ニッポニアニッポン (新潮文庫)

  • 548人登録
  • 3.27評価
    • (17)
    • (69)
    • (182)
    • (16)
    • (4)
  • 65レビュー
著者 : 阿部和重
  • 新潮社 (2004年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101377247

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
梶井 基次郎
阿部 和重
奥田 英朗
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印

ニッポニアニッポン (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 斎藤環の解説があまりに混乱してて笑ってしまったけれど、天皇=父殺しがもはや成立しない時代の小説、という視点はとても納得がいく。というのも、最近大江健三郎について考えながら、わたしは大江における天皇制の問題をリアリティを持って受け止めているのではないなあ、一種のファンタジーとして受け止めているなあ、と感じていたからです。具体的現実的問題をうまく捉えられない、でも強まるばかりの閉塞感。閉塞感を突き詰めて突き詰めて、突き抜けてしまうカタルシスをわたしは好むのだけど、突き抜け具合はあと一歩ってかんじかなあ。大江のセブンティーンとの類似は納得。現代では大きな物語に埋没することで自己の矮小さを隠蔽するっていう構図すら直接的たりえない、っていうのが最後のシーンの意味でしょうか。とりあえず、こういうちゅうに相対化は常に行うべきだ。まちがいないや。

  • 神町サーガってことで、シンセミアとの関連を多少なり期待してたんだけど、全くの別物でした。ってか、直接的に”神町”って言葉、一度も出てきません。それはさておき、面白ければ何も文句はないんだけど、件の作品と比べると、やっぱりスケール感とか諸々で、どうしても見劣りしてしまう感じ。もちろん、こっちは短編だとか、色々原因は考えられるんだけど、だからこそ、シンセミアで出来上がった世界観を踏襲していれば…って思えてしまうんです。あと、終始主人公目線ってのも、ちょっと息苦しさを感じてしまう部分であったりします。それにしても、狂気の人間の描写は本作でも遺憾なく発揮されていて、さすがって感じでした。

  • 思い込みの激しい青年の冒険談。
    自己中心的な愛のお話。とても読みやすい娯楽作品。

  • ひきこもり、に関する小説ではない、ことにこの著者の凄さを感じた。

  • これはハマった。

  • 自分は鳥を食べるのは好きやけど生き物としての鳥は怖いから正直どうでもええ話やった。大きい鳥やカラフルな鳥は嫌い。鳩も嫌い。猛禽類は見るだけなら大丈夫。なので、トキが繁殖し過ぎて電線や公園や神社にウジャウジャしだしたら絶対に外出しません。 解説に書かれてる通り、自分も天皇制が裏テーマかなと思いました。皇室のみ側室制を続けてれば良かったのに。 主人公はアホです。でも、少し違ってれば愛すべきアホやったのに・・・。森見作品なら愛すべきアホな主人公に仕上がってた気がします。それぐらい紙一重やと思う。

  • 古本で購入。

    主人公・鴇谷春生の妄想と偏執によって綴られる物語は、一人称と三人称の違いはあるけれど、どことなく町田康や森見登美彦を連想させる。
    しかしそこにおかしみが全く感じられないのは、町田作品に漂う知性や森見作品の可愛いげがないからかも知れない。
    要するに鴇谷春生は不愉快極まる。引きこもりのパラノイアというキャラ造形は、それはそれで秀逸だ。

    そんな鴇谷春生が同じ名を持つトキ(鴇)を解放あるいは密殺するべく佐渡島へ渡るくだりから、少なからず物語のトーンが変わり、“あっけなく” 幕を閉じる。
    下宿先のアパートに引きこもり、ネットを用いて物理的・理論的武装に励んでいるくだりとは異なる雰囲気。
    そこに、たまたま佐渡での同行者となった瀬川文緒という少女はどんな「意味」を持っていたのだろう。

    話は変わるが、解説の斎藤環によるカバー装幀の「読み解き」には驚いた。
    非常にわかりやすい形で示された仕掛けだが、意外と見ていないものなんだなぁ。

    初めて読んだ作家だったが、おもしろかった。
    山形県にある神町を舞台にした「神町サーガ」に連なるものだそうで、他の作品も読んでみたくなった。

  • 絶滅しそうになったと思えば、保護され政治利用されるトキを人間のエゴから解放すべく、保護施設に乗り込むことを企む主人公。しかし、途中で、トキ救済の目的が、国家へ向けられた憎悪へと変わり、木本桜に対する愛情の反発と共に、トキを抹殺してしまおうとする。結局は「人間の書いたシナリオ」を全部ぶち壊すことで、これまでの人生の大逆転をもくろんでいたが見事に大失敗する。純文学。最高の喜劇。

  • kindleにて10年ぶりくらいに再読。
    くだらない。象徴と象徴を暗にひっかけようとしたってそんなの面白くない。

  • 阿部和重再読第4弾。

    インディビジュアル→ABC→無情の、ときて、ニッポニア。

    はじめの3つは、「無目的な・破綻した人格の主人公」が「周囲の進み行きにまきこまれる」という構造を、阿部氏独特の一見評論調・飛躍した論理調文章でしたためてあるため、全体が軽快な「ぶっとび感」に包まれて、バカバカしくふざけた調子が心地よいのだけれど、

    ニッポニアは、「思いつめた主人公」が「自ら主体的に破滅行動に突き進んでいく」という展開。
    ストーリー展開というか、物語の構造は面白いのだけれど、それに阿部氏の文体がマッチしていない・・・。特に、前半。
    新幹線に乗った後からは、なぜかがらっと文体が変わる。

