- Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101383521
作品紹介・あらすじ
舞台芸人チカブーによる今世紀最大の演(だ)し物「マボロシの鳥」。誰もが夢中になる、そして見る者によって全く印象が違うという、美しく輝く不思議な鳥を、ふとしたことからチカブーは失ってしまうが……(表題作)。世界一美しいといわれる島で、数十年の時を経て、不発弾がある家族にもたらした皮肉な運命(「タイムカプセル」)。人類の愚かさと愛しさを描き、世界の真理に迫る希望の物語。
感想・レビュー・書評
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出版年が前後してしまいましたが、「文明の子」に続き2冊目の太田光さんの本、読了しました。
紡がれる言葉が、きれいだと思いました。
9つのお話。争うことの空虚な無意味さのようなものを、全編から感じました。
「荊の姫」、「タイムカプセル」。静かな物語。痛みを伴いますが、優しさを感じます。
「人類諸君!」では、転調して一気に落語の語り口調のような文体になり、はっちゃけていますね。笑
一転、「ネズミ」は暗く、重い雰囲気です。
そして「魔女」、表題の「マボロシの鳥」、「冬の人形」、「奇跡の雪」と心に沁みる寂しさを感じ、涙が出てきました。
最後に「地球発……」で静かに、色鮮やかに締めくくられています。
読了後、現実に戻り、「今晩は何を作ろうかな?」と変わらない日常を穏やかに感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
爆笑問題の太田光さんの著書があるということで拝読した。
マボロシの鳥の他、9編の短編集だった。
タイトルにあるマボロシの鳥よりは、自分としては荊の姫、タイムカプセルが心に残った。 -
お笑いコンビ、爆笑問題の太田光、初の小説集。収録されている作品それぞれに垣間見られる、人間の愚かしさと愛しさを描き、世界の心理に迫っている。太田光が小説を書くと、こうなるのか、と改めて実感した。
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あの太田光から、どんな小説が生まれるんだろう…と思って購入。
なかなかずどんとパンチの効いた話ばかりが揃っています。
個人的には難解で、実験的な部分にのっていけなかったなあ。。。 -
太田光の小説初めて読んだ。短編集だったので1話1話、読みやすい。
「The 太田光」という言い回しや表現が垣間に見られ、小説でこの太田節は彼にしか出せないものだなぁと感じた。
戦争を題材にしたのが多かった印象。 -
ちょっと主題を伝えようとするのがあざとい感じがするけどなぁー筒井的に振り切ってくれればそれはそれでいいのだけど。太田光の顔がちらつくのはたしか。
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文庫再読
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平易なのに角張った感じの文体。物語は純粋ですごい直球。太田光そのものだと思った。
「冬の人形」 人形を自分に見立てて、自分で自分を可愛がる春子の寂しさ。それぞれの人物の気付かれない、報われない思いが切なかった。 -
問題提起をしたい気持ちが盛りだくさんで、なんだかぎこちないと思ってしまった
絵を描いたり、文章を書くって難しいのだなと思う
鳥のことばかり考えて一生くよくよ暮らすのだけは嫌だなあと思う
でも芸人は鳥を持った瞬間のことを一生思い出して生きる方がましだ、と思うのかも -
口承文学か パロディーか 古典的になりうる定番を多く取り込んでいて、その取り込み方が太田光らしい。話言葉のようなリズム感が面白かった。
自然保護を主張する人は山に近づくのは否、とか幸福の証拠=笑声とか、ダイレクトにメッセージが入っていて、小説としてはどうも未熟な感じがする。タイムカプセル、奇跡の雪といった戦争を取り込んだ作品を、まだまだ続けて欲しいと思った。
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あ、太田だなと思うのは2作くらいか。それ以外は文章からだけだと太田と連想するのは難しい気がする。
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舞台芸人チカブーによる今世紀最大の演し物「マボロシの鳥」。誰もが夢中になる、そして見る者によって全く印象が違うという、美しく輝く不思議な鳥を、ふとしたことからチカブーは失ってしまうが…(表題作)。世界一美しいといわれる島で、数十年を経て、不発弾がある家族にもたらした皮肉な運命(「タイムカプセル」)。人類の愚かさと愛しさを描き、世界の真理に迫る希望の物語。
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あとがきが面白かったです。
ちょっと思想的なものがチラチラ垣間見れてしまって、物語として楽しめるかって言われると微妙かも…。
ネズミが一番、興味深く、心に残りました。 -
私が太田さん好きだからかもしれないけれど、楽しみながら(楽しいって表現が適切かは疑問…)読めました。
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まだ読んでいる途中だけど、ストーリーテラー的にチラチラ『太田光』が出てきて鬱陶しい。
ちゃんと本の世界に浸らせて欲しいのに、それを阻む。わざとなの?
読み終わって。
大人のダーク童話って感じかな、と。
あまり好みじゃなかった。
(文庫の)あとがきに、太田光本人が、『太田光が全面にて過ぎているという指摘が多かった。消したつもりだったのに』と書いていた。
あれで??
