たせ、主人公の存在価値を高めている。
    実験的といえば実験的なのだが、不思議な読書体験ができた。
    また、今年は戦後70年という節目の年にあたり、戦争体験のない世代にはピッタリと符号できる小説なのではないかと思った。
    そして、辻原登氏の解説も秀逸でした。

  • 独特な小説でした。特に物語があるわけでもなく、恋愛小説でも、友情小説でも、お仕事小説でもない…。
    でも、私は好きでした。主人公が、頭の中で小難しいことをぐるぐる考えて、でも誰にも共感してもらえなかったりするところや、すべてが頭の中だけで自己完結してしまうので、人付き合いが苦手で、相手に不快感を与えて自己嫌悪してしまったりするところが、「うんうん、大人になってもそういうことって、あるよなあ」と結構共感してしまいました。
    でも、ラストに進むにつれてよくわからなくなってきた…。「えっ、この章の主語って誰なの?」とか、「結局何が表現したかったんだろう…」とか思ってしまって。
    多分、私の理解力が足りないんだと思う。もっと、この作者のことが知りたいので、他の作品にも挑戦してみます。

  • 柴崎さんらしい雰囲気で、お話は進んでいくのだけれど、題材が重く、私には難しかった...。

  • 柴崎さんらしい雰囲気の文章だった。(どことなく『フルタイムライフ』を彷彿とさせる)

    物語の行き先は私にはちょっと難解だったなぁ。
    主題を見つけ損なってしまった><

  • 柴崎さんの小説に時々出てくる、見ず知らずの人と話をする人が、ここにも出てくる。
    私は、そうしたいとよく思っていて、できるときとできないときがある。

    そう、よく分からないことがこの世にはたくさんある。
    そう、話したいなら話せばいい。
    そう、世の中つながりすぎている。
    そう、終わりは何かの始まりだ。
    そう、私に近い人は必ずいて、その誰もが私ではない。

    共感と違和感が交差する。
    私はその時、どうしていた?
    考えること。それはおそらく、すべきこと。

  • 胸を締め付けられるくらい切なくなる。読んでいる途中だけれど、傷ついている人々の再生の物語だと、思う

  • これ、あらすじはとっつきにくかったけど、言ってることはすごくよくわかってよかった。
    なかちゃんにまた会えてうれしかった。

    最初のほうで、神様についての女の人の話で、神様には何かを決めるときはいつも相談するっていうの。神様は答えないのに相談するっていう話に、それ日本では「道徳」っていう感じかな? てきいたら、日本でいうと「よりどころ」だって教えてもらった、っていう話をしていて、この本の中でいちばん納得した。

    でもちょっと長い。「ここで、ここで」に気がまわらなかった。でもたしかに、「わたしがいなかった街で」といっしょに読みたい話だった。

  • 単行本で読んでいたので、通して読む前に、適当なページを開いてその部分を読んでみる、ということをやった。どこを読んでもハッとする言葉が書かれていた。
    会いたい人に会いに行くことができるなら、行けばいい。知りたいなら、聞けばいい。私は毎日、ここで生きてる

  • 苦戦しました。
    ストーリーの起伏というより、一つ一つの場面の中での主人公の心の動きや、それを記す文体を楽しむ本。いわゆる純文学です。
    しかし、しかし、どうも戦争ドキュメントにはまり込む主人公の性状に付いて行けず。
    文章は素晴らしい。
    ただ好きかと言われれば、それほどでもなく。ついつい目が文字の上を滑るような感じがしました。とは言うものの、何か所も思わず引き込まれる表現があり、それだけでも読んだ価値はあると感じました。

  • 久々に読んだけど、やっぱり合わないなー。
    何気なさ、が、たどたどしくて、しっくりこない感じがする。

    砂羽の、普通を目指してるけどズレてる感。
    でも、分かるところもある。
    例えば、祖父が広島で戦争の爆撃に巻き込まれた話を、何も知らないはずの自分の何かと重ねてしまうところとか。
    遠く離れた国の戦争や、戦闘で死んでゆく人をドキュメンタリーで眺めているときの、気持ち悪い違和感とか。

    非日常を知りながらも、非日常を求めてはいない砂羽。だから小説では何も起こらないし、何も期待しない。
    新たな恋に発展するわけでも、行方不明の友人に会えるわけでも、会社に正式に雇用されるわけでも、なく。

    ただ、砂羽の心情の中だけで起こる非日常や運命とのやり取り、そこがよく分かる私も、普通とはズレているのかもしれない。

  • 主人公の思考回路がいつもネガティブ。周りの人からの主人公への視線も基本否定的で読んでいて暗くなる。
    物語ももう少し短くまとめても良かったんじゃないかなと思いました。

  • 生まれてきた偶然と必然、また、死んでゆく偶然と必然、出会いの偶然と必然を思考しながら書かれた本。戦争という主題をめぐるくだりが、「お利口さん」すぎるような気もするが、ジグザグに進む思考がなんとも癖になる。

  • 平尾砂羽がめんどくさい。人に期待してない感じでめちゃめちゃしてる。口を開けば余計なことを言う。社会に適応してるようで、微妙。なかちゃんと連絡してるのも自分になかちゃんが興味ないからのように見える。夫と別れたこともそれほどダメージうけているようには見えない。でも、それなりに傷をうけていて、戦争や紛争のドキュメンタリーを視ながらなぜ自分がここにいるのか、それをぐにぐに考えている。あの人たちはあそこにいるのに、わたしはここにいて、生きている。死んだ人と生きている人との違いとか。めちゃめちゃめんどくさいけど、すごく、共感できるところもある。子供の頃、核戦争が怖かったとか。葛井夏は若くて、なかちゃんに影響されて変な女になりかけてるけど、ずーっと大阪にいる。時々旅行には行く。でも基本的にきちんと自分の居場所を持っている。平尾砂羽との違いは年齢、それから離婚家庭の子供。平尾砂羽は自分が離婚した。間をとりもつのはなかちゃんとクズイ。クズイはふわふわと主人公たちの周りを方則を無視して漂う衛生みたいなものだ。明日には通りすぎていく。ひとは、結局ひとりだと強く思った。

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わたしがいなかった街で (新潮文庫)の作品紹介

離婚して1年、夫と暮らしていたマンションから引っ越した36歳の砂羽。昼は契約社員として働く砂羽は、夜毎、戦争や紛争のドキュメンタリーを見続ける。凄惨な映像の中で、怯え、逃げ惑う人々。何故そこにいるのが、わたしではなくて彼らなのか。サラエヴォで、大阪、広島、東京で、わたしは誰かが生きた場所を生きている――。生の確かさと不可思議さを描き、世界の希望に到達する傑作。

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