    発表順に再読してみて、あらためてそう感じた。

    初めて阿部氏を読む人は、違う作品からいったほうがいいかも。

  • 阿部氏の諸作品の中では最も読みやすかった。
    他者への共感が一切欠落し
    自分に都合の良い事象だけを盲信。
    その歪んだ信念を貫徹するためだけに生き、行動する。
    阿部氏の作品の主人公に共通する人物像であるが
    本作の主人公にももちろん当てはまる。
    読みやすいと感じたのは、主人公のその歪な信念に
    比較的共感を覚えやすいからかもしれない。
    他作品の主人公においては、
    どんな過激な行動でさえ常に観念が付きまとっていたが、
    本作ラストの主人公の行動はずっと直情的、破滅的であり、
    それゆえ独特のスピード感とカタルシスを携えている。

  • 読む前ニッポニアニッポンってなんだよ思ってたけど、実はかの有名な"トキ"の学名らしい。大層な名前ですね。

    自分の苗字に"鴇"という字(これも"トキ"のこと)が含まれることから、トキに興味津々なヒッキーな主人公17歳。絶滅危惧種として人工的な繁殖を試みられてるけどそれってホントにトキの為なの?そんな学名ついちゃってるから頑張ってるだけじゃないの?だからトキの国籍とかこだわってるだけでないの?と、『ニッポニアニッポン問題の最終解決』としてトキを密殺しに佐渡に渡るが…。

    ストーリーはそんな感じです。

    トキは確かに日本人にとって不可侵な存在である気がしますね。簡単に触れづらいというか、なんというか。。この小説の面白さはそこに敢えて変態的に触れていくところなんだと思います。

  • 阿部和重って人は、「放送禁止」ってテレビ番組とか好きだったんじゃないかなぁ・・・と勝手に妄想しながら読んでしまった。

  • 中編くらいのボリュームなので、一気に読めた。ひきこもりの少年がトキを殺そうとする計画と実行の話で、その少年のみに絞られて語られているため、最近の阿部さんの作品とは違って話がスピーディに進む。

    今まで読むと、主人公の少年の引きこもり像が安直にも思えるけど、もう引きこもり像が語り尽くされたからだろうなあ。さらに阿部和重は要素をくっつけて人物を造る人だし。

    ヒロインが二人出てくる所が肝なのかな。似た人物を、一部の環境を裏返したことで、分かりやすく主人公に変化は訪れなかったけど、重層的な構造の物語となり、さらに主人公に人間らしさが見えた。

    最後に流れるクイーンの歌は、賛否両論ありそうだけど、おかげで中編にも関わらず大きなカタルシスを与えてくれて、そのシーンが僕はとても好きだった。

  • サブカルへのオマージュあふれる作品。
    ラストシーンはまったく映画のラストシーンの様に美しく脳内で再生されました。

  • 佐渡などを舞台とした作品です。

  • なんというか最後の終わり方以外は凄く面白かった。最後だけよくわからなかった。最後を気にしすぎなのかもしれない。
    あと解説が面白くなかった。

  • 共感できてしまう俺はあかんなあ

  • どこが面白いのかサッパリわからん。文が読みやすいということ以外、書くこと無し。

  • "選択肢は三つに絞られた"という入り方だったり、文体だったり、鴇は実は天皇のメタファーであるっていう基本的にはむちゃくちゃ大好きな部類の話なのに、肝心の語り部が中二すぎてあんまり楽しめなかった。それまで誠実に生きてきたのにひょんとした拍子に落下して蹴落とされ見捨てられどうしようもなくなった転落人生の果てに性格転換…とかだったらまだしも、たいした苦労もしていない甘ちゃんの妄想聞かされたって「へえ…あ、そうなの」の一言。さらにその妄想が叶っても二次的にしか捉えられない。
    だからとにかく、ヒロイン的女の子にしても語り部にしても、キャラクターだけが反りに合わなかった。残念。

  • 色んな不満を抱えた若者の妄想をそのまま小説したという感じ。主人公の日記を覗き見ている感覚。

  • 今までなんでこれに出会わなかったんだ・・・。高校時代村上春樹を読み漁っていた自分に教えたい。この怒りと焦燥の疾走感はもう二度と戻ってこないだろうが、この本が教えてくれたものはハートに火を点けた。

  • 微妙。そんなに面白くない

  • 学名「ニッポニアニッポン」。通称「トキ」。
    佐渡のトキ保護センターにおいて、たった一人、テロリズムを目論む主人公。その荒唐無稽さが哀れさを誘う。

  • 狂気を憧れや恐怖の対象としてではなく、狂気の側から眺めようという試み。

全65件中 1 - 25件を表示

ニッポニアニッポン (新潮文庫)に関連する談話室の質問

ニッポニアニッポン (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ニッポニアニッポン (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

ニッポニアニッポン (新潮文庫)の作品紹介

17歳の鴇谷春生は、自らの名に「鴇」の文字があることからトキへのシンパシーを感じている。俺の人生に大逆転劇を起こす!-ネットで武装し、暗い部屋を飛び出して、国の特別天然記念物トキをめぐる革命計画のシナリオを手に、春生は佐渡トキ保護センターを目指した。日本という「国家」の抱える矛盾をあぶりだし、研ぎ澄まされた知的企みと白熱する物語のスリルに充ちた画期的長篇。

ニッポニアニッポン (新潮文庫)の単行本

ニッポニアニッポン (新潮文庫)のKindle版

ツイートする