- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101376424
感想・レビュー・書評
-
戦争のシーンなど、技巧派っぽい感じは何となくいいなと思ったけどイマイチ入り込めず。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人と人とが出会えない瞬間のやるせなさが大変よかった。人生のとても悲しい部分をよく切り取れていると思う。淡々とそれを受容する主人公がまたいい。
コミュニケーションの苦手な主人公は同じようにして正社員という地位ともすれ違い、バーでは同僚の女の子とすれちがい、別の登場人物に物語の語り手を任せて消えてゆく。イヤミスに似たしんどさだけど、エキセントリックでないほどよい苦味。どろどろの水たまりで転んで尻餅をついてしまい、そのまま曇った空を見上げてぼーっとしているようなここちよさ。
もう一つ収録された短編もよかった。端の上にたって橋が流されていく感覚にとらわれてしまうのってすごくこわいよね。 -
ああ、またしても難解な小説をお書きになられて……理解できる、自分の中に落とし込むまでには程遠い
-
2019/01/19再読
2016/01/27了 -
二度と会わない人と毎日出会っている
1年前に離婚した砂羽は、物流会社で契約社員として働きながら、家では戦争のドキュメンタリーを見たり、戦中戦後に残された日記を読んだりしている。何のために、何を求めて見ているのかもわからないまま、毎夜見続けていた。
大きな事件も出来事も一切なく進む展開だが、主人公の砂羽のことがわかってくるにつれて、どことなく自分と重ねていってしまう。今、ココで生きるということを、過ぎ去る日々の中で、一瞬考えさせられた一冊。 -
私にも「違う人生」が待っていたかもしれない。
-
途中でさらっとビアンカップルが出てくるんだけど、それが通り過ぎるようで、街中でそんなカップルとすれ違ったような嬉しさを感じた。
-
現実の自分と、自分が存在していなかった過去の出来事との間に、何とも言えない違和感を感じているような女性の日常を淡々と描いた作品。なのかなぁ。
愛嬌ある脇役たちの魅力と、1人になった時の主人公の屈折度合いにギャップを感じながらも、柴崎さんらしい繊細な描写に惹かれます。
解説に書いてあるような複雑な分析は自分には無縁でした。 -
2015 8/20
-
主人公を途中で一人加えたことにより、小説の構成に厚みを持たせ、主人公の存在価値を高めている。
実験的といえば実験的なのだが、不思議な読書体験ができた。
また、今年は戦後70年という節目の年にあたり、戦争体験のない世代にはピッタリと符号できる小説なのではないかと思った。
そして、辻原登氏の解説も秀逸でした。