相当うるさかったよ。鬱陶しかったし、煩わしかった。 -
平成25年12月4日読了。
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なんとか頑張って読みすすめたのですが半分くらいでドロップアウト。冒頭から、わかりにくく稚拙な文章に感じてしまい、児童文学?これはあえてなのか?文章力が圧倒的に足りない故なのか…?と探りながらでした。普段それとなしに読んでいる小説の凄さを逆に実感。ご本人がラジオで絶賛されていたのであれはどこからくる自信なのかなぁと思ってしまいました 笑。
ただ、キラキラとした何か、を感じました。どの物語も繊細で純粋で美しい。晴れた雪の日に感じる心細さと清涼感のような、ほろほろとする感傷的な、ガラス質の世界観。
文章に深みがでてくればきっと、素敵な作家さんになられるのではないかなと思いました。 -
読んでいて、何か既視感を感じる。模倣とは言わないが作者の読書遍歴を垣間見た。
太田光を意識しないで読めればアリ。ただし自分と対峙するまでの主題が薄い。 -
太田光色が出ないように書いたと後書きで書かれていましたが、それでも隠しきれていない短編集。何かを訴えかけるような話ばかりでした。
「魔女」が一番好き。 -
「マボロシの鳥」
舞台芸人チカブーによる今世紀最大の演し物「マボロシの鳥」。誰もが夢中になる、そして見る者によって全く印象が違う、美しく輝く不思議な鳥。
「マボロシの鳥」に対する反応は賛否両論だったらしい。が、「太田光が前面に出すぎている」とか「これは小説ではない」とか「太田の顔がちらついて物語に集中できない」とか否の意見は出てくるのだけど、賛の意見がない(文庫版あとがきにて)。
私は、賛否どちらかと言うと、少なくとも全面的な否ではないです。太田光の顔が前面に出ているとは感じなく、小説になっていないとも思いませんでした。特に、後者に関しては、むしろ小説らしい小説だったかなと思います。しかし、ただの小説ではなく「実験的な」小説と言う意味で。
表題の「マボロシの鳥」を含む9つの短篇は、それぞれテイストが異なっています。例えば、「マボロシの鳥」には漫才、「魔女」と「荊の姫」は中世(のような時代背景)、「タイムカプセル」は戦争、「奇跡の雪」はテロ、「ネズミ」は現代、「地球発・・・」は銀河、とテーマに共通性はない。視点も語り、三人称、一人称などで、結果的に9つの短篇は一見個性的に見える。
しかし、個性的であるなら、各々の短篇からは異なる印象を受けるもんなんだろうけど、いまいちそれが無いんです。様々なテイストで書き上げた一つ一つの短篇は、実験的ではあるんですけど、異なる印象と共に読んだ後の感想がいまいち沸いてこない。
なんでだろう。たぶん、9つの短篇それぞれが結局何を表現したかったのか良く分からなかったから、私は消化不良になったんだろうか。
確かに一見個性的に見える。しかし、テーマ、視点、物語、そして主旨がなんとなくかみ合っていないような、そんな気がします。 -
斜め読み
筒井康隆のなんちゃって版 てな感じ
お粗末 -
帯に書いてある通り、太田光はこの世界の良心を信じてるんだと思う。
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TVでは絶賛、というか本の評価をする人が褒めていたので面白いのかな?と思いつつ、文庫を待って読んでみたのですが。
「面白いか?」と問いだたしたくなるのがこの本でした。
短編なので、面白いと思うものや、ちょっと心に引っかかるものもありましたが、表題作などは(あとがきにもある通り)TVで見る作者の影が見え隠れし、他にもちらほら。
多分、これ、書いた人が「太田光」じゃなければこんなに有名になってませんよね?
とはいえ、「タイムカプセル」「魔女」「冬の人形」「奇跡の雪」等は結構好きでした。……残酷ですが、日本映画、或いは近現代文学でありそうな感じで。というか作者の中では「戦争」がキーワード、なんでしょうかね。
元の題材となる「小説」は見えた気がしましたし、作者さんが本好きなのも解る気がしました。が、これが直木賞や芥川、本屋大賞等獲らなくて本当に良かった、と思うのも事実です。
ちょっと読んでいて「やるせない」気持ちになる話を書いて頂ければ嬉しな、と読者目線で思います。
面白いもの「も」ある、というのが読後の感想です。 -
太田光に期待しすぎた。
「そういうもの」としてあえて出版した気もするが、もっともっと文章を磨いて欲しかった。荒削りすぎる感。
太田光の戦争に対する純粋な嫌悪感はよくよくわかったが、そこまでだった。 -
あの、爆笑問題の太田さんが小説を書くとどうなるんだ?と、購入。
小説なの?かは疑問だけれども、伝えたい!!気持ちを強く感じる作品集。 -
大人の寓話で、軽く読めた。
どのページにも作者の顔がオーバーラップしてしまうのは、それも筆力のせいか。
タレントの小説ということでは、劇団ひとりに軍配が上がる。 -
週刊ブックレビューで紹介されていた本なので、文庫になったのをキッカケに買って読んだ。
出来損ないの童話というところか。
プロと素人の差がよく理解できた。
ストーリーの展開、言葉の選び方、人物描写等やはり素人である。
でも、中にはこれはという作品もある。謙虚に表現力等力をつけていけば、プロの作家になる素質はあるのではないか。 -
きっとどこかで繋がっている、ということを最も言いたいのかも知れない。けど、わかりやすく、だから安心だとか希望の光がきらめいてるとか言ってるわけでもない。ヘビーな日常を慰めたかったけど、ちょっと無理だった。
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あとがきにもある様に、作者の顔が脳裏にちらちら浮かぶ。
テレビで顔を見ている分、キャラクターが強い分、想像の中に出てくるんだろうな。 -
子どものころ、時には怖く、時にはわくわくしながら聞いた物語のようだった。
ひとつひとつ作風が違うが、なぜかまとまりがある。
作者はさらっと皮肉をいいながらも、世の中が、人が好きなんだろうと感じた。
あと本も。
大人のためのおとぎ話。